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レガリオと言う人

クレハ視点です

ライライトさんの誕生日の次の日

ルピナスさんに休みで良いと言われていた

思いがけない連休にすることもないので、お菓子作りをしようと決めた

「昨日のアップルパイは好評だったな~」

兄や弟逹のおやつにするために、よく作らされたからレシピが頭の中にある

思い出せるレシピを調子に乗って作りまくって始めて気がついた

「こんなに食べれない…」

焼き菓子類やケーキ、タルトまでテーブルいっぱいに乗っている

「どうしよう…ライライトさんの誕生日プレゼントにでもする?」

だがライライトさんの好物はアップルパイである

好物でも無いものなんて欲しくないか…

思い直したところで、ライライトさんの欲しいものがまるっきり想像出来ないことに気がついた

そしてあることを思い出した


私は王宮のばかでかい門の前にいた

どうやって連絡を取れば良いのかわからなかったからここまで来てしまった

さっき作ったばかりのお菓子がバスケットに詰められて手の中にある

どうすれば良いかと思っていると突然声をかけられた

「あなた様は!女神様!」

「違います!」

即否定しました

「ど、ドレーク!」

「副隊長なら隊長にお使いたのまれて、居ないっすよ」

女神呼ばわりした騎士が言うとほかの騎士が冷静に言う

「ああ、女神様がドレークに会いに来てくれたって言うのに~」

「違いますよ、私が会いに来たのはミラリューシェ隊長なんですが…」

女神呼ばわりの騎士は私の話を聞いていない様子なため、ほかの騎士が隊長の所に連れていってくれるらしかった

「すみません、アイツ副隊長の親友なんで、テンションおかしくなってしまって」

「いえ、大丈夫ですよ」

「実は、自分も貴女に傷を治していただいた一人でして、本当にありがとうございました」

「まだ、痛んだりしてませんか?」

私が騎士さんを見上げると、騎士さんは照れたように顔を少し赤らめた

「い、いえ、完璧に治していただきました」

私は嬉しくなりバスケットの中からクッキーの二枚入った包みを出して、騎士さんに手渡した

「良かったら食べてください、たくさん作りすぎちゃって」

「あ、ありがとうございます!」

騎士さんは嬉しそうに笑ってくれた


騎士さんは門の横にある扉を開き、20メートルほど先にある建物の3階一番奥の部屋に案内してくれた

ドアをノックすると、返事は返ってこない

「隊長、お客様です」

「…追い返せ」

ようやく部屋から聞こえた声は苛立っているように聞こえた

悲しくなったが都合が悪いなら仕方無い

「あの、お忙しいところに申し訳ありませんでした、予定も聞かずに突然来てしまって、ごめんなさい」

ドアの前で謝って帰ろうとすると、部屋の中からガタガタと音がして勢いよくドアが開いた

「クレハちゃん!どうしたの?入って入って」

慌てた様子のライライトさんのお父さんに笑顔を向ける

「すみません、予定も聞かずに、お忙しいみたいなので帰ります」

「全然大丈夫だから、入って入って」

「本当ですか?」

「疲れてただけだから、クレハちゃんがお父様って呼んでくれたら疲れも吹っ飛ぶから」

私は少しためらった

「…お、お父様?」

言ってから後悔した

「ミラリューシェ様もう無理です、ごめんなさい」

「可愛いな~じゃあグレゴリーと呼んでくれよ、ミラリューシェじゃ、うちの家族みんなミラリューシェだからな」

私はそれならと承諾した

「グレゴリーが浮気してる、マリアに告げ口してやる~」

グレゴリーさんの部屋の中には綺麗な金髪に金色の瞳の美しいおじさまがいた

「たぶん、マリアに羨ましがられてしまうな!」

「なんだそれ?」

「マリアが先に彼女をナンパするぐらい気に入って俺に紹介した子だからな!」

私はグレゴリーさんにバスケットを手渡した

「あの、お客様が居るのでしたら出直します!たいした用事でも無いので、マリアさんとイライザちゃんにもあげてくださいお菓子作ったのでお裾分けです」

私が笑顔作るとグレゴリーさんは私の肩を押して中に入れてくる

「帰るなら、アイツの方だから大丈夫だ!お菓子嬉しいな~今お茶をいれるからソファーに座って待っててくれ」

グレゴリーさんはニコニコして私をソファーに座らせた

「おい、僕はまだ帰らないよ!」

「帰れよ、俺らはこれからお茶にするんだ!毒味役が居ないと何も口にできない奴は帰れよ」

美しいおじさまはふくれて見せたが、グレゴリーさんは無視して言った

「何が入ってるか、出して見て良いかい?」

「もちろんです」

グレゴリーさんがバスケットの中身を出しながら、ニコニコしている

グレゴリーさんが中身を出し終わると、美しいおじさまが目を輝かせて近づいて来た

グレゴリーさんはマドレーヌを手に取ると口に放り込む

「うっま!ヤバイこのままじゃクレハちゃんの作るお菓子以外食えなくなる」

じゃあ食べないでください…っと言いたいところだったがその言葉を呑み込んだ

