第122話 沙羅双樹(サラソウジュ)
冒険者ギルドを出て本屋を探す。
ナビ、本屋ってあるの?
『残念ながら』
しゃ~ないかぁ~
『あります♪』
あはは、そうくると思ってた。
『ナビしますね』
お願いしま~す。
ナビのナビで本屋に到着し、グさんの本がないか聞いてみる。
「すいません、グ・パヤナタ・シーさんの本はありますか?」
「ん? そっからそこまでだな」
そこには棚の列が2段分、グさんの本が並んでいた。
「おお、結構沢山あるんやね」
「ああ、この国の隣の初代国王が書いた本だからな、そこにあるので全部揃ってるはずだ、原本じゃなく写しだがね」
「分かった、全部もらうよ」
「は? 構わんが、黒貨になるぞ?」
「大丈夫、ほいっと!」
チャリン
「こりゃ~マジもんじゃないか、あはははは、相当ファンなんだな、ちょっと待ってろ、原本が1冊だけある、それも付けてその値段で良い」
おっちゃんは自分が座っていた椅子の座面を
パカッ
中には木箱に入った原本があり、それをカウンターへそっと置いた。
「原本だ、もう残ってるのはこれと、王城にあるくらいじゃないかな」
「そんな貴重な本を良いの?」
「好きな奴に読まれてこそ本は生きるってもんだ、兄ちゃんが命を吹き込むって訳だな」
「分かった、ありがたくいただくよ」
「おう、棚の奴も付与魔法がかかってるから汚れもないピカピカだ、大切にしてやってくれ」
「はい」
本を収納し
「良い買い物が出来ました」
「ありがとうございました」
ナビ、おっちゃんのアイテムボックスに黒貨10枚入れて、原本代ですと手紙を添えて。
『うふふ、喜んで、ほいっと!』
ありがと、さて、エルフの国やけど世界樹はあるの?
『ありますね、またダンジョンマスター、お友達になるのですか?』
ん~見てからかな、そこの路地裏入るから表示お願いね。
『は~い♪』
路地裏に入り確認すると、世界樹の回りは高い壁でぐるりと囲われている。
「人もいないし、転移!」
パッ
バチッ
「なんだろ今の、ちょっとぶつかった様な気がしたけど、皆は大丈夫?」
「ちょっとチクッてした~」
「え~コツッだったよ~」
「私は気になりませんでしたね」
「私も、少し抵抗があった気がします」
「ん~分からないけど皆が無事だから良いか」
『結界が張られてましたよ、あの壁が発動させる魔道具ですね』
「あ~、ここも世界樹の魔力を吸い上げてるんかいな、壁の魔道具か、ん~錬金術! 吸い上げるところを分離&消去! ほいっと!」
『うふふ、ありがとうございます、永い間少し不愉快な気分でしたが、スッキリしました』
「あ! 世界樹さんですか?」
『はい、そう言われてますね貴方からは、世界樹と、世界樹の祝福と加護が感じられますね』
「はい、俺の妻がマスターになったので」
『うふふ、私のマスターにはなってもらえますか?』
「え! 俺の方から頼もうとしてたので」
『では名をもらえますか』
「その前に、魔力供給!ほいっと!」
むむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむ
中略
むむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむむ~!
