はじまり
ここはエルソン大陸の、グラナドという国。西の街、と呼ばれるサントレス。夕焼けで赤に包まれた、レンガ造りの建物。その街の通りでは、仕事終わりなのかくたびれて家を目指す大人たちや、遊び終わって家にご飯を食べに帰るこどもであふれている。
「お兄ちゃん、早く!ほら、もっと急いでよ!」
「わかってる!でも―――リナ、危ない!ほら、人にぶつかるぞ!」
「―――っと!大丈夫だって!」
いつも通りの風景。平和な日常。戦争がつづいてる、って学校では習ったけれど、そんなのはまるで信じられない。
「…ハッ……ハッ…」
ざわざわとした人の声の中、妹と二人、帰路を急ぐ。
「もう、お兄ちゃんが、帰ってくるのが遅いから!」
「仕方ないだろ、先生に呼ばれてたんだ!」
「仕方なくない!」
「あーわかったわかった、悪かったよ!」
「あ、絶対反省してない!」
「してるって!」
「してないです~!」
「ああもう、じゃあしてなくていい!」
家に帰れば晩ごはん。きっと母さんは僕らを心配して待っているだろう。
「…ハッ…ハッ…」
父さんの方は絶対カンカンだ。どうやって言い訳しようか。
妹とギャイギャイ言い合いながらも、言い訳を考える。
「お兄ちゃん、少しやばいかも。近道して帰ろ!」
「うん、そうしよう!次、左な!」
「わかってるっ!」
人通りの多い道から脇道へ。これまた、遅くなったとき用のおなじみの道。
「はやく!お父さんきっとカンカンだよ!」
「うわ、それ言うなよ、想像したくなかったのに…!」
脇道だけあって道も狭いし、前も見にくい。いつ人が出てくるかわからないから、走るのも正直きつい。
…実は、妹よりも体力がない、なんて残念なとこも影響してるんだろうけど…。
「…ハッ…ハッ…!」
あと、いくつか曲がれば家の前だ。あとちょい。
「お兄ちゃん、あとちょっとだよ!」
「わ、かってるって―――」
一度細い道を抜けて、少し大きな広場。そこからまた…と、頭の中で道を考える。
よし。これならいける。怒られずに―――
ゴガン!
―――す、む?
思考が停止。そりゃだれでも停止するだろう。広場の壁が急にはじけて、そこからいきなり、
「ウ、ギャアアアアア!」
バケモノが現れたら。
初めて投稿をします。
ここがおかしい、もっとこうした方がいいなど、ご意見等ありましたら是非よろしくお願いします!