月明かりの夜
紅波視点です
短めです
ごめんなさい
月明かりの中をライライトさんと歩いていると、初めてこの世界に来た日を思い出す
何だか笑ってしまいそうになる
「初めて会った日も、こんな月が出てたな」
ライライトさんの呟きに驚いてしまう
「同じ事を考えてました」
さっきまで堪えていた笑いをもらす
「あの日は、本当に驚いた」
「じいちゃんには似てないし、魔法は使うし、歌士にはなっちゃうし、ですか?」
私が首をかしげるとライライトさんは笑顔を作った
「ああ、黒髪黒目も珍しかったしな…………その後も驚かされ続けてるな」
「世界征服はしません」
ライライトさんは本当に楽しそうに笑った
じいちゃんから聞いていた"ライライト"と言う人そのままで私が、どれだけ嬉しくて安心したか、ライライトさんは知らない
「ライライトさんはじいちゃんから手紙をもらってましたけど、何が書いてあったんですか?」
ライライトさんは少しだけ考えて言った
「クレハの事が好きすぎる、可愛くて仕方ない」
ライライトさんの言葉に何だか恥ずかしくてくすぐったい感じがして顔に熱が集まる
「だから、悪い虫が寄らないように見張っててほしい…みたいな感じだったな…最後まで読んでないがな」
じいちゃんは蘭様以外をのろけたりしないと思っていたから、驚いた
「私、夢があるんです、じいちゃんと蘭様みたいに大好きな人と手を繋いで歩きたい…なんて…兄と弟達のせいで彼氏が出来た事も無いですけど」
ライライトさんは私に近づいて手をとった
「彼氏ができるまで、俺で我慢するか?」
ライライトさんは柔らかい笑顔を向けて言った
私は思わず頷いてしまった
ライライトさんは私の手を引いたまま前を歩く
私は多分真っ赤だ
ライライトさんが私の方を見ないのがせめてもの救いだと思う
「月明かりが綺麗だ」
ライライトさんがそう言って、月を見上げる
私はそんなライライトさんを見ていた
「ライライトさんがお兄ちゃんだったら、彼氏ぐらいできてたかな?」
そんな呟きをライライトさんは聞き取ったようで私の方を向く
「俺はお前の兄にはなりたくない………母親にもな」
ライライトさんは、また前を向いて歩く
「彼氏なんて、許すわけない」
そして、小さな声で呟くライライトさんが何だか可愛くて笑ってしまった
「笑うな…」
「だって、可愛くて」
「………可愛いは、よせ」
私がさらに笑うと、ライライトさんは少しだけ掌の力を強めて先を急いだ
私は何だかくすぐったい感じがして、掌を見つめて微笑んでしまうのだった
ラブラブの甘口にしてみました
ライライトは帰ってから隊員叱るの忘れちゃうだろうな…
紅波はぐっすり寝てそうだけど……




