第135話 クラブ活動応援します。
「あまり大きな町ではないですね」
「でも辺境の町らしく街壁は立派やで、屋台もあるし、降りるよ」
「は~い♪」
屋台近くの路地裏に着地し透明ローブを収納。
路地裏から出てまっすぐ屋台に
「ユタさん、高くないですか?」
「倍の値段だよね、しゃ~ないか、おっちゃん並みでネギ抜きね」
「あいよ」
「あっ、私も並みでお願いします」
「嬢ちゃんのネギは入れても大丈夫か?」
「はい大丈夫です!」
「あはは、じゃあ、ちぃ~とばかり待ってな」
「せや、器はこれでお願いね」
「あいよ」
「おじさん、冒険者ギルドはどこにありますか?」
「ん? あんたらの真後ろにあるぞ」
「「へ?」」
後ろを振り向くと、出てきた路地裏は冒険者ギルドと魔道士ギルドとの間の道だった······
「あはは、完全に見落としていたな」
「屋台しか目に入っていませんでした(苦笑)」
「ちょうど良いか、冒険者ギルドで食べよう」
「そうですね、転移者もこの町に向かって来てますから」
「あいよ出来たぞ」
「ありがとう、1200プルね」
「毎度」
うどん? を受け取り収納し冒険者ギルドへ向かい、食事処のテーブルを確保して食べ出す。
「レト、茸のかき揚げ食べるか?」
「いただきます、上に乗せてください」
「ほいっと! 俺も乗せよっと、サクサクの時とお出汁が染みた時の2回楽しめて俺は好きやね」
「はい、このかき揚げホントに美味しいですね」
「本職のうどん屋が作るかき揚げを教えてもらったからね」
「本職さんですか! それなら納得です」
「召喚者でな、元の世界に帰ったんやけど、いつかまた会おうって約束してるから一緒に行くか?」
「ぜひ、本職のうどん食べたいです」
「あはは、じゃあその時は一緒に行こうな」
「はい」
そんな話をしていると、転移者が帰ってきたようだ。
買い取りカウンターでなにやら騒いでいるようだが
「あの中に友達は居るか?」
「居ませんね」
「称号は恐喝がついてるね、ん? ああ! 放っておこう」
「え? どうかしたのですか? 恐喝とか悪い称号がついてますよね、えいっ! ってやっちゃわないのですか?」
「いや、あいつらはあのままで大丈夫、ちゃんと見たら分かるよ」
「じぃ~! な、なるほど! エクスプ」
「ストップ、ね、大丈夫だろ?」
「うぷぷ、最高に面白いですね」
「だろ? じゃあ、武器と防具造って次に行こうか」
「はい!」
武器と防具を造り終えた俺は、オマケで魔道書なんかもコピーして宝箱に放り込み、小さなログハウス前に置き、置き手紙に
3人で使ってね(笑)
と書いて張り付けておいた。
次に訪れた街はデカい、東京ドーム何個分とか考えたが、そもそも行ったこと無いし想像が出来やんかった······
まあ、デカいのは確かだ。
「これは、あの大きな建物に沢山居ますね」
「やね、とりあえずこのまま透明で行くか」
「はい建物の入口付近に降りましょう」
俺達は人の流れに逆らわず、デカい建物に入っていく。
「ここは何をしているところなのでしょうか、前の人も転移者のようですし」
「ん~格好は冒険者っぽいよな、皆この先に進んでいるしまずは見てみないとね」
「ですね、外に出るみたいですね、行きましょう」
そのまま流れに乗って行くと
「闘技場? ですかね」
「俺にもそう見えるし、おっ、あの舞台で戦うみたいやね」
「ホントです! 武台になってます!」
「そりゃ人が集まるわけやね、皆はこれを見に来てる訳やな」
「ん~でもこんなに人が居ると探せませんよ」
そんな時ナビが
『勇大様! 勇者が現れました!』
「マジか! 場所は!」
『表示します』
「レト、行くぞ! 転移!」
パッ
「超極小ウインドアロー! 連射!」
シュパパパパパパッ!
「超極小ウインドアロー! 連射です!」
シュパパパパパパッ!
「超極小ウインドアロー! 連射行きます!」
シュパパパパパパッ!
