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第112話 そう言えばそんなことも言ってたような······

「食べ物で遊ぶんやない!」


 ぺしっ

 ぺしっ


 2人にデコピンして、スラさんに頼んで4つ分裂してもらい、2人を見て頷く。


 2人は寄生スライムを見て力強く頷き、真桑瓜を取り出し収納、寄生スライムを、俺から受け取り革鎧の下に潜り込ませる。


 するとそこには "バインバイン" な2人が立っていた。


 偽物だが······喜んでいるから良いことにしよう。


 で、ここは新ダンジョン前なのだが、朽ちた小屋が建っていた。


 奥には土窯があるので炭焼小屋だったのだろう。


 屋根は落ち石壁が少し原型を残しているだけの小屋だったもの、入口らしき場所から覗くと壁が崩れ向こうに森がみえていた。


 小屋の残骸を収納してしまうと、ぽっかり穴が開き階段が現れた、俺達は頷き合い入口へ進み、階段を下りた。



「フィールドタイプやね、ナビ、深さは?」

『25000階層で中々の深さですね』

「ありがと、3回くらいでなれるかな(笑)」

「私は2回半でなれると思いますね」

「何になれるにゃ? 私はお姫様になりたかったにゃ!」

「バステトちゃんなら頑張ればなれるかもね、うふふ」

「そうかにゃ? 生まれが農家にゃ、大丈夫かにゃ?」

「バステトちゃん、王子様がいたら誰でもお姫様になれるのですよ、バステトちゃんの王子様を見つけたらいつでもお姫様になれるのです!」

「はわわにゃ! まりあちゃんはお姫様にゃ?」

「うふふ、私は王妃になっちゃいましたしよ(笑)」

「はわわにゃ!」


 そんな話をしている2人は、実はタマに乗っていたりする。


 武器系のダンジョンで、公開したら中々の人気ダンジョンになりそう、入って早々微量だがミスリルを含んだ武器がドロップされる。



 シュパパパパパパッ!


「おお! 聖剣の良いのが出るな、オリハルコンが8割ほどだぞ」

「本当に、先程の聖弓もスゴく良い物でしたし、あっ! 今度は魔剣ですね、これも中々、毒耐性が高い方ならスゴい戦闘力アップになりますよ!」



 シュパパパパパパッ!


「あれ? 今のラスボスやん! 終わってもたけど話終わり無さそうやね」

「ですね、登録しちゃいましょうか」



『もふもふ 登録しました』



 シュパパパパパパッ!

 シュパパパパパパッ!

 シュパパパパパパッ!


「なぁ虎鉄、こう言うのもありなのかなぁ」

「あはは、たまには? 最近のダンジョンだと皆が頑張ってますので、ちょっと暇そうにしてたのですから」

「だよな、既に3周目で農業神になってるからそろそろ切り上げようか」

「そうしましょう」



 ダンジョンから転移で一旦入口へ戻り外へ出て、地均しして、ざっくりと東屋と看板設置しついでに2階建ての詰所を造り終え、なんとも言えない顔でタマが


「どうしたら良いにゃ······」

「浮遊! タマ、退いても良いよ」

「すまないにゃ、ここまで意気投合するとはにゃぁ~」


 タマは小さくなり俺の足元へ脇に手を入れ持ち上げ俺のフードに、卵に、虎鉄に、タマが入るとパンパンだがなんとか入った。


「ナビ、路地裏表示お願いね」

『は~い、浮いてることにも気が付いていない様子ですね』

「あはは、たまにはこんなのもありでしょ(笑)」

『うふふ、今なら誰もいませんよ』

「ありがと、転移!」

 パッ


「到着、そ~と降ろせば立って歩くかな?」


 2人を地面に降ろして向かう方向に軽く腰に手を添え押してあげる。


 すると、歩くではないか!


 路地裏から大通り、屋台があったが我慢して冒険者ギルドへ向けてゆっくり歩いていく。


 冒険者ギルドの入口をくぐり、受け付けカウンターへを向かう。


 まだまだ買い取りカウンターも、1組のパーティーがいるだけで閑散としている。


 食事処には数組のパーティー、受け付けは誰もいないのでまっすぐ進みカウンターへ到着。


 ナビ、バステトのギルドカードとダンジョン攻略の木札、ダンジョンカードもポイントしてだせるかな?

『は~い♪ すぐ出せますよ』

 ありがと


「これお願いします」

「お預かりしますね」


 受け付けお姉さんは、渡した瞬間にギョっと目が見開いたが、魔道具を操作し木札の内容を、打ち込む


 カタカタカタカタ


 バステトのギルドカードを魔道具へ通し、ダンジョンカードも通す。


 お姉さんは立ち上がり


「少々お待ちください」


 ギルドマスターの所に行くかと思ったが、直接金庫へ向かう、胸元から鍵の付いたネックレスを首から外して鍵を開け金庫の扉を引っ張り開けた。


 お姉さんはしゃがみこみ、中から装飾の施された木箱を取り出し金庫を閉め、立ち上がりこちらに向かってくる。


 神眼! 本物やし、ギルドマスターやん! 受け付けのお姉さんやと思てたのに、ギルドマスターやん!


