第0話
カーン カーン ······
「ふぅ」
鉄を打ちナイフの形を整えた。
炉の炎に当て歪みを確認。
「よし! 良い感じやね」
「おい! 坊主、見せてみろ」
声をかけたのは、俺の師匠、ドワーフであり、鍛冶士ギルドのグランドマスターの "アルバト" だ、鍛冶士のスキル持ちの皆から神様と呼ばれる、すごい人だ。
「おい、アルバト! 俺は坊主じゃないって何回も言ってるだろ!」
「てめえこそ、師匠と呼べ! ってか、そのナイフを見せてみろ!」
と、俺の手からナイフを引ったくる。
「ふむ」
炉の炎に当て真剣な目でナイフを見つめるアルバト。
「まぁまぁ形になって来ただろ」
「あぁ、10日ほどで、······ここまで打てるか」
「鍛冶士のスキルがあるからなぁ」
ただの鍛冶士ではないが、神鍛冶士LV-MAXってぶっ壊れスキルだったりする。
片手間で手加減しまくりでも物凄い物が出来てしまうため、隠すのが面倒くさい。
「スキルは当たり前だ! このレベルの物を打とうとすると100年は修行して打てるか打てないかだ!! ワシでも数十年かかったのだぞ!」
「まぁ、勇者召喚で拉致されたんやから、たぶんおまけじゃないか? 他の奴らはもっとすごいスキルを持ってるしなぁ(笑)」
ジト目になるアルバト、髭オヤジがジト目って······
「まぁ良い。ワシのところで基本は教えた、後は坊主が日々熟練していく事だな、······よし! こっちに来い!」
「だから坊主じゃないって! 糞爺ぃ!」
そう言って鍛冶場を出て行くアルバト。
仕方なしに、まだ手に持っていた金槌を壁の棚に片付けて後を追う。
隣の部屋では剣、ナイフ、弓、槍などの武器、鎧などの防具を冒険者や騎士団からの依頼でメンテナンス作業を10名づつ分担でしている。
横目でみながら、自己修復とか付けられないのかな、······とか思い、その部屋を通りすぎ、作業場から表に出る。
良い天気やね
「おい、こっちだ!」
と、ギルドの建物とは違う方へ進む。
そこはアルバトが住んでいる家があるのだが、いっちょ前に一軒家だ、ギルドの敷地内に2階建ての、そこそこでかい家である。
アルバトはドアを開け「早く来い!」と、呼び、俺は家に入りドアを閉める。
「そこに座れ」
と、アルバトはソファーの横に置いてあった木箱から酒瓶を取り出し、栓を抜き
ぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐびぐび
「ふぅ」
おい! 俺のは!?
「ユタ、これを持っていけ」
俺に銀色のプレートを放り投げてくる。
「おっ! ギルドプレート! って、何で銀色? 初登録はネズミ色って受け付けのおねーちゃんに聞いたぞ?」
ギルドプレートはランクにより色が変わる。
ネズミ色(灰色)→鉄(灰色に光沢がある)→銅→銀→金→白金→黒の順に上がっていく。
「あそこまで打てて灰色はない! 銅までは内弟子だが、おまえはとりあえずここは卒業だ!」
と、木箱から2本目を取り出しちびちび飲む。
「マジか、······間に合ったな(笑)」
「あの糞ガキ共に武器防具を作ってやらにゃいかんのだろ?」
「あぁ、今は皆にシゴかれ、魔術士に魔法教わって、後20日ほどでダンジョンにレベル上げに行くしなぁ。ついて行ってメンテとかしやんとね」
「お前は、戦闘職じゃないが、護身のため、多少はシゴかれて来い! 魔法も、使えるんじゃろ?」
「召喚者はほぼ使えるみたいやね、俺も使えるから、夜に魔法、早朝に時間があれば剣もやってるし、この後も魔法やね」
「忙しいのぉ······一杯くらい飲んでくか?」
と、木箱から酒瓶を取り出し放り投げてくる。
それを受け取り栓を抜き1口。
「うん、美味い!」
「まぁ、修行は終わりだがまた遊びに来い。お前くらいだ、ワシにそんな遠慮無く話ができる者は······」
「そうか? まぁ俺も、今はこんななりしてるが50前のおっさんやったからなぁ」
「ふん! 今は10歳以下に見えるぞ。ぶわははははっ!」
そう、糞ガキ共のせいで、某名探偵のようにチビになってしまったのだ······
3話目から物語が動きだします。
2022年4月22日から書き始めた初心者物書きです。
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