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第2話 その青年、千の剣帝につき




 こちらに魔獣がやってくるという恐怖や緊張が女性の中でいつの間にか消え去り、彼はいったい何者なのかと調査員らは顔を見合わせる。


 そのタイミングで、離れた場所で地層を調査していたある中年男性の調査員が戻ってきた。


 彼の顔の目元には切り裂かれた様な大きな傷があり表情は厳しい。だがまるで街を歩けばそこら辺にでもいるような目立たない雰囲気をいつも纏わせている大柄な男性。


 彼はこの新人ばかりの調査隊を纏める信頼出来るリーダーであり、この『魔海領域』に来る前に先程のアルトと転移術師の女性の中に混じって親しげに会話をしていた人物だった。


 いつも厳しい表情がデフォルトのリーダーが笑みを浮かべて話していた、その事実は同じ帝国軍調査室所属の新人な彼らにとって意外だったので、中々二人の関係性を訊けないでいた。

 


「おいお前ら、さっきあのぐうたらが何か叫んでなかったか?」

「ゴ、ゴードンさん! それがアイツ、さっきワイバーンをぶっ倒してくるって……!」

「……そうか。それじゃあ撤収だ。お前らさっさと調査器具や採石したヤツを荷物に纏めてろ。俺はこれから帝国軍本部に帰投連絡を行なう」

「は、はぁ、撤収……。い、いやそれよりも! アイツ本当に一人でワイバーンを倒せるんですか!? 街を滅ぼすような魔獣ですよ!? いったいアイツの剣技練度(ソードアーツ)はどれぐらいなんですか……!?」



 未だ不安なのだろう。恐怖に顔を歪めながら若い男性調査員がそうゴードンに訊ねると、ふっと静かに笑みを浮かべた。



「そうか……。ふっ、心配するな。ヤツはぐうたらで、自堕落で、それこそ覇気は皆無だが―――実力は規格外だ」



 そう言いながらゴードンが空を見上げると、再び彼らに帰投準備を促すのであった。








『ハルト、"剣技能(スキル)"はどうしますか、とシャルロットは意気揚々と期待を込めて尋ねます。ふんすっ』

「あー、その方がラクか。んじゃ使う」

『了解しました。とシャルロットは久々の剣技能(スキル)使用に歓喜を隠し切れず返事します。わくわく』



 先程足に魔力を込めて跳躍したハルトは空中を飛翔しながらシャルロットと会話を行なう。直後ハルトが見据えるのは、目の前に迫る計二十匹のワイバーン。


 普段感情の起伏が少ないシャルロットがうずうずしているところを見るに、相当久しぶりに剣技能(スキル)を使いたかったのだろう。思わず表情が緩んだ。


 しかしそれも一瞬。純白の剣の状態のシャルロットを構え、目の前の魔獣に集中するべくハルトは自身の魔力を流し込んだ。


 次第に剣を纏う白銀の輝きが増していく。



「いくぜシャル……ッ!」

『魔力、充填完了です。いつでもいけます。とシャルロットは―――』

「『激流の聖刺突エクスソード・ストライク』―――ッ!!」



 ハルトは全力の魔力(・・・・・)を込めた(シャルロット)をワイバーンのいる前方に突き出す。するとその切っ先から膨大な魔力の白い奔流が扇状(おうぎじょう)に放出。その場にいたワイバーンすべてを勢いよく包み込んだ。

 

 ギャウンッッッッッッッ!!! という激しい輝きや熱と共に、その余波が周囲に広がり空気がビリビリと震える。

 その様子はまるで高出力で放たれたビームのよう。


 しばらくして視界が晴れると先程までいたワイバーンの姿は消えていた。遠方で灰色の噴煙(ふんえん)が空に浸食する原因となっていた火山は、無残にも上から半分が大きく抉れていた。


 ハルトの放った全力の剣技能(スキル)が魔獣だけではなく火山まで巻き込んだのだ。



『……ハルト、劣等龍種とはいえ約二十のワイバーンを一撃で屠った実力は流石『千の剣帝サウザンド・ブレイバー』と呼ばれるに相応しいです。加えて、幾度の試練を乗り越えて剣技練度(ソードアーツ)1000パーセントに(・・・・・・・・・・)到達した者(・・・・・)。……しかし、現在進行形で上空300メルから放物線を描いて落下しつつある現状はどう処理するつもりなのでしょうか。とシャルロットは冷静に呟きます。ひゅーんっ』

「―――ごめ、考えてなかった☆ ……マジでどうしよシャル!?」

『知りません、とシャルロットは言葉を遮られた仕返しにそっぽを向きます。つーんっ』

「だから! お前いま剣でしょうがぁぁぁああぁぁぁッッッ!!!!!」



 ワイバーンを倒すも格好がつかないまま叫びをあげたハルトは、そのまま大量の魔獣が蔓延る崖の下に綺麗に落ちていった。



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