俺とレト、虎鉄がオークの大群を迎え撃つ、透明ローブを脱ぎ
「君達は俺達の後ろへ!」
「は、はい!」
6名の転移者が、透明ローブを脱いだ俺とレトの後ろに来てくれた。
「転移者だよね! 勇者はこの腕輪をはめておいて! ほいっと!」
溢れ出てくるオーク数に手が空かず、自分ではめてもらうため、封印の腕輪を転移者達に渡す。
「おい、お前が勇者だろ、早くはめろ」
「わ、分かった、ク、クソ、手が震えて」
「私にかして、えいっ! はめました!」
「ありがとう! しばらく待っててね、こいつらをやっつけてしまうから」
「はい」×6
「減ってきましたよ」
「ああ、だいぶ減ったな、君達は転移者だよね」
「はい、行なり森の中に転移したのだと思います」
「あの、このまま異世界に居ても良いのですか?」
皆が頷いている。
「ああ~帰りたくないパターンか」
「はい」×6
「じゃあ俺と、こっちのレトに分かれてパーティー組むぞ、レトも頼むね」
「はい、皆さん今からパーティーを組みますから一気にレベルが上がりますので注意して下さい」
「そだ、レトお前の刀を1本ずつ渡してやって、俺のも渡すから、あと2本は、ほいっと! まりあの借りたから、ほらほら皆1人1本ずつ装備だよ」
転移者の皆が刀を装備したのを確認して、オーク達の群れを倒し尽くす。
「な、な、なんじゃこりゃ!」
「レベルがスゴい勢いで上がって行くわ!」
「1000超えた! それに魔法とかも覚えまくってくぞ!」
「アイテムボックスも中見がオークだらけです!」
「あれ、耐性が完全耐性になりましたよ!」
「種族って何! 聖女神!?」
「私は調理神!?」
「錬金神だぜ!」
「武神だ!」
「忍神来たぁ~!」
「え? 嘘! 俺······勇神だけど封印ってなってる」
「ああ、勇者はこの世界だと、"トラブル製造機" って言われていてな、居るだけで魔物は襲ってくるから、街に居たらその街は壊滅したり、旅をすれば、盗賊、人拐い、もちろん魔物も寄ってくる職業なんだよ」
「マジですか!」
「実際このスタンピードはそのせいだね(笑)」
「そろそろ終わりそうですね」
オークが出てこなくなったので、刀を返してもらい、まりあの収納に、こっそり返して、この子達と話を始めた。
聞くと、異世界クラブのクラブ員同志で、普段からラノベを読み、考察したりするクラブのようだ、この6人は、お手製の魔法陣を教室の床に絵の具で描いて、ほにゃららと、オリジナルな呪文を唱えると床が光り、この世界に来たそうだ······
おい! タイミング良すぎるやん! いや、悪すぎるやん! でもこの子達には良かったのか?
「なるほどね、まぁ、見たら勇神ならトラブル製造機にならんみたいやから外しても良いけど、限界突破は使わないでね」
「え? 1番の売りだと思ったのですが」
「100メートル走った後に、100メートル走る早さでマラソンした後の状態になるから、その後は動けなくなるよ、動けなくなったらどうなるかな?」
「皆に助けてもらうしか無いですね」
「うん、なら、まだまだ魔物が襲ってきていて皆が助けられる状況じゃなかったら?」
「死んじゃいます」
「だから、今の君達が戦って、敵と接戦している時に使ったら? その後はしばらく動けなくなるよね、相手が強力で使えば勝てて、その後に戦闘が“確実”に無い時にしか使わないことだね」
「そうします」
「まあ、中々今の君達に勝てる者は居ない筈だよ」
「うふふ、でもこの後はしばらく身体の使い方を覚えてもらわないとですね」
「せやな、よし、ダンジョン行く! って、その前に、君達の武器と防具やな、それに制服は動きにくいし、今から造るからちょい待っててね」
とりあえず、持ち運びハウスを出し休んでてもらうことにした。
先にサルエルツナギを造り、皆に渡すと
「サルエル? ダンスでもするの?」
「ツナギ可愛いぃ~♪」
など賛否両論なので、そのまま着てもらう。
「よし、冒険者登録行くからその辺の物は触らない、ぶつからない様に気をつけてね」
「はい!」×6
それなのに
「お姉さんごめんなさい、筆をまた壊してしまいました······」
「うわっ! 机がミシッっていったぞ!」
・
・
・
「お前らもう触んな! 俺が書いてやるからおとなしくしてろ!」
お姉さんすいません······
登録と依頼も受けてギルドカードを渡そうとしたが、慣れてからにしようと俺が預かることにした。
近くにあった新ダンジョンへ向かい、攻略を始めたが······
「うげぇ~! ゴブリンが爆発した! ペッペッ、口に入ったぁぁぁ~!」
「いやぁ~! ぶらぶらさせないでよぉ~!」
「えいっ!」
ボンッ
「きゃぁ~! パオンがボンッってぇ~! ペッペッ、私も口に入ったよぉ~」
1時間後
「はっ!」
「しっ!」
「ほい!」
「せい!」
「シャッ!」
「よいしょっ!」
3時間後
「なあそろそろ晩ごはんだよな」
「でも、お金もないし」
「冒険者ギルドで換金すれば問題なしだよ」
「そう言えばお母さんが今晩はカレーって言ってた、食べたくなってきたよ~」
「でも異世界にはカレーは自分達で作るって事が多いからたぶん無いよね」
「私もカレーが食べたくなってきたじゃない! って、オークのエンペラーが邪魔!」
「ユタさん、そろそろ良さそうですね」
「片手間に出来るようになってきたし、良いやろ」
モンスターハウスの魔道具を収納し全滅させたので、ラスボスの部屋と、水晶玉の部屋もクリアして、冒険者ギルドへ向かった。
「せや、皆もこれで大丈夫やと思うから、こっからは6人で頑張れよ」
「もし困ったことがあったら応援に来ますから」
「でも本当に良いのですか?」
「ああ、せや、王命である、これからも良いことをして過ごして下さい、悪いことはしないでね、永続である!」
「はい、ありがとうございました!」×6
6人が冒険者ギルドに入るのを見て俺達は、透明ローブを羽織り、こっそり見守る。
「何か抜けたところがありますから心配ですね(苦笑)」
「ああ、物凄く(苦笑)」
さてさてどうなるかな。
順番が回ってきたようでおっちゃんの受け付けに。
「おっちゃん依頼達成の報告に来ました、お願いします」
「お預かりしますね」
「えっと騒がないようにお願いします」
「はい分かりました」
よしよしここまでは順調やね。
「これは!」
「「おっちゃん、しぃ~」」
「いやいやこれは無理でしょう!」
このパターンか! 乗りきれるか!