『Lv MAX』
「よし、、お名前は 世界樹」
『世界樹 登録しました』
【世界樹が誕生しました】
世界の皆に響き渡った。
『うふふ、ありがとうございます、ここには居ませんがマスターの奥さんに祝福と加護を!』
パッ パッ パッ
え? 転移してきている······
「世界樹さんありがとう!」×44
「皆! いらっしゃい!」
『あらあら、こちらこそありがとうございます』
「ありがとな、忙しい所を、ってかお風呂入ってたならバスタオルくらいしてきなさい!」
「えへへ♪」×40
「皆で入ってたの?」
こくこくこくこく
「ほら、壁の向こう側が騒がしくなってきたからお風呂に帰りなさい」
「は~い♪ 転移♪」×40
パッ
『あらあら、楽しい方達ですね』
「最高の奥さん達ですよ、ってかあそこの門が開きますね」
『範囲結界を張りましたよ、世界樹と、世界樹が教えてくれました、排除対象も』
「あはははは、ならもう入ってこれませんね、不可視もですか?」
『もちろん、そうですね、王城に保管されている世界樹の実を取り返せるのですね』
「ナビ、お願いね」
『もちろん』
「ありがと、転移!」
パッ
トスッ
目の前に世界樹の実が現れた。
『ありがとう、良ければそれをどこかに植えることは出来ますか?』
「大丈夫ですよ、希望の場所はありますか?」
『とある島があります、場所は真南に行けば見つかります』
「ナビ、マップで分かるかな?」
『確認出来ました、表示しますね』
「おお! 結構デカく見えるけど無人なの?」
『大丈夫ですね』
「無人島がありました」
『そこの魔力の集まる場所に置いてもらえれば1000年ほどで芽が出ます』
「魔力供給ではダメですか?」
『うふふ、芽が出てからなら良いのですが、それまではこの星の魔力が必要なので』
「あはは、なら1000年後に魔力供給ですね、忘れてたら教えてくださいね」
『その時はお願いします、その島も実を置いてもらった瞬間から加護持ちしか見えなくなりますので』
「おお、それは安心できるね、あっ! ナビ、結界破りのスキルで検索できる? 魔道具も」
『スキルは良いですが、魔道具はやっても鼬ごっこになりますよ』
「だったら範囲結界内の結界破りの魔道具の排除は出来る?」
『可能ですね、排除先を指定してもらえれば』
「俺の収納に排除で(笑)」
『設定しました』
『うふふ、632個の魔道具が入りましたよ』
「よし、んじゃスキル持ちを表示してくれる?」
『はい、表示します』
「あら~、赤ちゃんですね」
『その様ですね、しばらくは大丈夫そうです』
「だね。世界樹、しばらくは大丈夫そうだよ」
『ありがとうございました』
「あれをどうしようか?」
『見てるだけなら良いけど鬱陶しいですね』
「世界樹の魔力はまだ吸われてるよね?」
『微々たる物ですが、回復の方が上ですから今のところ気にもなりませんね』
「なら、今住んでる人達は無害やし、何かあったら念話で教えてくれる?」
『はい』
「よし、実を置いて、王国最後行って、残りは帝国やね」
『表示しますね』
「じゃあまたね」
『はいよろしくお願いします』
「転移!」
パッ
「到着。魔力の集まる場所に、って言ってたよね」
「「魔力ぅ~♪」」
「うふふ、あちらの開けてる場所がその様ですね」
確かに、周りからあそこに流れてるみたいやね。
浮遊させた世界樹の実をその場所に移動させていく。
開けた場所の中央が終点の様だ、そ~とその場所に置き、依頼は達成された。
「次は東の王国ですね♪」
「そうだぞ、何かあるのか?」
「いえ、そこに行くと、大陸横断じゃないですか! 冒険者としてはやってみたいことのランキングに入りますよ」
「なるほど、分かる気がする」
『うふふ、表示しますね』
「ありがと、誰も居ませんね、転移!」
パッ
「到着! あはは、これで大陸横断やけど途中経過? 間の町とか村全部すっ飛ばしやからあんまり実感無いよね」
「あはは、それは確かに、お仕事が済んでから後でゆっくり回れば良いのでは?」
「楽チンだよ~」
「ぱっ! だよ~」
「タキリ、タキツ、確かに楽だけど、途中に美味しいごはんが食べられる町とか村があるかもだよ~」
「「はわ~♪」」
うんうん、それはそうやね。
「ね、色々な所を回って旅したら楽しそうでしょ」
「「うんうん」」
「せやね、終わったら普通に旅するのも面白いかもね、よし、そのためにもお仕事やっちゃいますか、まずは屋台から」
「あはは」×4
俺達は路地裏を大通りがありそうな方に歩き出す。
大通り出たとたん
「お前達! そこから出てきたってことは革命軍か!」
「革命軍~?」
「違うよ~わーるどじゃんぷだよ~♪」
タキリ、タキツそうだよな(笑)
「革命軍が何か知りませんが俺達はただの冒険者ですよ」
「何? では何か身分を証明出来るものがあるのか!」
俺達は
シュパッ!
「シュパッ♪」
「シュパッ♪」
シュパッ!
シュパッ!
