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第8話 レーヴァテイン帝国魔剣学院

夕方更新ですーっ!!




 レーヴァテイン帝国魔剣学院。そこは帝国領土の最北端に位置しており、広大な敷地面積を所有している由緒正しき長い歴史を持つ学び舎である。


 現在でも世界で活躍する有数の有名魔剣使いを輩出した名門校として知られており、そこに在籍する学院生は魔剣を使用した様々な系統の魔獣や対人を想定した戦闘術や国家間の敵対戦略術の研鑽に日々勤しんでいるという。

 因みに帝国軍に所属するレイアもかつてレーヴァテイン帝国魔剣学院に在籍していた。



 偶然にも街で出逢ったクリスティア第三皇女と彼女の従者であるリーゼ。ハルトは彼女ら二人を先頭にレーヴァテイン帝国魔剣学院へ向けて歩みを進めていた。


前方にはもう学院らしき建物が見える。未だ距離的に離れているというにもかかわらず、眼前に広がる巨大な建物とその敷地の広さに圧倒されていた。



「改めて思うけどやっぱり広くて綺麗だわぁ……帝国が人材育成の為に、惜しげも無く財力を投入する理由がなんとなくわかった感じがする……」

「魔力検査・体力測定・模擬戦闘を行なう闘技アリーナ。数々の国の歴史や魔獣の生態などあらゆる膨大な情報が本として保存されている魔剣学院図書庫。帝国でも有数のシェフが集い、様々な種類のメニューをランチとして提供するカフェテリアなど、学院生が快適に利用できるように様々な施設が併設されているのです」

「これもすべて、クー様のお父上で在らせられる現レーヴァテイン皇帝の権威あってこそです!」


 微笑みながら学院の説明を行なうクリスティアと、それを補足するように誇らしげに胸を張りながら歩くリーゼ。


 ハルトが魔剣学院に一緒にきてくれと言った際、始めは疑問の表情を浮かべていたクリスティアとリーゼだったが、事情を説明すると快く一緒にきてくれた。


 再び外套で素顔を覆ってここまで歩いていたクリスティアだったが、学院の門が近くなったからかフードを外してその可愛らしい顔を覗かせる。彼女は綺麗な金髪を揺らしながら後方のアルトを向いて元気に話し掛けた。



「でも驚きました! まさかハルトさんが魔剣学院の教師として今年からいらっしゃるだなんて!」

「俺も上司から急に言われてびっくりしたよ……。行ったら行ったでインテリ風オールバッククソメガネから問答無用で門前払いされちまったし」

「レオナルド先生ですね……。彼はケルト公爵家の生まれでSクラスの担当教員に選ばれるほど生真面目で物事を冷静に判断し、適切に指導する能力に長けています。……私なんてまったく敵わないくらい、剣技練度(ソードアーツ)も実力に見合った素晴らしい数値を保持していますね」

「……私は、あの人のことは好きにはなれません」

「リーゼ」

「だって……っ! アイツはクー様のことを……!」

「―――おや、クリスティア第三皇女様ではありませんか」



 表情を歪めたリーゼがそう言いかけると、離れた場所から声が掛かる。その冷たさの籠った声の方向に視線を向けると、金髪オールバックの髪型で、目付きの悪い二十代程の長身の男が眼鏡のブリッジをクイッと上げていた。


 服装はピシッとした蒼いコートを着ており、焦げ茶の戦闘用ブーツを履いている。彼の無愛想だが整った顔立ちと全体的にフォーマルな印象で、氷のような冷たさと共に慇懃な雰囲気を醸し出していた。


 彼はじろりと一瞬だけ観察するようにハルトの方に視線を向けるが、直ぐにクリスへと戻した。


 クリスはその紅玉のような瞳を僅かに見開くと、静かに彼の名前を呟く。



「レオナルド先生……!」

「ごきげんようクリスティア第三皇女様。もしや鍛錬もせずにお出掛けですか。……ふっ、流石は『無能皇女』と学院で囁かれているだけありますね。もう少しご自分の剣技練度(ソードアーツ)を省みてはいかがですか?」

「貴方……! いくら教師といえど第三皇女であるクー様に言い過ぎではありませんか!?」

「やめなさいリーゼ。……レオナルド先生の、言う通りです」

「クー様!!」

「レオナルド先生。(わたくし)が市井に出向いていたことは事実ですが、本日はこれから学院で教師としてお勤めになるという方をお連れしたのです」



 クリスに紹介されるとハルトはレオナルドの前に立つ。頭一つ分ほどレオナルドの方が身長が高いのでハルトの方が僅かに見上げる必要があった。


 二人の視線が交錯する。レオナルドの鋭い雰囲気や視線に対し、ハルトは気の抜ける様なへらりとした態度で声を掛けた。



「数日前はどーも。約三日ぶりですかね、レオナルド先生?」

「あぁ、貴様は以前門の前で騒いでいた……」

「今年からここの教師として働くことになったハルト・クレイドルでーす。この前は渡すタイミングが無かったが……、ほれ、俺が魔剣学院の教師として働くっつー証明書も持ってる」

「これは……、朱色の帝国印も確かに本物のようですね」



 目を細めて一枚の紙に目を通すレオナルド。その証明書はハルトがレイアから追い出される直前に渡された物だ。


彼は静かに頷くと続けてハルトにあることを訊ねる。



「失礼ですが、前職は何を?」

「帝国軍でーす」

「……なるほど」



 メガネのブリッジを静かに押さえながらレオナルドは小さく呟く。この前のようにすぐに門前払い、ということにならなかったことにハルトが内心ほっと息を吐きながら片手を差し出すと、レオナルドへ口角を上げて視線を向けた。


 なるべく『あの時のことは忘れねぇからな』という皮肉げな意味合いの込めて。



「そんじゃー改めて、これから教師同士、そしてセンパイとしてご指導ご鞭撻のほどヨ・ロ・シ・ク。レオナルド先生?」

「……ふん、馴れ合うのは好きではありません。―――それでは、失礼します」



 ぱしんっ、とその手を煩わしそうに(はた)くと、クリスに挨拶してレオナルドはそのまま去って行く……。

と思いきや、ちらりとハルトの方へ振り返り鋭い視線を向けた。



「あぁそうそう、今後この学院で教員として過ごすのですからもう少し身だしなみには気を付けて下さいね? ―――ふっ。その恰好、まるで浮浪者のようですよ? では」

「――――――」



 そう言い放ち、今度こそ背を向けて去って行くレオナルド。やがて角を曲がり姿が見えなくなると、リーゼはその方角を睨み続け、緊張感から解放されたクリスは肩の力を抜きながらホッとしたような表情でハルトに声を掛ける。



「ふぅ、やはりレオナルド先生の前では緊張してしまいますね。―――って、ハ、ハルトさん? どうしたんですか?」

「お…………り、………いだ」

「へ?」

「―――俺やっぱりアイツ嫌いだっ!! あのインテリクソメガネ野郎めッ!!」



 握手を拒絶されたうえ嫌味まで返されて、思わず微動だにせず固まってしまったハルト。


 レオナルドへの悪口を叫ぶと共に、唐突な痔で苦しみますようにと強く願った。




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