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第138話 人身売買組織

 カーン カーン カーン


 カーン カーン カーン


 じぃ~

 いや、そんなに見詰められても造りにくいって······


 俺が刀を打ち出すとミレニアムの6人が俺の作業を見てくるのだが、刀はダメなの?


「えっと、刀はダメ?」


 ふるふる

 じぃ~


「なんかやりにくいんやけど」

「あなたって召喚者ですってね」

「ああ、この国とは違う国に召喚されたね」

「私達はこの国の貴族になってるでしょ、すると召喚した人はその場で奴隷にするらしいの、あなたは奴隷にされなかったの?」

「いや、されたけど」

「え? 今は奴隷じゃないのよね?」

「違うね」

「どうやって奴隷じゃなくなったのか教えてもらえない、この屋敷で働いてる幼い子達を解放してあげたいから」

「借金はどうするの? 犯罪奴隷では無いんだよね?」

「借金は無いのよ、借りたこともない借金があるから奴隷になった子達なの、私達鑑定が出来るから、称号に出るのよ、借金の残高が」

「それが無いって事だよね、ふむ」


 ナビ、触れば分かるかな? どこで奴隷になったかとか。

『場所は特定出来ますが』

 なら、調べてみるのもありか。


「その子達を呼んでくれるかな? 何人くらいいるの?」

「この屋敷の子達全員、32人よ」

「へ? そんな子を集めてきたってこと?」

「そうよ、理不尽じゃない!」

「いやいや、レトに理不尽な事をしてたんでしょ、まぁ、罪滅ぼしのやり方としては俺は好きやけど」

「そ、そ、そんなんじゃないわよ」


 焦ってかみかみやん。


「ほら早く、解放したいんやろ」

「分かったわ、ちょっとだけ待ってて」


 6人は家の中と、外でも作業をしている人がいるのか二手に分かれてはしりだした。


「あはは、その気持ちがレトに向けられていたらって思うことは、少しくらい良いよね」

『はい、でも転移者も召喚者も転生者もいる世界ですか、賑やかですが、たまったものではありませんね』

「私もそう思います(苦笑)」

『来ましたね』

「あはは、ちびっ子ばかりですね」

「よく集めたな、ちょっとだけやる気出てきた、きゃ~ん言わせてやろう(笑)」

「ユタさんが、悪い顔をしてますよ! 何を企んでいるのですか!」

「ん? 世界征服?」

「メ! です! しちゃダメです!」

「あはは、半分冗談だから」

「半分本気じゃないですか! ダメダメです、世界征服じゃない事を本気でやって下さい!」

「ぶ~」

「ぶ~じゃありません! まったくもう、テンション上がったじゃないですか」

「レトは元気な方が俺は好きだな」

「はへ? そ、そんな、急に言われたら恥ずかしいじゃないですか、気持ちの整理が出来るまで待ってくださいね、これでも24年の人生を経験した女ですから、うふふ」

『ユタさんからかいすぎですよ(笑)』

「あはは、可愛いから良いやん、さて、完成したし新たな問題解決に取り組みましょう」


 とてとてとてとて


 ちびっ子達を引き連れ6人がやって来た。


「連れてきたわよ」

「ありがとう、32人揃ってるみたいやね」

「はい、抜けはありませんよ」


 しかし見事にちびっ子ばかりやね。

『変な称号もありませんし良い子ばかりですよ』

 んじゃ、触ってみるからお願いね。

『は~い♪』


「こんにちは、ユタです、これから皆に飴ちゃんをあげるからね、並んでくださ~い♪」

「あめちゃん? それはなあに?」

「これなね、あま~いお菓子だよ、口の中でコロコロ転がせて食べるんだ」

「おかし! ほんとにいいの?」

「良いよ、ほら、あ~ん」

「あ~ん」


 ぽいっ


「はま~ひ♪」

「あはは、甘いだろ、ほらほら皆、並んでね~♪」


 なでなで


 次々と小さな口を精一杯大きく開けて放り込んでもらうのを待ってるちびっ子達。


 放り込んで


 なでなで


 放り込んで


 なでなで


 ちなみに、飴ちゃん触る前に虎鉄に、ペロッとやってもらいました。


 次々と、ふにゃふにゃな笑顔になるちびっ子を撫でながら


『最悪ですよ、ギルドがあります』

 マジ?

