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狙撃手

暗闇の中、銀色の髪と真っ白の服でうっすらとした人影は屋根の上に構え、手にしている狙撃銃のスコープに目を当てた。彼は一人の殺人兼強盗レッドプレイヤーを追っていたが、今、目の前の倉庫の中にターゲットが十何人もいるのは既に確認されている。奴は狙われていると気づき、自分が入っているレッドギルドのメンバーを集めたのであろう。屋根の上に構えている狙撃手も一人ではなく、おそらくはギルドの狙撃隊を連れている。今は例の倉庫の反対側の6階建てビルの屋上で五人の狙撃手は一緒に動いてくれる他ギルドが準備を整えるのを待っていた。1900時に突撃を始めると決めていたが今の時刻は1850時。十分間の間に愛用の狙撃銃の点検を再度済まし、リーダー格に見えるその銀髪の男がほかのメンバーに作戦そして各自の標的の確認をする。その男も再びスコープに覗き込み、自分のターゲットらしい男を睨んだ。位置確認ができたところで息を吐き、呼吸を意識的に制御し始める。


彼は目をスコープに当てたまま、倍率を最大限に上げた。緑色のスコープレンズの中心の十字カーサーを標的の胸を中央に一旦合わせてからそれをやや左上の方へずらす。やや強めに吹く北東向きの風を配慮してのことだろう。すーっと息を吸って、それを吐いて、また吸っては今度こそ呼吸を止めた。彼はトリガーにおいてあった人差し指にわずかながら、力を込める。心臓がドックンドックンと脈を打っているのを彼は必死に押さえた。鼓動がさっきと比べてやや早くなっているがそれはもうどうしようもない。システムが彼の心の鼓動に合わせて、狙撃の着弾予測円の直径が大きく膨らませては、また縮めていった。脈拍が激しくなればなるほど、その振幅は大きくなるが、何年もこのゲームを遊んでいるだけのプロのその男の脈数は狙いを狂わせるほどに上がる事はない。無線につないであったヘッドホンから「作戦開始」と呟く声と同時に彼は頭から雑念を全て消し、その瞬間に着弾予測円が急速に縮まったと見ては、使っていた対物狙撃銃、M110の銃先を一瞬美しいオレンジの発射炎で輝かせた。ミリ秒単位遅れて飛び出た7.62ミリの銃弾は防弾ガラス仕様の窓は完全に貫いて、標的の頭の大きな穴をあけた。そこから噴出するように、血ではなくポリゴン片が溢れ出した。一瞬、世界は狙撃銃の銃声のエコーしか聞こえないほどに静まり返った。この世界で物やアバターの死を伝える無数のポリゴン片が夜空を照らしながら消え去った。その全てを彼はスローモーションで見るかのように眺めていた。


夜の暗闇とその場を包んだ異常な静けさを切り裂くように残った狙撃手もそれぞれ各自のターゲットを撃った。最もタイム・ラグでも起きたのかと思わせるくらいの時間差でその射撃音もばらばらであったが各自が自分の標的を狙撃し他結果、夜空は一気にポリゴン片で花火模様になった。


撃つリコイルから立ち直ってすぐにM110の使い手は、ボルトハンドルを機械的に引いた。排出された薬莢がかんかんと音を立てるのがチームメイトの銃声に殺されたが、後ろの方に落ちながら、ポリゴン片になって、空を照らす光景を彼は目の角で捉えた。短く、しかしいかにも儚い美しさを持つその光景にため息をつきながら、彼は慣れた仕草でスコープの倍率は最大限に下げ、自分の仲間にミスがあるかどうかを確認し、万が一に備えフォローする体制をとった。一人がわずかに標的をはずしていると見た彼は、倉庫の中の集団が青天の霹靂とも言うべき襲撃による驚きそしてためらいから回復する前にスコープを変えないまま、一点になるほどに縮まった着弾予想円を男の胸に合わせ、再びトリガーを引く。スコープ越しで2cmほどの大きさになっていた男に弾が見事命中して彼も先立たれた4人の仲間と同じくポリゴン片になって天空を上って行った。無線でグランドフォースに「狙撃終了、標的は全滅。残りのくずは任せたぞ」と伝える。ヘカートを背中に預け彼はビルに入り、非常階段であろうところから一階に向かい、グラウンドフロアにつくや、彼は町に向かって帰り始めた。メニューをあけてステータスを確認する。今回の件の報酬がアカウントに入れられてあるのを確認した。


「シノキ、残っていた奴らの片付けは終わった。今回も仕事の援護をありがとうだな“霊銃”殿」とグラウンドフォースのリーダーから連絡は入ったのはその三分後。


「ああ、まあこっちは金をもらってお前を助けているからお礼もいい加減にしてくれないとそろそろ面倒だな。本当に感謝してるなら次回から報酬あげろよ」

「全くつれない奴だ」

「お前みたいに愛想のないGM如きが言う資格はない」シノキと呼ばれたM110使いは言い返してそのまま無線の電源を切った。



シノキは小走りながら、ベースになっている町に戻り、自分の部屋に戻っては、ベッドに寝転びそのまま眠りに落ちた。

作者のただ暇です。だいぶ前から小説を書いてみたりしたかったのですが、今になってやっとかける時間ができました。数日に一回の更新ペースで書いてみたいと思っていますので、もし何か批判や感想があればどんどん聞かせてください〜〜o^_^o


また、素人作家ですので、表現やストーリーに考えがあればどうぞそれも聞かせてください〜〜〜。


では、これからもエレントレイン・オンラインをお楽しみください!

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