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アイコン三国志外伝  作者: 小金沢
群雄の章
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10/16

外伝(韓遂伝 〇〇三)  天の怒り

~~~涼州(りょうしゅう) 官軍~~~



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「フン、やっと到着したか。グズグズしおって!」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「ひいいっ!!」



挿絵(By みてみん) 周慎(しゅうしん)

「と、途中で張純や烏桓の反乱が相次ぎ、対処を迫られていたのだ。

多少の遅れはしかたあるまい」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「見苦しい言い訳をしおって!

まあいい、さっさと賊軍を蹴散らして来い」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「し、しかし我々は都から遠路はるばる行軍してきたばかりで、

とても戦闘に入れる状態ではない」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「吾輩は陣地の構築や兵糧集め、偵察や付近の地形の把握と働き詰めだったのだ。

貴様らはただ歩いて来ただけだろうが。戦いは任せる」



挿絵(By みてみん) 陶謙(とうけん)

「ほっほっほっ。一理ありますな」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「し、しかし――」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「しかしもカカシもあるか!!

お前も氷人形(ひょうにんぎょう)にしてやろうか!?」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「ひいいいいっ!! わ、わかりました!

至急、攻撃を行いますです!」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

(都に残してきた李儒(りじゅ)の奴に、吾輩の言いなりになる、

なるべく無能な奴を指揮官にするよう工作しろとは言っておいたが、

あの馬鹿め、物には限度があるだろうが……)



~~~官軍 孫堅軍~~~



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「で、実際に攻撃すんのはオレらの役目と。

宮仕えってのは世知辛ェな。

どっかで海賊でもやってる方がよっぽど気が楽だぜ」



挿絵(By みてみん) 程普(ていふ)

「旦那様のお気持ちももっともですが、海賊では大望を叶えることはできません」



挿絵(By みてみん) 韓当(かんとう)

「それとも海賊王でも目指すか? 俺はどっちにしろついていくぜ」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「ありがてェが、海賊じゃ養えるのはせいぜい数百人ってところだ。

オレの夢は、この中原の奴らをまとめて家族みてェに暮らすことだからな」



挿絵(By みてみん) 程普(ていふ)

「そのためには地位や名声が必要です。

ここはじっと我慢し宮仕えに精を出すと致しましょう」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「わかったわかった。韓遂やら胡族に苦戦してるようじゃ、

そもそも大それた夢も語れやしねェもんな。

そんじゃあいっちょ――」



挿絵(By みてみん) 祖茂(そも)

「ああっ!? なんだあれは。俺の後ろに隠れろ孫堅様!」



挿絵(By みてみん) 黄蓋(こうがい)

「あの光は――まさか流れ星か?

こんな真っ昼間にあれだけの光を放つとは」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「ほほう、こりゃ絶景だ。

……なんてのん気なこと言ってる場合じゃねェな。

野郎ども、これは好機だ! 反乱軍の連中、きっと泡食ってるぜ。

その隙に蹴散らすぞ!!」



~~~反乱軍~~~



挿絵(By みてみん) 王国(おうこく)

「彗星だ! 落ちるぞ! 世界の終わりだ!!」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「なんてえ音と光だ!」



挿絵(By みてみん) 辺章(へんしょう)

「に、逃げた方が良いのではないか?」



挿絵(By みてみん) 李文侯(りぶんこう)

「そういえば聞いたことがある……。

漢の皇帝は天子と呼ばれ、すなわち天の息子だということだ。

こ、これは天の怒りなのではないか……?」



挿絵(By みてみん) 北宮伯玉(ほっきゅうはくぎょく)

「天の怒りだと?

い、言われてみればあの音は、まるで神様が怒鳴ってるように聴こえるぜ!」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「聴こえる~~!!」



挿絵(By みてみん) 王国(おうこく)

「ぎゃああっ!! ほ、星が落ちてきた! 落ちてきたぞ!」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「落ち着け! これは星じゃねえ。矢だ。矢を射掛けられてんぞ!」



挿絵(By みてみん) 辺章(へんしょう)

「て、敵襲だ! 迎え撃て!」



挿絵(By みてみん) 北宮伯玉(ほっきゅうはくぎょく)

「なんてこった。

まるで奴らは彗星が落ちるのをわかっていたような早さじゃないか!」



挿絵(By みてみん) 李文侯(りぶんこう)

「や、やはり漢の皇帝は天の力を味方につけているのか……?」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「そんな馬鹿な話があるか!」



挿絵(By みてみん) 李文侯(りぶんこう)

「し、しかしこの早さはそうとでも考えないと説明がつかない」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「まあまあ、とにかくここは逃げましょうよ。

兵士のみんなも怖がっちゃって戦いになりませんし」



挿絵(By みてみん) 王国(おうこく)

「に、逃げろ! 撤退だ!! 逃げるんだああっ!!」



~~~官軍~~~



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「フハハハハ! 蜘蛛の子を散らすようとはこのことか。

反乱軍どもめ、無様に逃げていったわ!」



挿絵(By みてみん) 華雄(かゆう)

「さすが魔王様だぜ!」



挿絵(By みてみん) 胡軫(こしん)

