第153話 カワウソさんが居ました。
皆が集まったカレー祭りは大いに盛り上がり、ニュクスは久しぶりに食べたと、涙を拭いながらおかわりをしていた(笑)。
そしてシロシロが隅のほうでカレーを食べているのを発見。
襟首を掴み捕獲した。
「シロシロ、来てるけどお前の管轄は大丈夫なのか?」
「いや、食べたらすぐに帰るよ、放って置いたらヤバいもん、でも皆が楽しそうだし、それに美味しいし(笑)」
「はぁ~、まあ大丈夫なら良いか、せや、ナビにこっちの管轄とかの情報をインストール出来るように管理神に言って、なんとか出来ない?」
「あっ!」
シロシロの手の動きが止まりすまなさそうな顔をする。
管轄が違ったらやっぱり無理なんかな。
「それ頼むの忘れてたよ(笑)」
満面の笑みのシロシロからカレーを取り上げ
「忘れてたんかい!」
「カレー! ごめんなさい! すぐにお願いするから!」
カレーを見つめてうるうるしたので、仕方なく返してあげた。
「それ食べたらすぐに頼んで来てくれよ、まったく」
「ふん、ふぁふぁふあ」
「ああ~もう、食べながら喋らない、ほれ福神漬けもやるから頼んだぞ」
「ヤミツキーフライも欲しいの!」
「はぁ~、ほれ、飲み物は?」
「チャイある?」
「また、珍しいものを(苦笑)、葉月は作れるかな?」
結局、葉月に聞く前にインスタントのチャイが入荷していたので、作ってやった。
「ごちそうさま、じゃあね」
「ちゃんと頼んで来てくれよ」
「え? も、もちろんだよ、あははは」
忘れてやがったな、ほっぺたを横に伸ばしてあげた。
「ふぁふぁふぇふぇぁい」
「頼むな」
「うう~ほっぺたが、びろ~んってなっちゃうよ」
「もっと伸ばそうか?」
「わ、分かりました! すぐに対応させていただきます!」
パッ
『うふふ、逃げちゃいましたね』
「はあ~流石にもう忘れないやろ、まったく(苦笑)」
祭りも終わり皆が帰っていった······
残ったのは、俺とまりあだけだ、アイリーンは公務が待っていたから途中から抜けたのだが、王様とニュクスがダンジョンに行ってしまうとは(苦笑)。
他国のダンジョンを制覇しまくってやるとか言っていた(笑)
俺とまりあはアスタロト大公爵に戻り、次の厄災へ向けて出発。
今度も数日かかるらしい。
3日後、到着したのだが、厄災は岩だけの孤島でお腹を見せて寝ていた······
「ユタさん、悪さをした称号ありませんし、ステータスも見えますね」
「これがインストールの成果かな?」
『はい、その様ですね、でもこの厄災は無害? 魔王となっていますが、称号も、魚捕り名人ですね』
「捕りすぎて厄災? でも周囲の魚はめっちゃ豊富やし逆に集まってるくらいやね」
「でも、可愛いですねカワウソさん(笑)」
「カワウソやね、デッカいけど(笑)」
デカいカワウソさんが、大きな岩の島からはみ出てお腹を上にして寝ているのだ、たまにおなかを、ぽりぽり掻いている(笑)
海に浸かったしっぽには魚が群がっているのが見える。
捕り放題やね。
その時
びくんっ、としてカワウソさんが起きて、見事な腹筋を披露してくれた。
『ん? どちらさん?』
喋りかけてきたので
「お昼寝の邪魔をしちゃったかな、ごめんね」
『良いですよ、あっ! しまった! またお魚集めちゃった』
そう言いしっぽを、そ~と海から上げ、プルプルと振るって水を飛ばす。
『お魚さん達は元の場所に戻ってね、そうしないとここ以外お魚が捕れなくなっちゃうからね』
魚達は、各々の方向に泳ぎ消えていった。
なるほど、厄災なのかは分からないが、迷惑ではあるよな。
『お待たせしました、どこまでお話し進みましたっけ?』
コテっと首を傾げる仕草が可愛い(笑)
「いや、挨拶をしようとしたところだよ、初めまして、ユタですよろしくね」
「まりあです! よろしくお願いします」
「虎鉄と言います、よろしくお願いしますね」
「タマにゃ、よろしく頼むにゃ」
『こちらこそ、よろしくお願いします、名前は無いですので好きに呼んで下さい』
そう言われると、ん~、確かハワイの海の神様が
「カナロア、海の神様の名前だよ」
『カナロア! うん! 私カナロア気に入りました♪』
「良かったよ、聞きたいんやけど、良いかな?」
『うん、良いよ、何が聞きたいの? この星に飛ばされてから、ずっとここに居るからそんなに詳しくないよ? ほとんど知らないかな(苦笑)』
そうなんや、良い子やん!
