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第116話 お宅に訪問

 大通りで路地裏を探しながら


 ナビ、大陸最難関+新ダンジョンにして、クシナダの手柄にするから新ダンジョンある?

『はぁ~残念ながら』

 あかんか~

『あります!』

 あるんかい! ってかそのフレーズ久しぶりやん!

『うふふ、やりました(笑)』

 んで、新ダンジョンは入口だけチョロっとやって、最難関を完全攻略が良いかな。

『そうですね、新ダンジョンは魔族の国との間にある大きな湖の島にもありますので、利権が発生する場所です』

 どっちのかややこしいなそれは、ん? 島にも?

『はい、もう1つはなんと! 大陸最難関ダンジョンの、入口の真下にあります!』

 は?

『正確には、最難関ダンジョン入口の地下30メートルにあります』

 なら、地面掘らないと入れないダンジョン?

『正解! しかも地上は最難関ダンジョンの範囲に入ってますので、両方攻略してしまわないと入口を外に出せませんね』

 リンクして入口を移動させるとかしないと無理やね。

 じゃあ、新ダンジョン+攻略2個やね、黒貨21枚か、クシナダが、あわあわしそうやね、よしそれ採用!


 路地裏に入り、さぁ! と思ったのに、俺達と同じように路地裏ヘ、大通りから曲がってきた集団がいた。


 俺はクシナダの肩に手を置き止まってもらう。


「ちょっと待ってね、後から来た人が通りすぎるの待つから」

「どうしてですか?」

「後で説明するから待っててね」

「はぁ」


 そりゃ何でだろうってなるよな。


 俺でも用事がなければこんなところで立ち止まりはしないし。


 路地裏の中央付近で立ち止まり、端に寄っておく。


 なのに後から来た奴らは俺達を囲むかの様に近付いてくる。


 そして


「やっぱりクシナダだぞ、羽振りの良い服なんか着やがって、早く脱げ! 俺達が売ってくるからよ」

「何グズグズやってる! いつものようにボロボロの服着てどっか行けっての!」

「もうこいつごと売りに行くか?」

「ダメダメ、こんなガリガリで胸も無いガキなんか買ってくれるわけ無いだろ、あそこは娼館だぞ?」

「あははは! 無理だな、裸で股を開いていても、誰も襲ってくれないって」

「こいつの妹はそろそろ行けそうだろ? 胸だけはデカいし、この後、拐っちまうか」

「味見は俺が1番だぞ」

「またかよ! たまにはこっちに回せ!」


 妹も居るの(笑)


 あはは、ナビ、腹パンパク用意してね、いなばが来たから。


『うふふ、だと思って連絡しました』

 了解。


 いなばが、糞達の後ろにいるので、俺は頷いてやる。


 いなばは、めっちゃ笑顔で頷き


 シュ

 ドドドドドドドド

 シュ

 ドサッ×8


「いなば、ありがとうな」


 なでなで


「にゅふふ」


 くねくねしてますよ~いなばさん


「はへ?」


 あはは、いきなりこいつらが倒れたし、クシナダがムンクさんですね。すると


「じゃあ、帰るね、今エトリに竿を持ってもらってるの、トローリング中だから!」


 おい! 誘ってほしかったけど


「楽しんできてね」

「うん、転移!」

 パッ


「はぁ? 消えた?」


 うん、固まったね。


「ナビ、妹のポイント出来る?」

「出来ます、本当の妹では無いですね、魔族ですから」

「良いやん、妹なんだから、それよりこいつらハゲ&不能にして、"男好き"の落書きやな、仲間も全てポイント頼むそいつらの微々たるお宝もね」

『は~い♪ あらあら男性は8割女性も6割が犯罪者ですね、煮干し3号へ旅行に行ってもらいますか?』

「ん~そいつらに小さい子供居るかもやし、念話で王命にするか、せや、スラムの住人の全てにしよう」

『無難ですね、スラムの住人及び、スラムに居る全ての人にポイントしました♪』

「ありがと、そっかスラムに入る奴らもいるしね」


 王命ある、今この時より良き事をして生きて行け! 悪しき事の禁止! 永続である!