 そのままどこにもよらずカウンターに戻ってきて


「お待たせしました、報酬になります」


 俺は報酬を受け取りながら


「ありがとうございます、騒がれるかとドキドキしてましたが助かりました」

「あはは、そうしてしまいたいのは今もですが、金額が金額ですので、高額報酬の時は目立たないように心がけてます。なのでうちの職員は分かっているのでほらこの子もプルプルしちゃってます」


 隣にいるこも確かにプルプルしちゃってますね。


「あはは、配慮助かります、では俺達はこれで」

「はい、お気をつけて」


 俺達は騒がれもせずギルドを出たのであった。


 屋台があったがさらに我慢して路地裏へ向かう。


「ナビ、何ヵ国あるの?」

『この大陸は、獣王国、教国、魔族の国、エルフの国、ドワーフの国、王国が3国、帝国が2国の10国ですね』

「なら残りは9国か、教会が壊滅寸前だから教国を先にやっちゃおうかな?」

『2人はどうします?』

「あはは、秘密基地かなやけど、バステトは家ないの?」

『ありますね、送っておきますか? 家のベットの上にでも』

「タマ、まりあに着いて行っておいてくれるか?」

「仕方ないにゃぁ~、行ってくるにゃ、転移!」

 パッ


「ありがとね、俺もいくか」

「おい! いたぞ!」

「ああん! 女は! 良い女2人も連れてるガキがいるっていってたのによぉ!」

「んあ? おいガキ! どこに隠した!」

「お、俺はじゅ、獣人がい、良いなぁ」

「お前は最後だ! いつもいつも女を壊しちまうからな」

「た、たまには、さ、最初が、や、やってみ、みたいぞ」

「うるせぇ~! リーダーに言え!」

『腹パンパク良いですよ』

 了解、いなば~出番だよ~

「お待たせ!」


 早っ! 待ってたの?


『うふふ、この人達が来た瞬間に連絡しました(笑)』

 あはは、ありがとね

「なんだ? さっきとは違うがまた良い女じゃないか」

「ガキ、さっさと金も置いて消えやがれ!」

「ユタ、良いの?」

「うん、良いよ」

「むふふ、行くよぉ~!」


 シュ

 ドドドドド

 シュ

 ドサッ×5


「成敗完了!」


 なでなで


「ありがとね」

「何てことないの! あれ? まりあは?」

「友達が出来たから遊びに行ったよ」

「ふ~ん、友達か! 魚さんに泳ぎの練習見てもらおう! じゃあね! 転移!」

 パッ


『あの自由さが魔王なのでしょうかね、うふふ』

「あはは、よし、転移!」

 パッ


 やって来ました教国に!


 王都? だよなぁ?

『教会を収納しましたから······更地ですね(苦笑)』

「まぁ、全て更地でも無いけど、冒険者ギルドは? 教会の建物借りてたのかな?」

『その可能性は高いですね、もう勝手にダンジョン攻略しますか?』

「あはは、せやね、一応神眼! おい! 召喚者おるやん!」

『すっかり油断してました! 勇者はいませんね、それが救いですが、5名です』

「転っと、透明ローブ! ほいにゃ! じゃなくて、ほいっと!」


 急いで透明ローブを羽織り


「転移!」

 パッ


「取り囲まれてるやん!」

『教会の人達でしょうね、裸ん坊ですし、魔法は使えますから気絶させましょう!』

「了解!」


 シュ

 ドドドド×84

 ドサッ×84


「きゃあ! い、いきなり倒れました!」

「い、今の内に逃げましょう!」

「あわわわわわ!」

「Yes! 急ぎますよ!」

「ぶよぶよ気持ち悪いよ~!」


「結構余裕そうだぞ(苦笑) アスタロト大公爵! 俺の真上へ!」


 言った次の瞬間に上空にアスタロト大公爵が到着。


「ナビ、あの子達のポイントは?」

『大丈夫です』

「よし、危険なことしたりされたりする前に、転移!」

 パッ


「俺も、転移!」

 パッ


 到着と同時にローブを収納


「お疲れ様、日本からようこそ? 心配しないでね、俺も他の国に召喚された、御神 勇大です」


 5人はいきなり景色が変わったので、動きを止めたままの格好で固まっている。


 全員女性やね、1人海外の方かと思ったら、おもいっきり日本名やし! ハーフか何かかな?


「えっと、召喚されたんだよね? もしかして違ったりする?」


 自分から来ることはないやろうし。


「いえ、召喚されました、それで奴隷の腕輪をはめられそうだったのですが、城とかが無くなって腕輪も無くなり逃げてました」


 あのタイミングやったんか!


『危ない所でしたね、はめられていたらまだ奴隷のままの状態でしょうし』

「じゃあ、召喚されたばかりなんですね、他に召喚された方はいますか?」

「いえ、死んで神様に合ったのはこのメンバーだけだと思います」

「え? 死んでこっちに! 転生でも無さそうだけど」

「この身体は女神様が再構築してくれたものですからある意味転生になるでしょうか」

「だとすると、元の世界には帰れないのか」

「女神様は、輪廻(りんね)か、こちらの世界でしか無理だと言われこちらに来ましたよ、帰れる方法があるのですか?」

「ちょっと待ってね、シロシロどう言うことだ」

 パッ


「創造神様から言われてたの忘れてたわ、奥さんが何人か助けて、私の管轄に送るみたいな事言ってました!」


 ぺしっ!