「魔王様バンザーイ!!」



挿絵(By みてみん) 周慎(しゅうしん)

「反乱軍は城に籠もったか。

よし、この勢いで攻め落とすぞ!」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「ちょいと待ちな。奴らは彗星に驚いて動揺しただけだ。

落ち着けば元通りになるし、一目散に逃げてったから

大した損害も与えちゃいねェ。力攻めはどうかと思うぜ」



挿絵(By みてみん) 周慎(しゅうしん)

「ほう、ならどうしろと言うんだ」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「城に籠もってる隙に後ろに兵を回してよ、

補給線を断っちまえばこっちのもんだ。

焦らず兵糧攻めと行こうじゃねェの」



挿絵(By みてみん) 陶謙(とうけん)

「ほっほっほっ。それも一理ありますな」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

(兵糧攻めだと?

そんなことをしたら遠征が長引いてしまうではないか!)



挿絵(By みてみん) 周慎(しゅうしん)

「むう……。

俺は張温将軍の意志に従おう。どうお考えですかな?」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「霊帝陛下は吉報を首を長くして待っておられるだろう。

そんな悠長なことをしている暇はない。ただちに攻め落とすのだ!」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

「……そうかい。

まあ大将はアンタだ。好きにやってくんな」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「ならば吾輩がこのような小城など一息に踏み潰して――」



挿絵(By みてみん) 樊稠(はんちゅう)

「魔王様しばしお待ちを。少しお耳に入れたきことが……」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「なんだ? ……ふむふむ。

フン、それは面白い。よしわかった!

城は貴様らに任せた。吾輩は胡族の対処をしてやろう!」



挿絵(By みてみん) 周慎(しゅうしん)

「な、なんだと? おい董卓。

まだ編成も決めていないのに勝手な真似は――」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「やかましい! 吾輩は吾輩の考えで動く!」



挿絵(By みてみん) 張温(ちょうおん)

「ひいいっ!!」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「さらばだ! フハハハハ!!」



挿絵(By みてみん) 孫堅(そんけん)

(あのヤロー、なんか企んでやがんな……)



~~~董卓軍~~~



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「樊稠、さっきの話は本当だろうな」



挿絵(By みてみん) 樊稠(はんちゅう)

「もちろんです。俺は涼州の出身で、

反乱軍の主要人物とは旧知でもあり、性情を熟知しています。

もちろん韓遂のこともよく知っております」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「韓遂に情報を横流しし、張温らを撃破させてやる。

そうすれば朝廷の力を弱め、一方で吾輩の名声を高めることができる。

一石二鳥の策と言うわけだな」



挿絵(By みてみん) 樊稠(はんちゅう)

「仰せの通りです。韓遂には俺から渡りをつけましょう」



挿絵(By みてみん) 董卓(とうたく)

「フハハハハ! よきにはからうがいい!」



~~~反乱軍~~~



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「あれえ? こんな夜更けにどこに行かれるんですか?」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「うおおっ!? か、韓遂か。驚かせるなよ」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「えへへ。なんかこそこそしてるから、後をつけて来ちゃいました」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「別にこそこそしちゃいねえよ。俺はここを出て行く。

胡族の連中に見つかったら面倒だっただけだ」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「みんなですげえことやるのは諦めたんですか?」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「だからすげえことを俺一人でやることにしたんだよ。

胡族の連中は頼りにならねえ。

あいつらは根っこのところで天子を恐れてる。

今度の騒ぎでそれが良くわかった」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「そうみたいですねえ。

神様が怒鳴ってる! 星が降ってきた! とか面白かったなあ」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「……アンタは違うみたいだな。

どうだ、こんなところからは出て、俺とすげえこと始めねえか?」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「せっかくですけどお断りします。

胡族のみんなや、辺章さんにも悪いですし」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「何か考えがあるみたいだな。

この劣勢もアンタならどうにかするんだろうよ。

まあ達者でな」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「ああ、そうそう。特に行くあてが無いんなら、

枹罕(ふかん)とか旗揚げするには持って来いですよ」



挿絵(By みてみん) 宋建(そうけん)

「枹罕だと? ……知り合いが何人かいるな。

わかった、考えておこう」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「お気をつけて~!

……さて、お待たせしちゃいましたね」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「全くだ。遅刻癖の噂は本当だったのだな」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「ええと、董卓さんの使いの方でしたっけ?」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「違う。樊稠の知り合いだ。

第三者の小生ならば、この城に潜り込むのもたやすい」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「とにかく董卓さんの意向を伝えに来たんですよね。

うれしいなあ。遠征軍の補給線とか教えてもらえたりします?」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「ふむ。まさにそれを伝えに来た。

なぜそれを予期しておられた?」



挿絵(By みてみん) 韓遂(かんすい)

「ぼくらは兵糧攻めを仕掛けられたら一番苦しいけど、

逆に兵糧攻めを仕返したら面白いなあって思っただけですよ」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「噂通りの曲者のようですな。

話が早くて助かる。では取引と参ろう」



~~~~~~~~~~~~



かくして宋建は反乱軍を離脱し、

董卓は裏で韓遂と通じていた。

足並みの揃わない両軍は戦いの転機を迎えようとしていた。

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