「良し、後は収納!」

『うふふ、スラムに黒貨がありましたよ』

「マジで!?」

『元締めなのでしょうね、今その黒貨があった場所に執事さんらしき人がいて、急に裸になったのと黒貨が消えて慌ててますよ(笑)』

「あはは、何かの依頼に来てたのかな? しかしそんな大金でどんな依頼やろ······とりあえずポーションは、女性無しで、転移! 落書きも、女性無しで、転移!」

『一応女性には優しいのですね、うふふ』

「あははは、これで後から来た悪い奴らはスラムの住人に捕まって衛兵さん行きやね」

『うふふ、ですね、執事さんぽい人が拘束されてますね。では妹さんはどうしますか?』

「ついでにレベルアップしておいた方が~やけど話し聞いてみないとね、場所ナビしてくれる?」

『良いですよ、ルート表示しますね』

「ありがと、クシナダはおんぶしてっと、軽いなぁ、もっと大きくなるから頑張れよ」


 ナビのナビしてくれる通りに道を進む。


 剥げて顔に落書きのある男達が目立ち始め、ゴミを拾い掃除している、良いことやね。


 スラムの奥へ進むと徐々に建物が本当に今にも崩れそうな小屋になり、その中の1つにルートは繋がっている。


 扉の前で止まり、ノック。


 コンコンコン


 中の人達が動く気配がする、複数?


 ギィー


 軋む音を立て扉が、半開きになり


 ひょこ


 クシナダより頭1つ背の低い、幼女っ子が出てきて、俺の顔を見て観察······ハッとした顔で、やっと俺が背負っているのがクシナダと分かった様子。


「お姉ちゃん寝てるの?」


 首を傾げたずねて来た。


 可愛いやんこの子! 白髪に近い銀髪で、角が横から羊の巻き角がくるくる巻いて生えている。


「うん、そんな感じだよ、中に連れて入っても良いかな?」

「うん! どうぞ!」


 大きく扉を開けてくれた、中に入るとさらにもう1人の幼女っ子が居た、そして


「こっちだよ」


 部屋の奥を指差し奥へ行くのだが、そこは壁、もう1人の子が木の棒で、壁を叩く。


 コンコン ココン コココン


 何かリズムになってるのかな?


 叩き終わると壁を、と言うか、壁板を1枚がパコっと外し、すると奥に細い通路が現れる······壁を叩いたのはどんな意味があるの? ただ叩いただけなん!?


「こっちだよ~」


 幼女っ子2人が


 とてとてとてとて


 細い通路に入っていくので、俺もなんとかクシナダをおんぶしたまま通路に入り、後ろの入口は、俺がなんとかクシナダを落とさない様にして閉め、数メートル進んで左に曲がる。


 曲がると先が見え、明るい空間があるのが分かった。


 ぽっかり開けた場所に出ると


「ここだよ」


 ここがクシナダの部屋? 家なのか?


 屋根無いやん! 外やん!


 どうやってここが出来たのか分からないが、スラムの小屋が建ち並び隙間が無いように建てられているはずが、ぽっかり空いた空間に木箱が4つ並べられ、ベット代わりなのかな? ちょっとした小上がりになっていて、毛布が3枚枚か置かれている。

「お姉ちゃんの場所!」


 と、指差したのは、地面だ······


 小石などが無くなり土が固まった様に少しつるつるしている様に見える。


 はぁ~んなとこで寝てたんか、このちびっ子達も

『なんとかしてあげましょう』

 ああ、そうしよう、いっその事連れて帰るか?

