第145話 公爵令嬢Ⅲ
『勇大様、どうしますか?』
ユタ腹パンは?
ん~、アイリーンに、ギルドマスターからいただいたお金を、出してもらう形に見せかける作戦かな。
そうすれば、アイリーンの功名が爆上がりするし、ええと思わん?
わ、私がか!
『それはそれは、現国王を退任させてしまえるくらいの功名ですね(笑)』
王様を腹パンだなそれは、私はそう思うの!
あはは、いなば、その可能性もありだな。んじゃアイリーンが功名をあげて、人気者になろう作戦開始! とりあえず、渡しちゃうね、ほいっと!
あわわ、本当に入ったぞ! やるのか? やるのだな······ユタ、フォローは頼むぞ。
分かった、頑張れよ。
アイリーンが受け付けのお姉さんに向き直ってす~っと深呼吸をした。
「そのギルドマスターの悪事は分かった、だが、冒険者達に支払わなければならないだろう、これを使ってくれ、お姉さんのアイテムボックスにいれるぞ、ほいっ!」
よしよし、ちゃんと入ったな。
「はへ? ア、ア、アイリーン様!」
「どうしたのだ?」
サブマスターか、よし
「サブマスター、アイリーンが冒険者達への、報酬用の資金をそのお姉さんに預けたんだよ」
「何! 本当か!」
「は、はい、莫大な金額が私のアイテムボックスに入っています」
ここで王命やね、ギルドマスターに向かって
王命である! 今から全ての罪を素直に話し、罪を償って行け! 永続である!
「サブマスター、ギルドマスターが、いつからやり始めたのか確かめて、遡って支払うか、現状持っているものを差し替えしていくのが良いのか、街に出回ったもの、国、国外、そこまでやらないとあかんよね?」
「うむ、その通りだな、おい、ギルドマスター、いつからだ、そもそも、こんなに大量の偽装貨幣の製造、お前だけで出来まい、仲間の名もはけ!」
ギルドマスターが質問に答えていく。
「俺が就任した日からだ、私は王にここのギルドを任され、全ての貨幣を差し替えてきた、仲間は王を始めこの国の宰相、財務と、その直属の部下達だ」
「3年前からか! いったいどれだけの報酬が······調べて行くしかないか」
「何だこの騒ぎは、ゴライアス様が来たと言うのに出迎えも無しか!」
ぶはっ、カエル男爵が現れた。
「ん、サブマスターよ、ギルドマスターを呼んでくれ、ちと話があってな、応接室に案内せい」
「ゴライアス様、ギルドマスターはいますが話は出来ません」
「何を言っておる! 我が呼べと言っておるのだ! 早々に呼べ!」
サブマスターは縛り付け床に押し倒していたギルドマスターを、引きずり上げ、カエル男爵と、対面させた。
「おるではないか! まったく、ん? なぜ縛られておる」
「ゴ、ゴライアス様、全てバレてしまいました! 私達がやっていた報酬の差し替えの事です」
「な、何! なぜバレた! 貴様が! はっ!」
「ゴライアス様が共犯? ギルドマスター! ゴライアス様も、メンバーなのか!」
「そうだ」
「なっ! 貴様なぜバラすのだ! あっ······」
「取り押さえるんだ!」
サブマスターの号令が出ましたね~、ナビ、腹パンパクね、いなばの。
『は~い♪ いなばちゃんオッケーで~す!』
わ~い♪
シュ
ド
シュ
ドサッ
「グブォアッ!」
床に倒れパン一になったカエル男爵を、冒険者達が押さえ込み手足を縛っていく。
俺は隣に帰ってきた、いなばをなでなで
「にゅふふ♪」
『は~い♪ お仲間さんのお宝セットが完了しましたよ~♪』
あははは、収納! 転移!
そこに衛兵さんが到着、ギルドマスターとカエル男爵が引きずられギルドからつれて行かれた。
サブマスターはアイリーンに話しかけた。
「アイリーン様、この資金はお借りしてもよろしいですか?」
「うむ、かまわない、ユタ、追加で出せるか?」
「ああ、黒貨100枚あれば足りるか?」
共犯者達からもらった1/10ほどだが(笑)
「どうだ、サブマスター」
俺はカウンターの上に革袋に入れ、そっと出した。
チャリ
「なっ! これだけあれば大陸全土をカバー出来ると思います」
「ユタ、ありがとう、私達が住む国からこんな犯罪を出すなど恥ずかしいからな、助かる」
「あはは、じゃあアイリーン、俺達の報酬は、差し替えが落ち着いてからで良いよな?」
「うむ、サブマスター、その様にしてもらえるか?」
「アイリーン様、ユタ殿、感謝します」
そう言いサブマスターは職員に指示を出し、魔道具で他のギルドに連絡をしているようだ。
「せや、いなば、こっち来る時大丈夫だったか?」
「壁なんて、ワンパンだったよ、シロシロみたいな結界じゃないから、ほら、まりあも来たよ(笑)」
「え? それって塞がってないってこと?」
「ユタさん、いなばちゃんが転移した後、閉じなくなりましたので、シロシロちゃんが慌ててましたよ(笑)」
「あははは、まあ、頑張ってもらおう、じゃあ帰っても良いのか?」
「なっ! ユタ、帰ってしまうのか?」
「ユタさん女の子泣かしちゃ、メ! ですよ」
「うっ、ごめん、いつでも来れるし、アイリーンも来れるだろ」
なでなで
「それにユタさん、まだ何匹か厄災がいるらしいよ、シロシロちゃんがが言ってたし」
「へ? まだいるん?」
「聞いた時は、いなばちゃんが転移した後だったから、詳しくは聞けなかったけど、ここも何ヵ所か星があるみたいだよ(苦笑)」
「はぁ~、場所も分からんのに······どないせ~言うねん!」
「アスタロト大公爵呼んだら行けないかな?」
「まりあ、そもそもここに来れるか?」
「そっかあ~、前は呼んだら来たのに、ここだと無理ですかね~」
「そっか、せやな、でも次元渡れるか? 聞いてみるか」
まったり、アスタロト大公爵って次元渡れるの?
『現状 不可です』
そっか、やっぱりね。
『次元航行 設定完了しました』
出来るんかい! やけどありがとう、助かるよ。
『扉もそのままお使いいただけます』
マジか! それなら、いつでもどこからでも、行き来出来るし良いやん。皆聞いた!
は~い♪
あはは
「アスタロト大公爵来れそうですね」
「扉も使えるって言ってたし、良いな」
「私は、ここでも釣りがしたいよ? 今は籠罠仕掛けたから帰るけど」
「ユタ、アスタロト大公爵様とは? 私も公爵家の者として、ご挨拶をせねばなりません、ユタのお仲間か? こちらのいなば殿とまりあ殿も」
「私といなばちゃんはユタさんの奥さんだよ、アイリーンちゃんも奥さんになるのでしょ、よろしくお願いいたしますね」
「そうなのか、私は、いなば、よろしく! 魔王をやってます」
「はわわ、私も奥さん!」
「あっ、フリーズしちゃったね(笑)」
「とりあえず、アスタロト大公爵を呼ぼうか、おいで~♪」
そうして俺達はフリーズしたアイリーンを、微妙に浮かせて冒険者ギルドを出たのだった。




