第151話 厄災のダンジョンⅡ グ・パヤナタ・シー
「ん~、ここのダンジョン階層ごとに、普通ならもっと深い階層で出てくる魔物さんが1匹ずついますよね?」
「やなぁ、1階層なんて、ベヒモスさんがいたし、あれってラスボスさんをしててもおかしくないよな」
そうなのである、2階層以降もエンペラー系の魔物が居ましたし、1匹ずつではあるが。
・・・・・・そしてラスボス手前
「この階層は魔物さんが居ませんね(苦笑)、上の階層に派遣されてたのでしょうか?」
「可能性は高いな、んで」
ギィー
「ラスボスが、文字化けの厄災! 虎鉄! タマは、回避優先で、まりあ、全力で行くぞ!」
「はい!」
前回の亀よりは、だいぶ小さいが龍だ、ブレス攻撃を連射や、なぎ払う様に横に首を振る。
虎鉄と、タマの前に立ちブレスを土魔法で造った壁で防ぐ。
「虎鉄とタマも余裕が、あったら顔狙って邪魔してくれる?」
「は~い」
「任せるにゃ、チクチクやるにゃ」
虎鉄とタマに、注意を引かせて俺とまりあは龍の後頭部に回り込み、俺は切に猫、まりあは真魔裏安に魔力をこれでもかと、込めて、延髄に一閃!
シャッ
同時に振り抜かれた刀は、龍の首を抵抗も無く切り、コンマ何秒後に切れ目からブレスが漏れ出て
ズズン
頭が落ち
ズズズスン
浮いていた身体が、床に落ちた。
「収納!」
龍が消え、宝箱が出現した。
「お疲れ様、ブレスは面倒やったけど、思ったより硬くなかったな」
「チクチクしている時は、再生が早かったですけどね(笑)」
「あはは、マスターとまりあちゃんにかかれば余裕そうですね」
「タマでもワンパンにゃ」
いやいやそれは······出来そうやけど、数発は欲しいやろね(苦笑)
「宝箱は~、神眼! 罠もありませんね、開けても良いですか?」
「良いよ」
「ありがとう♪」
床に降りて、宝箱に向かう。
「せ~の!」
パカッ
中身を覗くと本が入っていた、タイトルは
◇グ・パヤナタ・シーが見た景色 絶景100選!◇
~あなたは全てを観ることが出来るか!~
「ここにもグさんが来てるんかい!」
「あはは、グさんって絶対に神様になってますよね」
「マスター、これってまりあちゃんが造ったメテオラ風ではないですか?」
「そうにゃね、ダンジョン入口のところだけ木が生えてにゃい所もそもままにゃ」
「「え?」」
見てみると、確かにまりあの造った物だ、他にも浮き橋や、秘密基地の絵が描かれていた。
「おいおい、この本時系列が無茶苦茶やん!」
「万里の長城風が最初の方にあるのに、最新の所に五稜郭風が描かれてます、日付けまで······」
「タイムトラベラー? 時空神だよなぁ、ほぼ」
「あはは、それは何ヵ所も回れるし、次元も飛び越えますね(苦笑)」
本を収納し、水晶玉の部屋に入る。
「誰だ貴様らは!」
ダンジョンマスターが居ました。
「ダンジョン攻略者だな」
「何! 厄災はどうなっている! 最下層の魔物を低階層に送り付け、攻略出来ない様にしてあった筈だぞ!」
こいつがここの厄災の監視者か。
ナビ、ピンクしちゃうから(笑)
『は~い♪』
シュ
嵌めて、うんうん似合ってるね(笑)
シュ
「それなら全部倒して来たぞ」
「そんな馬鹿な! ある筈がない、この星の冒険者は、20階層のボスも倒せていないのだぞ! あ? なんだこのピンクは」
「封印の首輪やね」
「ぬぐぐぐぐ! 外れん! くそ、転移!」
······
「だから封印の首輪やって、スキルも何もかも封印しておいたから、転移も無理やね」
「貴様! 外すのだ!」
「ん~、やかましいし」
シュ
ド
ドサッ
「まりあやる? ダンジョンマスター?」
「は~い♪ ペトペト」
監視者は元の星に転移させ、王様達が起きるのを待っていると、女の子が先に目を覚ました。
話を聞くと、薬草採取の依頼でこのダンジョンに、パーティー6人で来ていて、いきなりベヒモスが現れ、やられたそうだ、女の子は追突されたパーティーメンバーが飛んできてぶつかったという。
「皆はどうしたのでしょうか」
「残念ながら、俺達がこのダンジョンに来た時には既に」
女の子は涙をこぼし、虎鉄の背中に突っ伏した。
「ユタさん、可哀想ですが、どうしましょう」
「こればっかりはなぁ」
王様はイビキをタマの上で奏で、虎鉄の上では、嗚咽を奏でる女の子。
俺達は、一旦王城に転移で帰ることにした。
最初に通された応接室へ帰ってきて来て、ソファーを端によせてベットを出して、寝てしまった女の子も合わせて、2人をベットに。
俺とまりあは、今の内に逃げようかと相談していると、メイドさんが応接室に入ってきた。
ぶよんぶよんさんに腰を抱かれて嫌そうな顔をして······
「なんだ、親父もこんな若い娘を連れ込んでるじゃないか、ぐふふふ」
「殿下、お離しください」
「ぐふふふ、見学者も居るようだし、ここで良いだろう、脱ぐのだ」
「嫌でございます、お許し下さい」
ナビ、ポーションセット
『は~い♪』
転移!
