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白狐物語  作者: 山上龍介
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第二話 日本国立紅暁能力高校



「え〜、で、何処まで話したっけ?」





「・・・まだ何も話して無いよ父さん」




三人が静かになったので呼び出した理由を聞こうと、彰を真ん中に右に美月、左に豪網で三人揃って正座していると、目の前で胡座をかいていた父が話し始めた。




「んー、では話すとするか、彰達は日本国立紅暁能力高校を目指しているんだよな?」



「・・・・うん、そうだけど・・?」




日本国立紅暁能力学校ーー



それはその名の通り能力者を育成する為の、中高付属のエリート学校である。


紅暁能力学校が作られた経歴は、

今から20年前のある日、某西洋の国の青年が、炎を操る動画を魔法使いと言う題名でネットにアップをした事から始まった。



当初CGや、ヤラセなど皆が疑い相手にしなかったが、CGでは無いのでは?と、あるテレビ局が思い、番組に取り上げたところ、ヤラセではなく本物の魔法と証明され、世界中が大騒ぎになった。


そして、ある国は魔法使いを核兵器に次ぐ兵器として企み、ある国は自国の利益の為に能力者開発に躍起になっていった。



これを見かね国際連合はこのままでは、世界中で暴動が起こり、第三次世界大戦に発展しかねないと判断し、ある誓約を、地球上に存在する全ての国と取り決めた。



それは・・・・、

其之一


魔法使いを発見した国は直ちに国際連合に報告をし、国が魔法使いを保有し、管理をする為の部署を設置する事





其之二

魔法を使用出来るにも関わらずその事を国に報告をしなかったり、周りの者が黙認していた場合、最悪どちらも共に、死刑に処す



其之三


魔法使いを使用し、軍事行動に移った国が居た場合各国速やかに粛清に協力する事



其之四


国際連合に所属する全ての国は、魔法使いを育成し、誕生させる為の学校を自国に建立させ、その学校の援助を国に問わずする事


其之五

人権に触れるような実験や行いを固く禁じ、魔法を使用できる、出来ないに問わず全ての人類を平等に扱う事とする。



発布当初は、誓約が厳し過ぎるだとか数々の苦情が、国民から寄せられたが、国及び国際連合はこれを頑なに拒否した。



何故なら魔法使いは1人で何千人も殺戮する事が可能な程の力を所持する者も存在していたのだ。



なので法を厳しくしない限り、人類同士の殺し合いが永遠と続き、人類滅亡に発展しまいかねないと決断されたからだった。



今では連合誓約と呼ばれているその誓約のお陰で、ある程度の能力者の規律は保てている。




そして、その後も魔法使いはどんどん増えていき今では、地球上の約9割以上の人物が魔法の強弱はあるが魔法使いとなっている。



更に魔法使い発覚に伴い、もう一つ重大な問題が発生した。



それは、怪物、化け物、モンスター、その様な類の者が世界各地で急激に発生したのだ。


その為各地に住む在来種の生物が絶滅の危機に反するという、今度は人類以外の滅亡の危機が浮上してきてしまった。



発生するモンスターの類は、各国に存在すると言われる伝記などによるモンスターが多数発生した。




つまり日本でいうと、妖怪、龍、鬼など

が主に発生した。


このモンスター、今では魔物と呼ばれる生物は、魔法使いが存在する国、存在しない国関係なく発生し、魔法使い発覚時の時よりも混乱をきたした。




これを、国際連合は魔法使いを保有する各国に魔法使いを管理育成する為に設置した、部署を使用し、自国に存在する魔物を滅し、魔法使いを保有していない国には、魔法使いを保有している国から魔法使いを派遣し、地球在来種の生物を保護する為の法を整備した。



そして今、魔法使いそして魔物が存在し始め混乱に陥っていた世界は20年の歳月を得て、混乱は収まったので、地球上の先進国の各国が手を尽くし、魔法と魔物の誕生の理由を調べたが、結局手掛かりを得る事は出来なかった。