『親に借金をさせて、暴利を取る、払えなくなれば子供を差し押さえて奴隷商人に売る、この流れですね、教会と商人ギルドが、1部ですが絡んでいます』

 また教会か、国をあげてやってるとか?

『はい』

 場所は特定出来たんだよね?

『任せて下さいお宝セットもオッケーです』

 了解。


「は~い♪ 皆のお口に入ったかな~」

「ふぁ~ひ♪」×32


「何をしているの?」

「ん? どこの誰がこんなことをしたのか調べてたんだ、ちょっと出掛けるから、せや、刀も防具も渡しておくよ、ほいっと!」

「ありがとう、レトだったかしら今は、あの子は連れていくの」

「何か話でもしたいのか?」

「そ、そうよ悪いかしら?」

「良いよ、俺だけで十分やし(笑)」

「ありがと」



 俺は、一応この屋敷の範囲を結界で囲い、ナビの示した場所に透明ローブを着て、転移した。




「到着! 所でここは?」

『お屋敷の隣のお屋敷で~す♪』

「おい! お隣さんが? 領主さんが悪者?」

「悪者退治~♪」

「うおっ! いなばか、悪者退治だから来てくれたんや!」

「私もだよぉ~♪ あっちはクシナダちゃんに任せて、ユタさんの応援♪」

「あはは、ありがと、いなばもまりあも」

「誰から腹パン?」

「いなばちゃん、まだ早いよ、ちゃんと悪い人を確かめてからでないとね」

「分かった、でも、悪い顔して、お話ししてますよ?」



 そうなのだ、まさに奴隷を増やすための計画を相談している会議中に転移してきたのだ。


「宰相殿、早く隣の屋敷を取り返さねばならんのだ!」

「分かっておるわ! あの地下のダンジョンは、我ら人身売買ギルドの要所だぞ! 貴様が伯爵なんぞに手を出したのが事の始まりではないか!」

「ふむ、して、今の状況は把握したが、次の出荷分は間に合っておるのか?」

「「はっ!」」

「この6名でございます、中々の職持ちが揃いました」

「しかし、教会の枢機卿殿がこんな人身売買に手を染めてるなど、下民どもは気付く事も出来まい」

「うははは、教国上層部は全てギルド員だ、そんな漏洩はあり得ん、奴隷として縛ってあるからな、うははは!」

「あははは! ならば商談を始めましょう」


「うむ、それなら良かろう、隣なら後で我が話を着けようではないか、この国に貢献したから貴族位をやったが、ただの小娘達ではないか、我がここに来たのだ、この後にでも取り返してやろう」

「はっ! ありがたき幸せであります、王様!」

「ふはははは、よいよい、しかしここではグランドマスターと呼ぶのだ、商談なのだからな」

「はっ!」

「王よ、いえ、グランドマスター、先ほど入った情報ですが、隣の屋敷を賭けた決闘で、ユタ、レトなる者が勝ち取ったとの書類が」

「何? 聞かぬ名だが何者だ?」


「王様絡みなん? あかんやん!」

「ユタさん、お屋敷って?」

「ん? この隣のお屋敷を賭けた決闘になってね、もらっちゃいました、ちなみに孤児院にしちゃう予定」

「あはは、どっかで領地を賭けた領主の嫡男がいたって話を思い出しました、召喚されてすぐだったのでしょ?」

「あ~、ハゲテルさんやったかな? 確かに似てるね、その話は置いといて、ナビ、ここにいる奴らに触るから、お宝セットと、商品って言われた、多分借金をさせられて、奴隷にされた人達がいるはずだから、この屋敷にいる子達と他所にいる子達のポイントお願いね」

『はい、この屋敷にいる子達は既にポイントしてあります、6名いますので先に転移させますか?』

「せやね、レト聞こえる?」

 はい、聞こえますよ。

「今からそこにいる子達と同じ境遇の6人を転移させるから、相手を頼めるかな?」

 は~い♪ 任せて下さい。

「ありがと、行くよ、転移!」

 は~い♪ 到着しました♪

「んじゃお願いね」


「おい! 商品が消えたぞ!」


 その後俺達は、商談会場の椅子に座っている人達を片っ端から触っていき、ポイント、転移&奴隷解除を行い、915人を助け出した。


 もちろん腹パンだ、さてさて、この星でも教国は、悪いことをしていたようです。










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