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花血

作者: 玉木清次郎

 画家は人を殺した。

 映画の悪役に恨みつらみな理由は無い。ただそうしたかったようだ。

 雲が覆う空の下、青臭い草原を血濡れた包丁を持ちながらゆらゆら歩くその姿は崖に架けられた一本の縄を渡りきったような開放感があった。

 警察二人を乗せた車が、画家の遥か後ろからサイレンを鳴らして存在を主張している。サイレンの微かな音を聴いた画家は背中に嫌な冷や汗をかくと、早足で草原の奥へ進んでいく。

 画家は警官が来ていないか気になって後ろを向いた。同じタイミングで空の間から光が差した。

 画家を追うように垂れた血は、太陽で艶やかにきらめき、新しい花のように見えた。まるで「ヴィトゥイユの景色」で描かれていた草原だ。それを見た画家はうずくまりながら泣いていた。興奮と達成感が、画家の体を満たしていた。

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