パッ
「で、殿下! 頭が!」
「なんだ、頭がどうした、逃げられんぞ」
「嫌でございます! ハゲで、ぶよんぶよんは嫌なのです!」
「ハゲでは無い! このふさふさな······」
髪の毛を撫で付けようと頭に触りスリップ(笑)
来ますよ~♪
「なんだこれはぁぁぁぁぁ~!」
来たぁぁぁぁぁぁ~♪
メイドさんは、ぶよんぶよん殿下が手を離した瞬間に応接室から逃げ出した。
「うるさい! 何事だ!」
王様が起き、女の子も目を擦りながら起き上がった。
「お、親父! 毛が、毛が!」
「ん? 誰だお前は······、そのぶよんぶよんは、何故ハゲておる、それにそのだらしない腹を早くしまえ!」
「毛が無くなったんだよ! 助けてくれよ親父!」
「貴様は廃嫡の身だ、この城に居ることすら我は禁止した筈だぞ」
「俺は王子なんだぞ! 城にいて当たり前だろ! それより、髪の毛······ん? 先程まであんなに元気だった、マイサン? お~い、なぜ、しょぼくれているのだ?」
「何をまさぐっておる! 誰かおらぬか!」
するとカチャカチャと音を立て兵士さんが5名やって来た。
「お呼びでしょうか」
「うむ、そこのハゲを国外へ追放だ、2度とこの国の地を踏ませるでない、つれて行け!」
「はっ!」
「ちょっ、ちょっと待てって、こ、コラ! ロープが食い込んでるぞ!」
「魔道具を回収せよ、アイテムボックスの中身も全て出させるのだ!」
「はっ!」
手足を縛られ、いたるところから魔道具が出てくる。
アイテムボックスの中身は、スキルが無かったので、全て魔道具内に入っていた。
「して、ユタ、ダンジョンへ行ったような気がするのだが」
ぶよんぶよんは兵士に引きずられ、応接室から連れ出されて行った。
「ん? 行ったぞ、レベル上がってるだろ?」
「ふむ、何か忘れている気がするが、ステータス!」
また固まった(笑)
ユタさん、女の子は?
「少しは落ち着いたかな」
「はい、助けてもらってありがとうございます」
「いや、たまたま通りかかったしね、それで、転生者だよね」
「え? どうしてそれを、神様はそこは鑑定では見れなくなっているって」
「そやねんや、なら俺達が見えたのは、神眼だからかな」
「神眼、神眼! か、神様······」
「あはは、それは置いておいて、仲間の人達ももそうだったの」
「いえ、あの方達は転移者とおっしゃってました。私は、臨時でパーティーを請けただけですので、でも、生前の話が聞けて、いつか私が転生者と話せば本当のパーティーになれるかも、と思っていた所でしたから」
「ん~、そっか、ちなみに俺達は召喚者だよ」
女の子は、俺とまりあの顔を見て
「本当だ、日本人の顔だ、こんな時ですけど、パーティーは、枠空いていますか?」
まりあ、どうする?
良いと思いますよ、変な称号は、厨二病くらいですし(苦笑)
「空いているよ、ようこそ、"わーるどじゃんぷ" へ」
いつもお読みいただきありがとうございます。
これからも読んでもらえるように頑張ります。