『それが良いでしょうか、あっ起きますね』

「ううう~? はれ?」

「「お姉ちゃん起きた~♪」」

「気付いたか? クシナダの家だぞ」

「ほんとだ皆居るし······へ? なんでここに居るの?」

「クシナダが寝ちゃったからだよ」

「ううう~ごめんなさい」

「良いよ、この子達がクシナダの妹さん?」

「うん、2人とも良い子だよ」

「お姉ちゃんごはん食べれた?」

「ぐうぐう鳴ってないから大丈夫みたいだね」


 1人の子がクシナダの脇腹に耳をあててる。


「大丈夫よ、今日は食べたから」

「良かったね♪ じゃあ、今からまた拾いに行こう!」

「「おう!」」

「今日は大丈夫だよ、お姉ちゃん冒険者になって働いちゃうから!」

「「スゴいぃ~!」」

「クシナダ、この秘密基地を改造しても良いか?」

「屋根が出来たりする? 雨が降ると表側で寝るけど鍵が無いから危ないの」

「知らない人が入って来るから」

「マジか!? そんなん危ないから任せとけ!」

『トレントの加工は任せてくださいね』

 頼むね、魔道具も贅沢に使いましょう、盗めないようにもしやんとな。

「表からここまでがクシナダの物なのか?」

「そうだよ、本当はそっちの壁はもう少し向こうにあったけど2年前に取られちゃった」

 ナビ、記憶からどのくらいの広さとか分かるかな?

『分かります、結構広いお屋敷だった様ですね、ここは中庭のほんの一角で壁が出来たと言われた所には井戸がありますね、おそらく貴族の屋敷に勤める小間使いさんの家がクシナダさんのお家ですね』

 なるほど、まぁ今さら文句は言わないけど地下に広げますかね(笑)

 表側のスペースも全て使って最高の秘密基地を造ろう!

「これから魔法使うから驚かないでね」

「「は~い♪ 魔法♪」」

「はい」

「まずは、浮遊!」


 3人を浮かべる。


「スゴ~い♪」×3


 クシナダも一緒に驚いている(笑)


「ギリギリまで使いたいから、土魔法! 地上2階、地下も2階の建物! ほいっと!」


 屋根が出来、窓が無いため真っ暗になる。


「きゃ」×3

「続けて、トレント使って内装! ほいっと!」


 室内を木で、床、壁、天井まで、窓は無しなので、光の魔道具を使い部屋中を明るくする。


「明るくなった!」×3


 1階はキッチンと、皆で座れる様に小上がりにして、畳を奮発して、敷き詰めると、藺草(いぐさ)の良い匂いで田舎の和室を思い出す。


 畳を敷くからには裸足で歩きたいし通路の出口に下駄箱を設置し、3人の靴を脱がせ、クシナダに作った靴とお揃いに作り直して下駄箱に放り込む、ついでにスラさんお願いします!

『は~い♪』

『任せて♪』


 ぷるん ぷるんと分裂し、1人に1匹ずつ頭に飛び乗って、にゅるんと綺麗にしながら寄生していく、驚いている内に服もエトリの糸で造り変えた。


「付与もガチガチでほいっと!」


 湿度調整、温度調整の空調の魔道具、それに光調整、水も出し放題にした。


 魔道具ラッシュを続けて、コンロも3口、冷蔵庫に宝箱型の食料庫、中身入り。


 2階は寝室大きなベットで3人がゆったり寝れるように設置。


 地下1階には、お風呂場、洗面所、地下2階はスラムの全てが入る大きさにもなる様に、空間拡張しておいた、物を置いてもその分広くなる様にしておいたが、たぶんそこまで大きくは使わないだろうけどね。


