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白狐物語  作者: 山上龍介
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第十一話 新城茜



ピ、ピピ、ピピピッ・・・



柔らかな闇に包まれていた静かな空間を切り裂く様に、鋭い音が辺りに鳴り響く。




「・・ん、ん〜〜。もう朝か・・はぅ」



7畳程の部屋の中は女の子らしい部屋をしており、可愛らしいぬいぐるみなどが置かれていた。



その部屋のベッドの中で眠っていた少女は目覚ましの音と共に目を覚ますと、身体を起こし可愛らしく欠伸をした。



肩までかかるくらいのサラサラの茶色い髪に、薄茶色の瞳をし、左目の目尻に小さなホクロがあるこの二重の少女の名前は新城茜と言う。


寝起きなのに、顔のむくみなどは全く無く、女性ですら息を飲む様な顔をしている茜はベッドの枕元で充電していた自分のスマートフォンに手を伸ばした。



「・・・返信なし。既読だけ付けるってどういう事なのよ!!あの馬鹿!!」



茜は自分が送った昨日のメールに既読だけが付き返信が届いていない事を確認すると、スマートフォンを思いっきり自分のベットに向かって投げつけそのまま顔を枕に突っ伏した。



(折角顔文字や、絵文字使ってアピールしたのに〜〜。・・許せない!!)



顔を枕に突っ伏し、ショートパンツからはみ出したすらりと長く美しい脚をバタバタとベットに叩きつける茜。



その肌は、美月の真っ白の肌とは違い、少し焼けつつも全く黒くは無く適度な色合いをした健康的な肌をしていた。



「7時か。彰とは9時に約束したからそろそろ起きた方が良いわね」


これがもし、彰だとしたら、まだ時間があると言い二度寝していただろう。



容姿鍛錬、成績は常に学年上位、部活でやっていた剣道ではインターハイ出場、そしてある一部の人を除き、誰にも等しく優しい子の少女は、無論モテてモテてモテまくり、ラブレターも数え切れない程貰ったのだったがその全てを断っていた為、恋愛経験はゼロであった。



ベッドから出た茜は、バスルームに向かい身体を流して、前日に何時間も掛けて選択した、白いセーターを上に、下には黒スキニーをはいた茜は、朝食を食べる為にリビングに向かう。



「あら?早いわね。おはよう茜」



「うん、おはようママ、聖夜やパパは?」



「聖夜はまだ寝てるし、パパは今日はゴルフ。それより茜今日は試験の日なのになんでそんなに機嫌がいいの?何かいい事でもあった?」



茜がリビングの食卓に座ると、茜の母、新城春香が、茜の前に朝食を置いて行く。



こんがり焼けたトーストの上に半熟の目玉焼きが乗っかている目玉焼きトーストと、サラダ、そしてフルーツの盛り合わせが、今日の新城家の朝食だった。



「ん?なんで?」



「なんでって・・見てれば分かるわよ〜。朝起きてからずっとニヤニヤしてるし〜。・・・あっ分かった!!彰くんね?」


ブッ!?




喉を潤す為に飲んでいたお茶を危うく吹き出しそうになる茜。




「なっ!ち、違うわよ!!なんでそこで彰が出てくるのよ!」





「うん、うん、やっぱりその反応は図星ね!

と言うことは彰君も日本国立魔法学校を受けるの?・・・ん?、んん?・・あ〜〜〜成る程、成る程そういう事ね」





落ち着いた風を装いサラダを食べ始めていた、茜の手が止まる。




「茜が受けたいと思ったんじゃ無くて、彰君が受けるから茜も受ける事にしたんでしょ。だから急に志望校変えたんだ〜」




元々成績が良かった茜は、都内の有名私立高校に通うと皆に思われていたらしく、担任の先生もそのつもりで推薦状を書くつもりだった様だが、




進路相談の時、茜が誰も予想すらしていなかった日本国立魔法高等学校を第一志望に受験をすると言う話を聞き、担任は勿論家族まで驚いていた。




まぁ茜の母である春香はなんと無く勘付いていた様だが・・・。



因みに茜の弟、新城聖夜は現在中学三年生で、彰の妹と同じ中学である日本国立魔法中学校に通っている。




「なっ!?そんなわけ・・「まぁ私も中々良い子だと思うわよ〜。彰君なら茜を安心して任せられるわね!聖夜も彰君の事気に入ってるし」






「だ、だからそんなんじゃ「パパが少し暴走するかもしれないけど、そこはママに任せなさい!茜は早く彰君の心をゲットできる様に頑張ってね!」





「あ、あ、あぅ、」




真っ赤に顔を染め俯いた茜は言葉を返す代わりに食卓に置いてある朝食を一気に掻き込む。





春香も娘の反応を見て満足したのかニヤニヤしながら茜の側を離れキッチンに戻って行った。




朝食を食べ終えた茜は、歯を磨き、カバンに必要な物を詰め込み、時計を見てみると8時を指していた。




(9時に待ち合わせだけど、早めに着いときたいから、もう行こうかな)




そう思い玄関で靴を履いていると春香が、

キッチンから出て来た。手には手提げ袋を持っている。




「はい、茜お弁当」




「ありがと・・って大きくない!?」




「そりゃ彰君のも入ってるからね!男の子はいっぱい食べるでしょ?」




茜は何かを言い掛けたが、それを言う前に春香は茜のカバンに手早く手提げ袋をしまい込んでしまった。



「・・じゃぁ行ってきます」




こうして新城茜の一日は、始まった。



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