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幸福な結末

「どうしようアメリア、とても信じられないよ、僕のサンドラが、そんな……っ」


 しがみついて泣きじゃくるアルバートを、アメリアは優しく抱擁した。


「ええ、私もとても信じられませんわ。アレクサンドラさまが護衛騎士と……だなんて。だけどあの髪の色を見てしまっては、どうしても……」

「言わないでくれアメリア、頼むから、言わないで……」

「アルバートさま。大丈夫ですわ。私がおります。貴方をけして一人にしません。大丈夫です」

「ああアメリア、アメリア」


 慟哭する背中を撫でながら、アメリアは恍惚に打ち震えていた。

 アメリアの胸に顔をうずめるアルバートのなんと可愛らしいことか。


(やっと帰って来てくれた)


 今回はいつもより少しだけ長引いたけど、ちゃんと帰って来てくれた。

 分かっていた。アルバートは最後には必ず自分のもとに帰ってくると。

 分かっていたから今までずっと待っていた。


 アルバートの慟哭がようやく収まりかけたころ、アメリアは特別な秘密を打ち明けるようにささやいた。


「アルバートさま、私から大切なご報告がありますの。実は私のお腹に、アルバートさまのお子が宿っております」


 アメリアの言葉に、アルバートはゆるゆると面を上げた。そして涙にぬれた顔のまま、「……本当か?」と問いかけた。


「はい、先ほど侍医に確認したら間違いないそうです。きっとアルバートさまそっくりの金髪で青い瞳の子供が生まれますわ」

「アメリア……」


 呆けたようなアルバートに対し、アメリアは優しく微笑みかけた。


「だから大丈夫ですわ、アルバートさま、なにも心配いりません。私たち、ちゃんと幸せになれますわ」


 それは不思議な感覚だった。

 自分の胎内に、王家の血を引く尊い命が宿っている。

 月が満ちて生まれるのはきっと男の子だ。

 金の巻き毛と青い瞳の男の子。

 あの醜い赤毛とは比ぶべくもないほどに、美しく優秀な子になるだろう。


「アルバートさま。私たち幸せになれますわ」


 アメリアは愛しい男を抱きながら、うっとりとそう繰り返した。


ここまで読んで下さってありがとうございました。今後も不定期で後日譚や番外編などを投稿する予定です。

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コミック8巻の予約受付中です。とても素敵な漫画なのでよろしくお願いします!
関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました⑧
コミック8巻の書影です
― 新着の感想 ―
[一言] 読めば読むほどアルバート王がク●すぎてビビってしまいますね。 アメリアにすら同情してしまうレベルでひどいなと思いました。 お話はすごく面白かったです。このあとも続くことを楽しみにしています!…
[良い点] 登場人物の生い立ち、性格、色々な行動を起こすきっかけとなった場面や心情がきちんと考えられていること。 主人公が無事にカインと結ばれたこと。 カインが主人公の意思を尊重する誠実な男性であるこ…
[良い点] その、何でしょうか。 人生で絶対に間違えてはいけない二択を常に間違え続けた人らの物語って言えばいいんですかね...... 正直、主人公らが不憫過ぎて途中から読む気が無くなりかけましたが、…
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