ギルドカードを提示した。タキリ、タキツのシュパッ! は口で言ってたが(笑)
「シー王国と、なんと! イモータル王国から来たと言うのか!」
「なので、その革命軍の事は分からないですし、革命軍でもないですよ」
「うむ、その様だな、済まなかった」
「いえ、誤解がとけて良かったです、この付近で何かあったのですか?」
気になるしね。
「うむ、この国を帝国の傘下に入れようとする者達がその路地裏の先にあるスラムに先日拠点を作ったと情報があってな、国軍が包囲しているところだ」
「そうだったのですね、それで俺達が出て来たなら疑いもしますね(苦笑)」
「悪い人?」
「メ! ですよ~♪」
そうやね。なでなで
「呼び止めて申し訳ない」
「いえいえ、職務じゃないですか、当たり前の事をしただけですよ、そうだ、冒険者ギルドを探しているのですが、教えてもらえますか?」
「冒険者ギルドなら、あそこの赤い屋根がそうだ」
目立ちますやん! なんだろ~って見に行ったら見付かったパターンですやん!
「あれですね、ありがとうございます」
「かまわない、ではな」
そう言って兵士さんは隊に戻って行った。
「あはは、屋台で聴き込み出来ませんでしたね」
「しゃ~ないかぁ~、行くか」
「は~い♪」×4
『新ダンジョンはそのスラムにあるのですが』
「そうなの?」
『古くからあったと思われる孤児院の瓦礫の地下ですね、そこそこ深い位置にありますね、30メートルほどですが』
「ほうほう、また地下やね、やっぱり見付かってないダンジョンは地下とか、水の底とか多いのかな?」
『そうですね、やはり近付かないと分からないのが原因でしょうね』
「よし、んじゃ冒険者ギルドに到着やし、依頼受けてに行こうか」
「はい!」×4
ギルドに入り、木札を手に取り受け付けカウンターへ向かう列が出来てるから最後尾に並ぶ。
「私達も、シュパッ! やってみたい!」
「シュパッ! やっても良い?」
「せやね、2人はまだやったこと無いもんな」
「2人で受けられるのでしょうか?」
「冒険者の規定では受けれますよ、特にダンジョン攻略なら、皆が受けてますから」
「あはは、良かったな、シュパッ! って出来るぞ」
「「やった~♪」」
「ガキがうるせえー!」
土気色をした顔色のおっちゃんが、力無い声でそう言って来た。
「「ごめんなさい~」」
えらいね~なでなで
「ああ、すまねぇ、二日酔いでな、頭がガンガンでよ」
「「かわいそう~回復魔法ぉ~♪」」
2人は覚えたての回復魔法をおっちゃんの頭に向けて放っている。
「んお、なんだ痛みが軽くなってきたぞ?」
んで、おっちゃんは、床に片膝をつき
「お嬢ちゃん達が回復の魔法使ってくれたのか?」
「そうだよ~回復ぅ~♪」
「痛いの飛んでけ~♪」
おっちゃんの頭をなでなでしながら······
「ありがとな、すっかり良くなったぞ! ほれ、昨日採ってきたリンゴだ、おやつにでも食べな」
「「良いの?」」
「ああ、今日はまともな飯は食べる気にならないと思ったからリンゴを持ってきたんだが、スッキリしちまったし、これでは力が出ん! もらってくれ」
「「ありがとう~♪」」
「あはは、こっちこそありがとうだ」
『良い人でしたね』
やね、腹パンにならなかったからね(笑)
そんなことをしている内に順番が来た。
俺とクシナダで2人を抱っこして、カウンターの下に木箱を置き乗せてやった。
「「これお願いします」」
「はい、ギルドカード出せるかな?」
受け付けお姉さんは木札を確認し、2人に対応してくれる。
「シュパッ!」
「シュパッ!」
「うふふ、お預かりしますね」
そうして2人分登録し
「はい、タキリちゃん、タキツちゃん、依頼の登録終わりました、木札も1つずつ持って、失くさないようにね」
笑顔で2人に渡してくれる。
「「は~い♪ 失くさないよ~♪」」
2人は収納し
「「ありがとうございましたぁ~♪」」
「うふふ、頑張って来て下さいね」
「対応ありがとうございました」
「いえいえ、私もやってもらった記憶がありますから、うふふ」
「なるほど、あははは、よし、行くぞ!」
「「おお~!」」
「では」
「お気をつけて」
そうして俺達はギルドを出て路地裏へ向かう······
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