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ナイジェル・ラングレーの秘密(カイン視点)

 アメリアに相応の報いを受けさせる。

 そう決意したあと、カインが最初に行ったのは、動かせる限りの金をばらまき、コネクションを総動員して、ナイジェル・ラングレーについての情報を集めることだった。

 侯爵家当主ともあろうものが、なぜこんなリスクを冒してまで王妃の言いなりになっているのか。  

 王妃に一体どんな弱みを握られているのか。


 しかし案の定というべきか、彼と王妃との間にこれといった繋がりは見つからなかった。王妃の実家であるミルボーン侯爵家とも同様である。

 ナイジェル自身に関しても、侯爵という身分を別にすれば、さしたる特徴のない独身の貴族男性という評価に尽きた。

 領地経営は管理人に任せきりで、もう何年も帰っていない。婚約者を亡くしたあとは特定の相手を作らず、ずっと独り身。趣味は乗馬とチェスという、貴族男性としてはありふれたもの。

 ただあえて特徴を挙げるとすれば、そのチェスへの情熱が尋常ではない点だった。


「若いころは友人と金を賭けた勝負をして、何度か揉めたことがありますよ。それで仲間内には相手をしてくれるものがいなくなったとか。だから彼は数年前から王都の外れにある会員制クラブに通い詰めて勝負を楽しんでいるようですね」


 情報提供者はクラブの場所として使われている屋敷のことを教えてくれた。まさかと思って調べてみると、屋敷のかつての所有者はミルボーン家の強い影響下にある男爵家だった。

 

(ただのチェスクラブではないのかもな)


 金を賭けた勝負をやっている、一種の賭場のようなところなのかもしれない。王家の暗部に触れることも多いミルボーン家は、裏社会ともつながりがあると噂されている。

 賭場の客を借金漬けにして弱みを握り、己の言いなりにするというのは、いかにもありそうな話である。

 カインはさっそくクラブに潜り込むことを考えたが、入るには紹介者が必要だとのことだった。


 

 紹介者探しは思いのほか難航を極めたものの、最終的にピアニストのアンブローズ・マイアルから伝手を得ることに成功した。

 フィールズ家での合奏以来、アンブローズとはなんとなく交流が続いていたのだが、彼は「もしかしたら友人がそこの会員かもしれません」と若手の作曲家を紹介してくれた。その作曲家は以前から「インスピレーションを得るため」などと称して怪しげな界隈に出入りしている変わり種で、実際に会ってみたところ、あっさりとクラブへの紹介に応じてくれたのである。


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コミック8巻の予約受付中です。とても素敵な漫画なのでよろしくお願いします!
関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました⑧
コミック8巻の書影です
― 新着の感想 ―
[良い点] さて、二人の関係がようやくはっきりとなり、いよいよ実家のコネを総動員したことで、 王国の暗部とも繋がりが深いという大貴族出身の王妃殿との対決姿勢が鮮明となりました。……そういうことだよね?…
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