「グレゴリー、そんなに旨いのか?」

美しいおじさまはソワソワしている

「あの、良かったらどうぞ」

「そいつ、毒味してからじゃないと食べ物口にできないから食えないよ!」

「なら苺のタルトはワンホール持って帰れるんじゃ無いですか?お家なら食べれるって事ですよね」

私の提案にグレゴリーさんは嫌そうな顔をした

「グレゴリーさんには、また作ってきますから」

美しいおじさまは目を輝かせて言った

「なんていい子なんだ、さすが勇者の孫」

この人私の事を知っている

「僕の名前はレガリオだ、よろしく」

私は急いで祖父の書いた小説を取り出さし、レガリオと言う人を探した

探さなければ良かった

「えっ、国王陛下?」

「おや?もう、わかってしまったか?」

土下座とかした方が良いのか?

私は取りあえず頭を下げることにしたが、途中で陛下に頭を押さえられて止められた

「クレハちゃんは頭なんか下げなくて良いよ!旨い!これもめちゃくちゃ旨い」

グレゴリーさんはクッキーをほうばりながら言った

陛下はニコニコしたまま口を開いた

「今度あったら言おうと思ってたんだけど、君、僕の娘にならない?」

「なりません」

思わず速答してしまった

「…速答?」

グレゴリーさんが苦しそうにむせている

「お姫さまに憧れたりしないのかな?」

「女の子はみんな憧れると思います、でも、湖で泳いだり、酔っぱらいのお客様と手をつないで歌ったりは、出来なくなるって事ですよね」

私は少し困ったような笑顔を作ると続けた

「とても魅力的なお話しですが、今が楽しすぎて陛下の娘になっている私は、想像出来ません…ごめんなさい」

グレゴリーさんはまだ、盛大にむせている

私はグレゴリーさんの背中をさすってあげた

「断られるなんて、想像もしてなかったよ」

陛下は明らかにシュンとしてしまった

「絶対に駄目?」

美しすぎる陛下に可愛く言われてキュンとする

「…ごめんなさい」

陛下は目の前にある苺のタルトをバスケットにしまって私に言った

「アリアと作戦会議をしてくる!この籠は貸しといて!また会おうね、クレハちゃん」

そして窓から飛び下りるように居なくなった

慌てて窓の下を見ると陛下が手を振り去っていった

「窓から落ちたってアイツは死なないよ」

グレゴリーさんはようやく復活したようだった

「にしても、何か企んでるとは思ったが、クレハちゃんを娘にしようとしていたとは…」

陛下とお妃様の間には子供が居なかった

だから、ハウロウは会うと可愛がってもらったと書いてあった

「あの、アリアって誰ですか?」

「お妃様だよ、そしてマリアの妹」

知らなかった、マリアさんの妹がお妃様だなんて

「お妃様…」

「だから陛下は俺の義理の弟」

なんだかすごい

「もともと、陛下とは友達みたいなもんだったんだが、今日みたいに執務室に遊びに来て、アリアに一目惚れしたんだ」

グレゴリーさんは懐かしそうに、陛下の話をしてくれた


ひとしきり陛下の話をし終えるとグレゴリーさんは私に笑顔を向ける

「で、クレハちゃんは何んで俺の所に来たんだい?」

私はすっかり忘れていた

「そうでした、私、ライライトさんに何をプレゼントしたらいいのか分からなくて…何が良いですかね?」

グレゴリーさんはニヤニヤした

「クレハちゃん、ライライトの事好きなのかい?」

「好きですよ!人として尊敬しています」

「俺の言ってる意味わかってる?」

「尊敬していると言いましたが?」

私は強く言い返した

グレゴリーさんはそれ以上突っ込んで話さなかった

「プレゼントね~俺もライライトにプレゼントやってないな~」

役立たず…ごめんなさい、ちょっぴり思ってしまいました

「ライライトは欲しいものとか、自分で手に入れるからな~そうだ、君からもらった魔法石は大事にしてたな!」

あまり参考になりません

取りあえず街に出てお店を見て回ることに決めました

「では、ちょっと検討してみます」

「おお、そうか?」

グレゴリーさんが苦笑いで頭を掻いたそのときドアが勢いよく開いた

「隊長!女神様がいらしてると言うのは本当ですか?」

入ってきたのはドレークさんでした

「あっ、ドレークさん、怪我の方は大丈夫ですか?」

ドレークさんは私の前に膝まずくと私の手をとった

「女神様、自分と結婚を前提におつ…」

「ごめんなさい」

「イヤ、付き合っ…」

「ごめんなさい」

取りあえず最後まで言わせる気はさらさらない

「クレハちゃん、最後まで聞いてあげてくれる?」

可哀想になったのか、グレゴリーさんにお願いされる

「自分とお付き合いしてください」

「本当にごめんなさい」

グレゴリーさんが手で口を押さえ笑いを堪えているのが見えた

「たっ隊長~」

ドレークさんがグレゴリーさんに抱きつく

私はそのままドアに近付くと言った

「また、お菓子作って来ますね!マリアさんとイライザちゃんにもあげてくださいね!」

それだけ言うと私はその場を後にした


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