「おっちゃんが騒いで俺達に降りかかるだろう事は全ておっちゃんが処理してくれるの?」
「お酒を奢れ~とか、ご飯もだぁ~とか、以前にそれで黒貨が借金になった人が居るらしいですよ」
「なっ! そんなこと出来るわけはないだろう! それはダンジョンを攻略した奴の義務だろうが!」
「ダメでしたね(苦笑)」
「あはは、まぁ、あのおっちゃんに尻拭いしてもらおうか、ちなみにここの黒貨は偽物やから(笑)」
「笑いごとじゃありませんよ! ユタさん楽しんでるでしょ!」
「はぁ、出ていこうか」
「はい、バッチリ決めて下さいね」
「あはは、善処しますね」
2人は、ギルド内の皆がカウンターに注目しているので、こっそりローブを収納し、カウンターに向かった。
「おっちゃん、その話しはほんまやで、ほれ」
俺はギルドカードの攻略したと記されている部分を見せた。
「騒がれた俺は騒いだ人に全て任せて来たよ」
「そんな、まさか······」
「街中の屋台や酒屋からも沢山請求が来るから頑張ってね、ほらほら、さっさと報酬を持ってきてよ」
「え、しかしその後はどうすれば」
「おっちゃんが悪いことしたんやから、しゃ~ないよね」
「······」
「あはは、黙ってないでさっさと報酬を持って来て下さい!」
「はい」
おっちゃんはとぼとぼと、金庫へ向かい偽物の黒貨の入った木箱を持って帰ってきた。
ギルドマスターなん?
「報酬です」
「開けて見せてもらえますか?」
「え? 見せるのですか?」
「はい、他所で偽物があったので、俺達が触る前に見せてもらってます」
「いや、しかし」
「見せ下さい、まさか中見は偽物何ですか?」
「そ、そ、そ、そんな事はありませんよ、あはは」
パカッ
シャッ
「これは何かの冗談ですか?」
「え?」
横の受け付けお姉さんが
「ギルドマスター! その黒貨偽物ですよ!」
「え? そんな、偽装してあるはず、あっ!」
「おい、偽装ってなんのことですかギルドマスター」
さて、ボリューム上げて
「まさか依頼の報酬で、ギルドマスターが偽装したお金で支払っていたのですか!」
『ギルドマスターのアイテムボックスに入ってますね、物凄い金額が』
俺にも見えてたからね、金庫が偽装で、アイテムボックスから出したなら、良いおっちゃんやってんけどなぁ(笑)
すると周りからも
「さっきもらった報酬も偽物じゃねえか!」
「私のところもよ! 皆! 少し傷つけたら本物か偽物か分かるからやってみて!」
そこからはギルド内は大騒ぎだ。
「ギルドマスター、そのアイテムボックスの中見をどう説明する? さっさと報酬を出して下さいね」
「くそっ!」
チャリン チャリンと、沢山の貨幣が溢れ出てくる、その中から黒貨11枚を手元に召喚し
「確かに黒貨11枚いただきました、お姉さんギルドカードを返してもらって良いかな?」
「はい、この度は大変ご迷惑をおかけしました」
「良いよ、お姉さんは悪くないから」
お姉さんは頭を下げ、あげると
「ふんっ!」
ドゴッ
「グエッ!」
ギルドマスターの身体が横に、くの字になってその場に崩れ落ちた。
もう一度俺達に頭を下げてから、素早くギルドマスターを拘束してしまった。
大騒ぎなギルドを俺達8人は抜け出し
「あはは、まあ、こんなことがあるから慎重にな」
「あはは、そのようですね(苦笑)」
「じゃあな、今度はほんまに行くから気を付けてな」
「はい」×6
路地裏に入り、転移で俺達は闘技場に戻った。
いつも読んでくれて本当にありがとうございます。
これからも読んでもらえるように頑張ります。




