兄妹
三人称ちょっと面白くないので紅波目線で書いてみました
「ライライト、そちらのお嬢さんを紹介してくれるか?」
突然声をかけられライライトさんと私は驚いた
私が声のした方を見るとオレンジ色の髪の毛に青い瞳の少しがっしりとした強面のおじ様がいた
「父様も知っているはずですよ、アシャティスが召喚したハウロウの孫ですよ」
ライライトさんの言葉にシーンとする
強面のおじ様がライライトさんの父親だと分かり、私はゆっくりとお辞儀をした
「紅波ともうします」
「じゃあ君が血まみれの女神?」
なんだろう、その厨二病丸出しの通り名?
「違います」
「でも、この間のドラゴン事件の時、うちの騎士達の命を助けてくれた人だよね」
「……はい」
思い当たる、たぶんあの白地にオレンジ色の甲冑の騎士の事だ
チラッとライライトさんを見るとため息をつかれた
「お前、人のこと言えないだろ、昨日も会ったのに聞いてないぞ」
「怒られたら嫌なので意図的に黙ってました」
「なお悪いな、しかも…約束って言葉をお前は理解してるのか?」
「人命最優先で生きてます!」
ライライトさんは深くため息を吐き出した
「無駄な約束はもういい、石は誕生日プレゼントにもらっとく、それで良いか?」
私は一瞬何を言われてるのか分からなかった
「怒るのすら嫌になったって事ですか?」
ライライトさんに嫌われてしまったかもしれないと思ったら怖くなった
「お前が魔法を使えること隠す意味がないから約束する必要もないだろ!プレゼント気にしてたから石は、もらっとこうかと思ったけど駄目なら返すぞ!」
私はライライトさんに嫌われた訳ではないとわかり、ライライトさんに笑顔を向けた
「良かった~嫌われたかと思いましたよ、石はあげたものですからもらっといて下さい、プレゼントは後で別の物を用意します」
「だから気にしなくて良いって」
「普段お世話になってますから」
「そろそろ良いか?」
ライライトさんのお父さんにそう言われ、ライライトさんと二人でハッとする
「ドラゴン事件の時死にかけていたやつわかる?」
「ドレークさんですか?」
「そうそう、そいつ副隊長なんだがな、君の事を天使だとか女神だとか言っててさ、君に会いたがっているんだ」
何故か、訳の分からないフラグが立っている
「天使に女神ですか?アシャには魔王って言われてますけど…」
私の言葉にライライトさんが首をかしげる
「魔王ってなんで?」
「精霊とか魔海獣とかドラゴンとかを使役してるのは、魔王だろって」
「ちょっと待て、ドラゴン使役したなんて聞いてないぞ」
「忘れてた…ごめんなさい」
「お前…」
ライライトさんにものすごく呆れられてしまった
「さあみなさん食事にしましょうか?」
マリアさんがそう言ってくれたのでドラゴンの話は終わりを向かえた
みんなが食事をする部屋に移動を始めた時私は肝心なことを思いだしライライトさんの上着を掴んだ
「あの、」
「うっ?」
「お誕生日おめでとうございます」
ライライトさんは柔らかく笑うと言った
「ああ、ありがとな」
何時も何だかんだで優しい、ライライトさんがプレゼント喜んでくれそうな物を用意したいな
「おめでとうを言われるだけで、嬉しいもんだな」
ライライトさんはそう、呟いてくれた
「だけじゃダメです、プレゼントもあげるんですからね」
ライライトさんは少し困ったような顔になっていた
「そこ、早く来なさい~」
マリアさんに急かされてみんなのもとへ合流する
ライライトさんもゆっくり追い付いてきた
「兄様、クレハさんの頭に触って無いですわね」
「触って無い、せっかく似合っているんだから、崩すような事はしないよ」
ライライトさんの言葉にマリアさんにイライザちゃんにライライトさんのお父さんも振り返る
3人とも驚いた顔をしている
「…何か?」
「だって、兄様が」
「ライライト、お前女性を誉められたんだな」
「ライ君が女性を誉めるなんて、私も嬉しいわ!」
ライライトさん…どれだけ、誉めれない人なんですか?
