幸の能力
幸が目を覚ましたのは、事故にあった2日後だった。
「「幸!/ 幸ちゃん!よかったー!」」
「みんな…心配してくれたんですか?」
「当たり前だろ。仲間なんだから。」
「あの時、生きるって言ってよかった…。」
「え?今何て言った?」
「あ、私変な夢見たんです。そこで衛っていう人が出てきて、生きたいかって聞かれたんです。」
「おいおい。マジかよ。こいつにも宿っちまったぜ。」
みんな開いた口がふさがらないって顔をしている。
「?何のことですか?私の夢ですよ?」
「いや、実はここにいる俺たちは、全員その場所に行ったことがあるんだ。」
「え!?」
「僕たちも夢だと思ってたよ。でも、1週間ぐらいしてから衛が言ってた『特別な能力』が開化したんだ。それが研究所で使ってた能力だよ。」
「え…じゃあ私も…」
「そうだろうね。とりあえず、今は怪我を治すことだけ考えよう!」
「そうだな。…ってあれ?幸?どこ行った?」
真琴が変なことを言い出した。
確かに、幸はそこにいたのだ。
「何言ってるの、マコちゃん。幸ちゃんならここに…あれ?」
「え!?私ここにいますよ!」
「声は聞こえるね。ということは、これが幸ちゃんの能力ってことかな。」
「随分、開化するの早かったな。」
真琴が幸の方をじーっと見ている。
「な、何ですか。いくら見えないとはいえ、照れるんですけど。」
「…お!ちょっと見える!ああ、能力みたいだな。髪の毛が白くなってる。」
どうやら、意識を集中させれば、少しは見えるようだ。
「白のholderですか。おもしろそうですね。」
「いや、ルイさん。面白がらないで下さいよ。こっちは存在認識してもらえないんですよ?!」
「Oh! I'm sorry. そんなつもりはなかったです。それより、もう元気そうですね。」
「全然元気じゃないですよ。まだ頭が痛いです。」
「ま、とりあえず、怪我の回復と能力のコントロール。がんばろう!」
「はい!」