 後は細い通路も土魔法で囲みトレントさん表の部屋も内側を土魔法で固め、中はトレントさん、表側のとびらに鍵も付けて防犯対策して完了。


 リビングへ戻り3人を床に下ろしてあげると


「綺麗なお部屋になったよ♪」

「きゃ~♪」

「草原で寝転がってるみたい!」

「良い匂いね~♪」

「2階があるよ♪」


 バタバタと走り回る幼女っ子達、クシナダは


「ユタさんこれって、夢?」


 ぺしっ


「痛っ!」

「夢じゃないだろ?」

「ぶ~デコピン酷いです!」

「あはは、でも屋根が付いただろ?」

「はい、なんだか普通の家みたいですね」

「だろ? 普通よりちょっと頑丈で快適だけどな(笑)」

「キッチンもありますね······食材採りに行かないとですね」

「ん~冷蔵庫と、宝箱の中身見てみなよ」

「ん?」


 とてとてとてとて


 宝箱から開けるようだ。


 パカッ


「なっ! 満タンですよ! もしかしてこっちも」


 タタタ


 パカッ


「いっぱい入ってます! ユタさん!」


 クシナダは俺に飛び付いてそのまま抱きついた。


「ふえぇぇぇ~ありがとぉぉぉ~!」

「お姉ちゃんそこだ! ちゅ~」

「「ちゅ~」」


 いつの間にか1階に下りてきていた幼女っ子達がそんなことを言ってる、いやいや、しないからね。


「ユタさん······ちゅ~」


 ぺしっ


「痛っ! なにするんですか~」

「幼女っ子達に乗せられてそんな事をするんじゃありません!」

「そうでした! でもおっぱいニギニギされましたよね?」

「その節はまことに申し訳ありませんでしたぁ~!」



 で、俺は皆にごはんを作ってるわけだが、カレーにしておいた、ルーを入れ完成。


 小上がりに皆が集合し、ちゃぶ台を出して皆で輪になって食べ始めた。


 食べ終え、幼女っ子達は眠くなったのか畳で寝出したので2階に連れて行き、ベットへ寝かせ2人に毛布もかけてあげた。


 1階に戻ったクシナダと俺は


「よし、ダンジョン行くぞ、夜の内に2ヶ所回っちゃうからね」

「はい! 頑張ります」


 ナビ、最難関から行くよ、透明ローブ着ていくから入口前をお願いね。

『は~い♪』


 俺は透明ローブを出しクシナダにも渡す。


「それ着て行くから羽織ってね」

「は~い、カッコいいローブですね」

「だろ? よし、転移!」

 パッ


「ひゃ! やっぱり知らないところに飛べるんだ!」

「そだよ、最初はしばらく俺だけでやるから見ててね」

「はい、お願いします!」


 俺はお姫様抱っこすると


「きゃ、またこの格好ですか······」

「しばらく我慢してね、虎鉄も適当に最初は頼むよ」

「は~い♪」

「へ?猫さんが喋りました!」

 驚いている内にスタート!

 シュ


「何階層あるの?」

『9850階層ですね、深くは無いですね、最難関と言うだけあって、最初の階層でオークリーダーが最弱の様ですね』

「だね、ドロップは色々だから人気は出てる感じかな」

「あの、さっきから誰とお話ししてるのですか?」

「そうかまだ念話のレベルが低いから聞こえないか、ナビ、聞こえる様に出来るよね」

『はい、初めまして、ナビです、よろしくね♪ クシナダちゃん』

「はわわ! 声が聞こえました!」

「だろ? 少し話ししてたら自然に聞こえる様になるから」

「はい」


 クシナダとナビがお話ししているのを聞きながら、階層を下りて行く。



「おっ、このパーティーが1番下まで来てる人達やね」

「苦戦してますね、マスター助けますか?」

「足を狙って動きを鈍らせておけば良いかな、超極小ウインドアロー!」


 シュパパパパパパッ! シュパパパパパパッ!

 シュパパパパパパッ! シュパパパパパパッ!


「足が吹き飛んでしまってますね」

「あはは、ドンマイやね」


「隠し部屋発見! 神眼! よし、魔力供給!」


 カチャ


「中も良しやね」


 中に入ると大きな宝箱があった。

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