ユタさん、良い子なので助けて上げたいです!
せやね、パターン的には魔力の供給かな(笑)
全力で賛成です。
「カナロアは、魚が集まってくるからここにずっと居るの?」
『そうだよ、そうしないと私のそばでしかお魚が捕れなくなっちゃうから、ダメダメでしょ?』
「せやね、でも、別の場所に行きたくない? 俺達と一緒に」
『え? そんなこと出来るの? 出来るのなら行ってみたい』
「よし、じゃあ、ちょっと触るね」
『うん♪』
俺とまりあは、カナロアの手に触れ、魔力供給!
むむむむむむ~!
全開で1時間以上、カナロアが大きくなってきた、片足で島に立ってバランスを取っている状態浮遊である。
可愛いのでそのままにしたい衝動が芽生えたが、グッと涙を拭い、浮遊で浮かせると
『ほわぁ~、私飛んでますよ♪』
嬉しそうにじたばたしだす(笑)。が手は離さない。
さらに1時間近くかかって、魔力供給が終わった。
『すごいです! コントロール出来るようになりましたよ! これならどこにでも行けますよ♪』
「あははは、なら小さくなれるよね、虎鉄や、タマくらいになれるかな」
『ん~、ほりゃ!』
シュルシュルっと小さくなり、目の前にはすぽぽんぽぽんな、黒髪の少女が現れた。
「ユタさん目を閉じて下さい!」
俺は後ろを向きさらに目を閉じる。
かさかさと服を着る音がして、少しして音が止んだ。
「は~い♪ うんうん似合ってるよ」
「こんなの身に着けたの初めて♪ ありがとう♪」
「ユタさんもう大丈夫ですよ、見て上げてください」
振り向きカナロアを見ると、緑色のジーンズ生地で造られた、サルエルツナギをきた黒髪少女だった。
「おお、緑色も良いな、似合ってるぞカナロア」
「ありがとう、ユタ、まりあ、でもなんで人の姿に?」
「ん~、いなばもそうやったよね」
「いなばちゃんは、たぶん、釣りがしたくて人の姿になりましたもんね(苦笑)」
「いなば?」
「ああ、俺の奥さんで魔王なんだよ、カナロアも魔王だろ」
「そうですよ、いつの間にかなってました(笑)」
パッ
「呼んだ?」
いなば参上(笑)
「いなば、カワウソの魔王のカナロアだ、仲良くな」
「ん、初めまして、いなばだ、よろしくね」
「初めまして、さっきカナロアになりました、よろしく」
「おお! 海!」
いなばは、うずうずしだした。
「あははは、、釣りしてきても良いよ」
「ホント♪ 行ってきます!」
シュ
あっという間に島に降りて、今回はメタルジグで攻めるようだ、俺もやりたいけど······
「うふふ、ユタさん、1度島に降りましょうか」
「そ、そうだな、そうしよう、あははは」
島に降りてまりあは釣竿を出して
「はい、私はカナロアちゃんと貝を採ってきますから、お魚はお願いしますね(笑)」
「ありがとう! まりあ! 愛してるぞ!」
そして、晩御飯は······
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