「兄様の好みのドレスにして良かったですわ!」
イライザちゃんが跳び跳ねて喜んでいる
「でも、ライライトさんの好みで言ったら私は役不足だと思う、だってライライトさんって歴代彼女が…」
突然ライライトさんに口をふさがれた
「何故お前がその話を知っている?…まさか、ハウロウか?」
私はコクコクと頷いた
「わかった、今すぐすべて忘れろ、ハウロウに会うことがあったら首閉めて殺してやる」
ライライトさんの迫力にコクコク頷く
ライライトさんにとっては黒歴史のようです
「ちょっと、兄様化粧が崩れてしまいます」
イライザちゃんに助けてもらいほっとする
「あぁ~、兄様のせいで口紅が薄くなってしまったじゃないですか!」
「えっ!すまない…」
イライザちゃんに怒られ戸惑うライライトさんが可愛く見えた
「クレハさん、口紅直しに行きましょ、兄様も」
「何故俺まで?」
「掌に口紅着けたまま食事をするんですか?その口紅おちにくいですわよ」
ライライトさんは掌を見ると諦めてついて来ることを決めたようだった
ライライトさんが掌の口紅を専用のクレンジングでおとしているのを見ながら私はイライザちゃんに口紅を直してもらっていた
「クレハさんが私の姉様になってくれたら嬉んですけど、どうでしょうか?」
イライザちゃんの笑顔がキラキラしている
「イライザちゃんの姉になるって事は、ライライトさんも私の兄になるって事ですよね!ちょっと良いかも」
私の呟きにイライザちゃんが言い直す
「兄様と結婚すれば本当に姉様になれますわ!」
そう言う意味にとらえてなかった
ライライトさんと…
私はライライトさんの方を見た
ライライトさんは困った顔をしている
「ライライトさんが旦那様なら幸せになれそうですね!……でも、ライライトさんの歴代彼女からするとわ私はタイプじゃないと思うよ」
「お前、それは忘れろって言っただろ」
ライライトさんに言われて、笑顔を返す
「5年で好みが変わるんですか?変わったなら、相当な修羅場を経験した」
「してない、たいてい代わりが見つかってフラれたし、あと腐れなく別れてる」
こんなに格好良いのにフラれるのか?
私は疑った顔をしてしまった
「まあ、普通に誉めてくれない男には魅力が無いと言われるのがほとんどだったな」
そしてライライトさんはハッとしてうつむいた
「何が悲しくて、妹の前でこんな話せにゃならんのだ」
「兄様はそう言う話はしてくださらないので楽しいですわ、もっと聞き出して下さいね」
イライザちゃんは口紅を塗り終わると笑顔をくれた
「完璧ですわ」
イライザちゃんの言葉にライライトさんが返す
「俺の好みとか関係無く、クレハには背中の空いてるドレスの方が似合うと思うが」
そこでライライトさんは何故か、人差し指で私の背中をなぞった
「あっ、やぁ」
自分でもビックリするぐらい変な声が出た
(エロい声だ…)
ライライトさんの方を見るとライライトさんは口元を左手で押さえていた
まだ、大声で笑われた方がましである
顔が暑くなる
私はライライトさんの肩を両手をグーにして殴った
「私も居るんですから、イチャイチャは控えめでおねがいします」
イライザちゃんにイチャイチャしてると思われた
「ちなみにクレハさんは背中がそんなに綺麗なんですか?」
「イライザはきっとはしゃぐだろうな」
「ならすぐに衣装がえしましょう」
「えっ、今から?今日はもうこれで良いんじゃないかな?」
私の言葉はイライザちゃんには届いていないようで、私は引きずられるようにして衣装チェンジをするはめになった
ちなみにライライトの前彼女は、人妻や未亡人だと思われます
回りからは彼女が出来たことが無いと思われていますが、けっこう遊んでます
彼女が訳アリなのでライライトと付き合っているとは誰にも言いません
尻尾を出さない大人な彼女素敵です




