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夢の覚書 第6夜

作者: 悠々

 実家である。何のために実家にいるかはわからない。夕暮れ時、ふと散歩をしたくなった。実家はいわゆる田舎であるため、周囲には田畑と野山が広がっている。郷愁にかられふらふらと外に出た。水田の脇を抜けちょっとした山道に入る。とはいえ、それほど深い山道ではない。道路もきちんと舗装されており車も通れるような道だ。やや薄暗くなってきた中、そろそろ帰ろうかと踵をかえすと奇妙なものが目に入った。舗装されている道は、車道、歩道をガードレールがぽつぽつと置かれている。その中の一つに、花が生けられた陶器がおかれていた。最初は、そこで事故があり語の追悼の花かと思ったが花瓶となっている陶器が、非常に独特な形をしているのだ。まるで、既製品をいびつに捻じ曲げ、その耐久性のギリギリまで押しつぶしたような、何とも名状しがたい形をしている。つい、まじまじと見ていると妙なことに気が付いた。その陶器の上に、水を湛えたペットボトルを半分に切ったものがおかれており、底に穴でも開いているのだろうか、一滴一滴水が陶器と花にかかっている。花は、水仙のようだ。とても、いやな感じがした。どこかの誰かが、これを準備した。執念というか、悪意というか。私は、急いで引き返すことにした。何かに急き立てられるよう、家に逃げ戻った。家にて、一息ついたとき、私は、かつてあの陶器を見たことがあることを思い出した。あれは、確か。いやな不安感にかられ、衝動的に小、中学校の卒業アルバムを引っ張り出した。学校行事中の写真を探す。それは、小学校の遠足の時の写真に写りこんでいた。折しも、私が今日あれを見かけた山道を、私たちは遠足の時に通っていたのだ。写真の山道は今のように舗装されておらず、ガードレールもなかったがおそらく同じ場所だろう。ガードレールのあった場所に大ぶりの石が置かれており、陶器に花が生けられている。そして、大ぶりの石の上に、同様に、半分に切ったペットボトルが、置かれており、今日見たのと同様に、水が花と陶器に滴っているようだ。生けられている花も、同じく、水仙。続いている。そう確信した。

 そこで目が覚めた。

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