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マリアとイライザ

ドラゴンは家の暖炉が気に入ったようで呼ばれなければ暖炉の中で一日中眠っている

暖炉に火を入れたい時はドラゴン自体が燃え上がり燃料いらずだ

ドラゴンが家に居るのが当たり前になったある日の昼下がりのことだった

「そこの人~拾って下さいませ~」

柔らかい可愛らしい声に紅波が振り返ると、足元に林檎が3つほど転がってきた

紅波がその3つを拾い上げ顔を上げると、そこには貴族のご婦人と娘らしき女の子が慌てたように紅波の方に小走りで近づいて来てた

濃い藍色の髪の毛を品よくアップにした、水色の瞳のご婦人と同じ色の髪の毛が腰まであり、手触りの良さそうなサラサラヘアーを揺らしてこっちに急いでいる女の子は15歳ぐらいに見えた

ご婦人よりも少し濃い色の瞳は林檎に釘付けだった

「どうぞ」

紅波が林檎を差し出すと二人は柔らかく笑いお礼を言った

「本当にありがとうございます、助かりました」

「ありがとうございました、お母様、人様に迷惑をかけてはいけないと兄様にいつも言われているではないですか、気をつけて下さいね」

可愛い親子だな~

紅波は思わず笑顔になった

「今日は息子の誕生日だからアップルパイを作ろうと思ってるのよ!息子はアップルパイが好きなのよ!」

「すみません、関係のない人にどうでも良い話をしてしまって」

紅波はクスクス笑って言った

「いえ、微笑ましくて和ませていただきました、ちなみにアップルパイならシナモンの粉を少し振りかけると美味しいですよ!では」

紅波がその場を立ち去ろうと後ろを向くと両手を二人に捕まれた

「「貴女、アップルパイ作れるなら教えてくださらない?」」

二人の迫力に紅波は頷いてしまっていた


二人に半強制的に連れてこられた御屋敷はばかでかく、紅波はすでに帰りたくなっていた

案内されるまま大きな厨房に連れていかれ、期待でキラキラした目を向ける二人に作り方を1から教える

「私の祖母が弟達によく作っていたのでおぼえたんですけど、うちのアップルパイで良いのですか?」

今更ながらに聞いてみると二人は笑顔で頷いた

「息子に美味しいと言わせたいのよ、私たち」

「兄様は喜んでくれても美味しいとは言って下さらないのです」

シュンっとしてしまった二人に紅波は優しく笑顔を作ると言った

「じゃあ、美味しアップルパイ作って驚かせないとですね!」

紅波は二人ができるまで、ゆっくり分かりやすく説明しながらアップルパイを作りオーブンに入れる

紅波は小さく歌を口ずさみながらオーブンを見ていた

(この世界が私がいた世界と食材がほぼ一緒で助かったな―)

紅波がそんなことを思っていた次の瞬間またも二人に手を捕まれ驚いた

「「貴女歌士なの?」」

「あっ、まあ、いちよう…」

可愛い親子の迫力に押されあとずさる

「何か歌って下さらない?」

「歌士の方を間近で拝見するのは始めてなんです、お願い致します」

紅波はなんだか嬉しくなって息を吸い込み女性アイドルの歌を歌った

歌が終ると二人と厨房にいた料理人達が拍手をくれた

「ありがとうございました」

紅波も深々と頭を下げてお礼を言った

可愛い親子は紅波の事を物凄く気に入ったようだった

「今夜は息子と旦那様が珍しく一緒に帰ってくるのよ!もし用事がないのなら今夜のディナーの時にでも歌って下さらない?」

「兄様もきっと喜んで下さるわ!」

二人の迫力が増す

「そうだわ、一緒にディナーを頂きましょ!私達もうお友達よね!私の事はマリア、娘の事はイライザと呼んで下さいな」

「素敵ですね!貴女の名前を聞いても良いかしら?」

「…く、紅波ともうします、」

紅波が戸惑っていると二人は可愛らしい笑顔でハモって言った

「「まー可愛らしい名前ですのね!」」

紅波はお二人の方がよっぽど可愛いですよ、っと思いながら苦笑いを浮かべた


「クレハさん兄様とお父様の前で歌うなら着飾りましょう!お母様のドレスで着なくなった物を借りれば良いわね」

イライザは紅波の手をつかんではしゃいだ

「料理長アップルパイをよろしくね!ではクレハちゃん、私の部屋にまいりましょう」

はしゃいだイライザに手を引かれマリアの部屋に連れてこられた紅波は二人に服を剥ぎ取られた

「何てこと…クレハちゃんに始めて殺意が生まれたわ」

「なんなんですの!この、けしからん胸は、ムカつきます」

イライザに胸を鷲掴みにされて紅波が悲鳴を上げると二人は思い出したように言った

「お母様の見栄はりドレスならクレハさんにもぴったりでは?」

「ああ、そうね、胸元がばがばで、一回も着れなかったドレスがあったわね!」

二人に出されたドレスをメイドにとっかえひっかえ着せ替えられて紅波のHPはクリティカルヒットされたように減っていった

「このドレス、兄様が好きそうです!」

「じゃあ、これにしましょうか」

二人が頷き合ったドレスは肩出しの胸元も結構空いているマーメイドラインのセクシードレスだった

「「スタイル良くて羨ましいですわ~」」

二人がハモって言った

紅波は苦笑いを浮かべることしかできなかった

キャラが濃い親子だ

次はライライト目線です

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