今では日本国は世界第三位の魔法使い保有国となり、世界第一位の魔物の発生国として、世界に認識されている。


因みに魔法使い保有国一位は、アメリカ合衆国であり二位は、中華人民共和国で、


魔物発生国の一位は日本であり二位はヨーロッパである。



日本国は、自国の防衛、そして名目上、各国の支援の為にと、魔法開発に力を入れ、元々エリート学校だった所を魔法育成学校とした。



そして無事卒業出来た生徒には、日本最難関国立大学である東京大学を無試験で入学できるシステムにした。



その為各県から大勢の受験者が集まったのだった。



彰は大学を卒業してから家を継ぐのでは無く、エリート公務員になる為に中学生の時必死に勉強を頑張ってきたのだ。



そして、今回その日本国立魔法育成学校の第一次試験を突破する事が出来た。



次の二時試験の内容は、一次試験の筆記とは異なり実技試験もあるのも知っている為これもまた中学生の時から体を鍛えてきたいる。




そして二時試験の日は2月10日つまり明日なのだ。



・・・と、学校の事を想像していると父の言葉におかしな要素が聞こえ思わず彰は聞き返してしまった。




「・・・・ん???、彰達、同じ?」


「うむ!彰・・達じゃ!」



長い、長い沈黙。




それを破ったのは無論彰だった。




「・・・・は???ドユコト?・・・まさか、俺の他に誰か受験してるの?」




父が良くぞ聞いてくれたと言う様に、蔓延の笑みを浮かべた。




それを見た彰は思わず顔が引きつってしまう。



なぜなら、父がこんなに蔓延の笑みを浮かべる時はいつも最悪な事はしか起こらないからだ。



額から静かに冷たい汗が流れる・・。




嫌な予感がする・・。



いや、嫌な予感しかしない。



これ以上聴きたくないと言う風に頭の中で警報が鳴り響く。



しかし彰の願いは悲しくも叶えられる事はなかった。



「美月と豪網もその高校の試験受けて、一次試験突破したから、」



「はっっ!?・・・えっ!!?・・・なんてっ!!??と言うか、な・な・なんで学校の名前をっ!!???」



彰は自分が魔法高校を受験すると言う事は母にしか伝えていない。



何故なら母以外の人物に知られると、殆どの可能性で、いや100%言い振らされ最終的にこの二人が付いてくる事と言う結末がいつもの事だったからだ。




別に美月や豪網が嫌いと言うわけではない。



しかし将来は、妖怪と関係ない安定しているエリート公務員を目指している彰にとって妖怪の仲間と学校生活を共に送ると言うのがなんと言うか、こう、違う気がしたのだ。





しかも紅暁魔法高校は卒業するとエスカレーター式でそのまま東京大学に入学する事になるので事実上高校だけではなく大学も同じと言う事なのだ。



その為父や、他のみんなには誰にも言わず母にだけ紅暁魔法高校を受験する事を話したのだったのだが・・



「だ・か・ら、二人共無事に日本国立紅暁魔法高校の一次試験通過したって言ったんじゃよ!」



嬉しそうに尻尾や耳が動きながら勝ち誇った様にしている父。



言っている事の意味を理解し事の現状が最早覆る事がない事を理解し絶望に顔を青ざめ両手両足を畳に着く彰。



「はっはっはっ、儂に隠しごとなど、100年早いぞ彰、月島家二代目当主の情報網を舐めるなよ〜」


何が嬉しいのやら、両手両足を畳に着けている彰の肩をポンポンと叩く父だが、彰の頭の中は現状それどころじゃなかった。



(あぁぁ、俺の夢にまで見た、普通の学校生活がぁぁ・・・、どうせ・・どうせ・・・普通には行かないってわかっていたよ・・分かってはいたけど、まさか入学前の試験の時点で崩壊するとは・・・ふ、ふ、ふ、不幸すぎる・・)