「痛い!」

「そう言うことは先に言え! 借りにも管理神やろが!」

「だって~」

「はぁ~あとなんか忘れてないよね?」

「ん? えへへ~もう1個の世界にもまだだけど送る可能性はあるみたいな事は言ってたような~」

「はぁ~、その人達も帰れないパターン?」

「そうなるね、魂でこちらの身体に入って定着してるし、元の身体は死んでるよ」

「あの~そちらの方は?」

「こいつか? シロシロって言う管理神だ」

「その管理神様をデコピンして怒れる貴方は?」

「俺は普通に召喚された日本人だぞ、実年齢は49歳のおっさんだ、見た目はガキだが」

「私達も実年齢は高校生になってましたから、少し若返ってますよ、では貴方も帰れないのですよね?」

「ん~ずっと向こうに戻って生活は出来ないかな、この格好になってしまったから、それにこっちで2ヶ月はたってないけど、大切な人達が出来たからね、でだ、君達を保護する事は出来ます、が、もしかすると、異世界で冒険者とかやってみたいなんて思ってるなら、補助は出来るし援助も、そんなの要らない、自分の力でやるんだ! って考えがあるかもしれないが、その辺りはどういう考えかな? 相談してもらっても良いよ、今、テーブルとか椅子出すから待ってね、ほいっと!」


 テーブルに椅子、お菓子とジュースを出し、5人にすすめる。


「では少しだけ相談してみますね」

「俺は離れておくから遠慮無く」


 俺はシロシロを連れて行こうと思ったら既に帰った後のようだ。


『あまり、こちらに出てくるのは控えているのですね』

 かなぁ、面倒くさくて逃げた! の方がしっくり来るけど(笑)

『確かに(笑)』

 だろ、さて、どうなるのかね。

『変な称号も無いですので悪い方達では無さそうですよ』

 まあ、どんな方向に行くかはわからないけど、最低限は支援する方向やね。


「あの」


 女の子達の話し合いが終わったようだ。


「はい、どうするか決まりましたか?」

「はい、やれるかどうかは分かりませんが、やれるところまではやってみたいと思います」

「分かりました、やはり冒険者ですか?」

「はい、コツコツとやっていこうと思ってます」

「分かりました、えっと最初の武器とか防具、資金、少しだけレベルアップの手伝いくらいはさせてもらえるかな?」

「よろしいのですか?」

「俺は鍛冶士だからね、武器も防具も売り物が造れるよ、それに少しレベルアップしておかないと女の子だから結構危険だからね」

「あはは、なるほどです、自分の身は自分で守らないと警察はいませんもんね」

「そうそう、だから修行と武器、防具、資金は宿に泊まるんならそこそこは欲しいよね? お風呂付きが良いでしょ?」

「それはまぁ、魔法で、えいっ! てやれませんか?」

「ん~、簡単なのは寄生スライムかな」

「スライムですか?」

「そうそう、スラさん出てきて」


 スラさんがにゅるんと服の中から出てきてくれて、頭にあがる。


「まぁ!」×5

「プルプルしてて可愛いでしょ?」

「はい」×5

「スライムを寄生させるとお肌もつるつるになるし、女性は特に喜ぶよ」

「スライムさんはどこで探せば良いのですか?」

「ん? スラさん今分裂大丈夫?」

『だいじょうぶ おなかとからだの 2つずつ出すよ ほいっと』

『がんばる ほいっと』


 プルン プルンプルンプルン プルン×2


「スラさんありがとうね、魔力供給! ほいっと!」

『またね』

『おなかいっぱい』


 そう言って服の中に消えていった。


「はい、2匹ずつね」


 皆に2匹ずつ渡し、説明する前に1匹は服の中に消えていった。


「その子達に名前つけてあげると喜ぶよ、俺は3匹だけど、皆スラさん(笑)」

「うふふ、考えてからつけますね、普段は何を食べてるのですか?」

「ん? 老廃物とかだから特に何もあげなくても大丈夫だよ、後、トイレに行かなくて良くなるからダンジョンとか街中でもすぐにトイレが無いから苦労するのだけど、それも解決するよ」

「嘘! お腹がへこんでる!」

「私も! おトイレ借りようと思ってたのに······」

「ほんとだ、ぽっこりお腹がなくなってる!」

「っ! お肌もつるつるですよ! 赤ちゃんみたい!」

「ほんとだ~こんなすべすべ初めてかも♪」

「あはは、良い子達に良い名前つけてあげてね、頑張ればお話も出来る様になるから」

「はい!」×5

「んじゃ、俺は武器とか造っちゃうから、くつろいでてもらったら良いから」

「は~い♪」×5


 俺は甲板にソファーを出し、お菓子とジュースを追加しておいた。


 甲板の少し離れた場所で風さんに音を消してもらい鍛冶を始めた。


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