それでは行ってきます!
紅波が異世界に行ってしまうため家族皆、お土産を用意するべく家の中を走り回っている
一番最初に当事者の祖父が紅波の元に20巻コンプリートセットの小説と1通の手紙を持ってやって来た
「紅波、俺の変わりに面倒なことになって悪かったな!この本を持っていれば向こうで困った時に参考になるだろ!」
「えっ!これ、ハッキリ言ってかなり重いよね…いらない…本の内容ほとんど覚えてるし…」
祖父の眉間に一瞬シワがよる、そのあと爽やかな笑みを浮かべ鞄の中に無理矢理本を詰め込みながら言った
「手紙は、俺の親友のライライト、ミラルーシェにわたせばきっと力になってくれる…はず…たぶん…」
(なにその曖昧さ)
紅波はかなり不安をおぼえたが笑顔でお礼を言った
笑顔がひきつっていたりだとか、鞄の中の本に拒否権はないのだろう、などと思ってしまったのは愛嬌だと思って欲しかった
家族全員各々持たせたいと思う物に拒否権は無いようで、物凄く巨大な荷物の山が出来上がっていた
ぬいぐるみ?改めてタイムは苦笑いを浮かべながら紅波の手をとると、紅波の家族に頭を下げた
「それでは、クレハ様をお預かりいたします!」
タイムが頭を上げるのと同時に足下が揺れるような、貧血で倒れそうな感覚に襲われ紅波は意識を手放した
遠くで家族が別れの言葉を叫んでいた気がするか、何を言っているかも聞き取ることが出来なかった