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剣の才能がないと侯爵家を廃嫡され追放された少年。破壊神の加護を手に入れ無双する。  作者: えぞぎんぎつね


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18 新居

 ボスは眉をひそめて、俺の顔を睨みつける。


「てめえ、俺を舐めてるのか?」

「舐めてるのはお前らだろう? 人の家に勝手に入りやがって。ただで済むわけないだろ」

「……何が目的だ? お前だって俺たちから金をとれるとは思ってないんだろう?」

「もらえるならもらうがな。毎日来られたら迷惑だってことだ」

「…………お前の要求を呑んで俺たちにどんな利があるんだ?」

「俺がここに毎日来なくなる」


 すると占有屋が叫ぶように言った。


「ボス! 話になりませんぜ! こいつ威勢のいいことを言っていやすが――」


 俺は叫んでいる途中の占有屋の顔面を殴り飛ばして、歯を叩き折った。

 口から血があふれ出す。


「お前らは暴力を背景に、自分の意を通してきたんだろう? そういう奴らは!」


 俺は近くにいたチンピラを殴りつけた。


「もっと強い暴力には弱い。そうだろう?」

「いい加減にしやがれ!」「ぶっ殺せ!」


 乱暴な言葉を使いながら、チンピラどもが武器を手に襲い掛かってくる。

 その数は十人ほど。俺はその全員を殴り飛ばした。


「俺が武器を使っていないうちに、言うことを聞いたほうが身のためだと思うがな」

「……わかった。お前の家からは手を引こう」

「俺の家だけじゃなく、俺とその仲間からも手を引け」

「わかった」


 ボスがそう言ったので、俺は笑顔を浮かべる。


「それがいい。賢いじゃないか。お前らとは今後ともいい関係でいたいものだな」

「……あぁ、そうだな」

「なにか困ったことがあれば言え。気が向いたら助けてやる」


 そして俺は占有屋たちのアジトから外に出る。

 途中すれちがったチンピラたちは黙って道を開けた。

 俺とボスとの会話を聞いて状況を理解したのだろう。


 アジトを出ると、俺は新居へと戻った。

 そしてトニーに問題が解決したことを告げ、中を一緒に検分する。


「ふむ。まあ今日からでも住めるな」

「そうですね。前の住人が置いて行った家具も……。少し掃除をすれば使えそうです」


 トニーが、明日にも鍵屋と掃除要員を商会から派遣してくれることになった。



 トニーが商会に戻るのを見送ると俺は冒険者ギルドへと向かう。


 冒険者ギルドの建物に入ると、

「あ、おにいちゃん!」

 ルーシアが嬉しそうに駆け寄って来た。


「エクスさん、おかえりなさい」

 アーシアもにこやかにそう言った。


「だいぶ待たせた。退屈じゃなかったか?」

「だいじょうぶだよ。みんなあそんでくれたんだ~」

「そうかそうか。お腹は減ってないか?」

「だいじょうぶー」


 ルーシアはニコニコしながら、俺の左手を握ってくる。

 俺は握り返して、右手で頭を撫でた。


 アーシアが言う。


「みなさんが、色々とごちそうしてくださって……」


 冒険者の皆がアーシアたちを構ってくれて、ご飯とかもごちそうしてくれたらしい。

 アーシアたちは昼時から夕ご飯時まで冒険者ギルドにいたのだ。


「みな。ありがとうな」

「気にすんなよ!」「ああ。故郷の妹を思い出すよ」


 俺は冒険者たちに礼を言う。

 みんな気にしなくていいと言ってくれる。気のいい奴らだ。

 冒険者たちは、子供が好きなのかもしれない。

 何か冒険者たちの力になれることがあれば、俺も全力を尽くそうと心に決めた。



 その後、俺はアーシアたちを連れて新居に向かう。

 道中、ルーシアが言う。


「おにいちゃん! おかいものできた?」

「ああ、ちゃんと買えたよ」

「なにをかったの?」

「すぐに見えてくるさ」

「そうなの?」


 そんなことを話している間に、新居が見えて来た。

 新居は冒険者ギルドから、あまり遠くないのだ。


「ほら、見えたぞ。あの建物だ」

「……?」

「あの、エクスさん、家を買われたのですか?」

「そうだよ。宿に泊まろうと思ったんだがな。色々あって格安で買えたんだ」

「すごーい」「すごいです」


 そして、三人で家の中に入る。

「うわあ、内装もきれいですね。家具もあるんですね」

「すごいすごい!」

「とりあえず、家の中を案内しよう。こっちがトイレで――」


 一通り家の中を案内した後、適当にアーシアとルーシアに自分の部屋を選んでもらう。

 俺も自分の部屋を選んで、眠ることにした。


 部屋に入ってベッドの感触を確かめる。そう悪くない。

 今日は色々あったので、疲れている。あっという間に眠ってしまった。


◇◇◇


 俺は、ふと気づくと一昨日、廃嫡された日に見た夢と同じ場所にいた。


「いや、夢なのに同じ場所というのは、おかしいな」

「おかしく思うかもしれませんが、その認識であってますよ。エクス」


 破壊神を名乗る少女が、いつのまにか目の前にいた。

 起きている間、ぼんやりしていた一昨日みた夢の中の出来事が鮮明に思い出される。


「ここは私、つまり神の世界。離れたら記憶がぼんやりしたものになるのは当然です」

「そういうものなのか?」

「そういうものです」


 破壊神はほほ笑むと、

「何度か私の与えた権能を使ってくれたようですね」

「ああ、とても便利な能力だった。感謝しよう」

「おかげで、最初に与えた権能も馴染んだみたいですし、新たに権能を授けましょう」


 破壊神は俺の額に手を触れた。

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