仲間
幸は真琴たちから一心不乱に逃げていた。
「なかま…こわい…いやだ…。帰りたくない…。」
「おい!しっかりしろ!おい!」
いつの間にか、真琴たちが幸の近くまできていた。
「やめて…。私をあの人たちのところに連れて行かないで…。」
「帰りたくないのか?」
幸はコクンとうなずいた。
「…だったら俺たちのところにくるか?」
「え?」
「俺たちの仲間になるか?」
少し落ち着き、冷静になってから幸は言った。
「…いいんですか?たぶん、狙われますよ?」
「別にいいよ。僕たち強いし。」
「特にあき兄が、だろ。」
「そりゃそうだけどさ。」
「ほんとにいいんですか?」
「「いいぜ / No problemです / 全然大丈夫です。」」
みんな口をそろえてOKした。
「あ、ありがとうございます!」
喜びのあまり幸は泣き出してしまった。
「あらあら。大丈夫だよ。葵も嬉しい。なんか妹ができたみたい。あ、私は日向葵。よろしくね。幸ちゃん♪」
葵は人懐っこい笑顔で自己紹介をした。
「俺は海波音真琴。一応女だ。よろしくな。」
「えっ!女の人だったんですか!?ごめんなさい。男の人だと思ってました。」
「別にいいよ。そう思われる様なことしてるし。」
「じゃあ、次はオレだな!オレは結城巽。よろしくな!」
「ボクは村崎ルイでーす。アメリカ人と日本人のハーフですネ。」
「ルイ。最後の『ネ』はいらないよ。僕は蓬生明博。みんなからはあき兄って呼ばれてる。よろしくね。幸ちゃん。」
「よろしくお願いします。改めまして、白里幸です。真琴さん。巽さん。葵さん「葵ちゃんでいいよー」じゃあ葵ちゃん。あと、ルイさんにあき兄さn「『さん』はいいよ」じゃ、あき兄。」
幸が全員の名前を確認すると、巽が言った。
「よし、自己紹介が終わったところで、ここから脱出するか。」
「そうだな。葵、今の位置わかるか?」
「ううん。やみくもに走ったせいでわからない。」
「そうか。んじゃルイ頼む。」
「OKでーす。」
すると、さっき敵と戦った時みたいにルイの髪が紫色に変わっていった。
「あの、これって?」
「んー、まあ説明すると長くなるから脱出してから説明するな。」
「わかりました。」
その後、数回爆発音が聞こえてからやっとルイが声をあげた。
「見つかりましたよー。EXIT 出口ですー。」
「遅えよ!もう何回も爆発してんじゃねえかよ!」
「まあまあ、そう怒らないでください。Mr.結城。ボクの能力は『see through』透視です。探し物はここですよー、っていう機能はないのですから。」
「そうだぞ。今は言い合ってる暇はない。さっさとここから脱出するぞ。」
「…わかった。」
「じゃあルイ。ナビ頼む。行くぞ!」
こうして、真琴たちは走り出した。すると…
[ドオオオオン]
いきなり近くで爆発が起きた。
そして、その爆発で崩れたガレキが幸の上に落ちてきた。
「「幸!/ 幸ちゃん!」」
「え?きゃあああ!!」
直前でよけようとしたが、頭に直撃した。
幸は頭から血を流して倒れた。
「おい!幸!しっかりしろ!」
「幸ちゃん!」
「まだ息はある!救急車を呼べ!」
「いや、オレが走った方が速い!」
「とりあえず、ここから出るぞ!みんな全速力で走れ!」
真琴の号令で、みんな出口まで走った。
「あった!出口!」
「はあはあ…。葵、ここから一番近い病院は?」
「えーっと…岡本病院!あき兄!」
「オッケー!」
葵が検索したのを明博が能力を使って巽に送る。
「とにかく巽は幸を早く病院へ!俺たちはあとから合流する!」
「わかった!」
巽の髪が赤色に変わった瞬間、もうそこに巽はいなかった。
「俺たちも早く行こう!」