しかし、彰の精神状態とは反比例に後ろの二人は楽しそうに盛り上がっている。


「彰様!!これでまた一緒に通えますぜ!まだ二時試験は受かってないですけどあっし達ならヨユーでクリアできますぜ!!!!」



と、拳を固め、何故か雄叫びをあげている豪網。



「彰様に、群がる無礼な輩は私が、排除しますわ!!なので、その・・いつか・・」


と、胸の前に手を組み頬を染めもじもじをする美月。





雄叫びを上げる男、若干頰を赤色に染めている少女、両手両足を床につけピクリとも動かない少年に、その肩を嬉しそうに叩く狐男。



この、カオス過ぎる状況は彰が復活するまで続くのであった。



♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


「で、本当の理由は何?」


彰が復活すると、最初の頃と同じ様に、右に美月左に豪網が座り、父に本当の理由を、聞く事にした。


何故なら、あんなふざけた事をしている父でも日本を纏める妖怪の頭領であるのだ。



息子が嫌がる事を唯のふざけた理由で、する事は無い筈は無いと思ったからだ。




ならば、何か複雑な状況が絡まってるのに違いない。




「・・・本当の理由??彰の悔しがる顔が見たかっただけじゃが・・・」



「ん?何?父さん?」



父がボソボソと何かを呟いているのだが、何を言っているのか聞き取る事は出来ず、聞いてみると、目を左右に動かし、尻尾や耳が心なしかピクピクとしている。



「・・あっああ、えーと、そのだな、あー、あっ!!そう!危険、危険だからだ!!」



「ん?・・き、危険?、な、何が?」



父が何を言っているのか分からなく、一人首を傾げていると・・・



「だ、だ、だってあれじゃろ、世間が妖怪を敵視している中で、妖怪を駆逐する為の学校に愛しい我が子が行くんじゃぞ、父としてこんな心配な事は無い!」


っと言っているのだが、視線が全く合わず何故かおどおどとしている・・・・。




ここまであからさまな態度を取られると色々鈍い彰でも流石に勘付くと言うものだろう。


「・・・・ねぇ」




「な、な、なんじゃ」



全力で目を合わせようとする彰に、父は全力で目を逸らす。



「・・・本当に息子の悲しむ姿が見たかった、・・・て言うわけは無いよな?」



小さな声で呟く彰、しかしその声には嘘は許さんと言う様な圧倒的な重圧を持っていた。



その声を間近で聞いた父は・・・



「・・・ッサ」


何故か明後日の方向を向く、しかも口笛付きで・・・。



「おおおぉっっい!!!このクソ親父お前我が子の悲しむ顔が見たくて、こんなに、手の込んだ事をしたのかーーー!?!?!?」




立ち上がり、父に指を突きつけ怒鳴りつけ、父を見下ろす形になっていると、



「その通りじゃ!!!!」



先程までおどおどとした雰囲気は何処に行ったのやら、非常に堂々とした顔で急に父は立ち上がった。




「彰の悔しがる顔が見たかったのじゃ!彰が膝を突き、『・・・クソ』とか言うのを聞きたかったのじゃ!だが儂は満足じゃ!強いて言うなら膝をついた後『・・・クソ』と、言ってもらいたかったのじゃが、それでも儂は満足じゃ!!」


「・・・は???・・え?、ちょ、ちょ」


急に立ち上がり、そして急に訳のわからない事を言いだしている父に唖然としていると。



「話は以上じゃ!!!もう用はないぞ、さっさと出て行け!儂は忙しいのじゃ!!ほれ、美月も豪網もじゃ」



頭の整理が追いつかず呆然としている彰の背中を父は力強く押し、部屋から追い出そうとする。


バタンッ!



部屋から追い出され、思考を整理した彰は、父への恨みを爆発させるのであった。





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