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魔海獣クラーケン!

シルフィードの風で目的地に着くのに、時間はたいしてかからなかった

「あれだ!」

見張り台から乗組員が指を指しながら叫ぶ

見れば豪華客船のような船が今にも沈没しそうな状態でかろうじて浮かんでいた

「マカイジュウって?」

「たぶん海の中に潜っているのでしょう」

紅波の呟きにカウーチェがそう言ったその時、海の中から物凄く大きな吸盤の付いた白い手が姿を現した

それを見た紅波は祖父の言っていた言葉を思い出した

『精霊や魔海獣は名前を呼ばれるとその人に従いたくなる性質があるらしいんだが、アッチの世界にこの本があったら俺は世界征服出来たのに』

なんて冗談めかして言っていたが、それが本当だったなら 紅波は祖父がよく読んでた本を思い出す

たしか本にはこう書かれていた

「冷たい海を好み船を沈めて一人残らず人を食う、大きなタコまたはイカの姿をした巨大生物、別の地域では恐怖の象徴ではなく、大漁をもたらす神の使い」

紅波の言葉にラズナーとカウーチェがギョッとした顔をしていることに紅波は気づかず叫んだ

「我に従え、クラーケン!」

叫んでから紅波は後悔した

目の前の巨大なイカだかタコだかの白い手は動かない

これで名前が違っていた場和、とんだ赤っ恥である

紅波がいたたまれなくなってきたその瞬間

船が突き上げられるように水面が盛り上がっていく

そして、白い手の持ち主が姿を現した

ハッキリ言って白いタコ

よくよく見れば船は白いタコに持ち上げられるように宙に浮いていて絶体絶命大ピンチと言った状況であった

白いタコが紅波を見つめている

紅波はもう一度恐る恐る名前を口にする

「クラーケン?」

するとなんとも言えない音のような声をピーっと鳴らした

たぶん名前が合っているのだと紅波は解釈した

「クラーケン、ゆっくり船を水面に下ろしてくれる?」

紅波の言葉にクラーケンがしたがう

そして船が水面に降りて安定するとクラーケンは紅波に恐る恐る手を伸ばした

紅波はその手にゆっくりと触れる

昔水族館でさわらせてもらったイルカのような感触だと紅波は思った

触れた所から感情が伝わってくる

『名前を呼ばれて嬉しい、ご主人様』

「ご主人様?」

小さく声に出すとクラーケンはまたピーっと鳴いた

「クラーケン、海になげだされた人間がいたら助けてほしいの、できる?」

クラーケンはまたピーっと鳴いてすぐに海に潜り落ちた人をラズナーの船に乗せていった


最後の一人を乗せたところでクラーケンは再度鳴いて見せた

「クラーケン約束して、もう船を沈めないって」

クラーケンはまた紅波に手を伸ばし触れて感情を伝えてくる

『ヤクソクする』

クラーケンの手を優しく撫でるとクラーケンも嬉しいそうだった

「いやまいったね、まさか魔海獣を従わせるとはね!」

気付くとラズナーとカウーチェが側に立っていた

「ものは相談ですが、その魔海獣を我船の護衛に貸してはいただけないでしょうか?」

紅波はクラーケンの手に向かって言葉をかける

「クラーケン、この船の人達が君と友達になりたいって!」

二人がギョッとするなかクラーケンが二人に更なる手をのばして二人に触れた

『ご主人様、友達……殺しちゃダメ、友達』

「うん、ダメ仲良くするんだよ!」

『人間、仲良くする!』

ラズナーはつとめて明るく言った

「僕らも君と仲良くなりたいのだが、僕らも名前を呼んでも良いかな?それともご主人様にしか呼ばれたくないかな?」

『…名前、呼んでくれる?名前、呼ばれる、好き』

ラズナーとカウーチェは顔を見合わせ笑顔を作った

「クラーケン君」

「クラーケン様」

ラズナーの後にカウーチェが続くとクラーケンが嬉しいそうに鳴いたのだった




クラーケンは幼いイメージです!

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