カウーチェと言う人
更新が遅くなりましてすみません!
ラズナーが凄まじい勢いで書類を片付けていくのを紅波はなんだか新鮮な気持ちで見つめていた
(ラズナーさんってダメ人間って訳ではないみたいだな~)などと失礼きわまりない考えが浮かぶ
「歌姫様、ここにいても暇でしょうから、私が港を案内いたしますがいかがいたしましょう」
「えっ?」
「私はカウーチェと申します、以後お見知りおきを」
カウーチェと言う男は焦げ茶色の髪に山吹色の瞳の全体的に細い印象を受ける
髪の毛は長く背中までありそれを紐で結わいている
「大丈夫です、待てますよ」
「ですが、大抵の女性は長時間またされるのはお嫌いだと思うのですが?」
「そうですか?私はいつもチャラチャラしてる人が真剣に仕事している姿に感心して、なんだか得した気分ですけど?」
カウーチェは柔らかく笑った
「主が聞いたら跳んで喜ぶでしょうね…ちなみに集中しているので今は聞こえていないでしょうが」
カウーチェはチラリとラズナーを見てクスクス笑った
「私のワガママで、貴女様の歌を主の船に乗る乗組員に聞かせてほしいとお願いしたら港を案内させていただけますか?勿論報酬は主がいくらでも払いますから」
カウーチェの嘘臭い笑顔に紅波は満面の笑みを浮かべた
「では、よろしくお願いします!」
執務室からなにも言わずに静かに出ていくとカウーチェはクスクスとまた笑った
「どうかしましたか?」
「いえ!主が暫くして貴女が居ないことに気づいたらきっと慌てるでしょうね」
「…ドS」
「よく言われます」
カウーチェは笑顔のままだったが、目は笑っているように見えなかった
「こっちはお茶などの味が損なわれないように低温に保てる魔法がかかった倉庫です」
カウーチェは丁寧に港を案内してくれていて紅波は珍しい魔法のかかった場所がかなりあるのだと知った
「そして、あの船が主様の船です!」
だいぶ歩いてようやく到着したのはメンディアレの船
船の先の方に人魚の像が付いている
海賊旗なんて飾ったら様になりそうである
「では船の中へ!乗組員達も喜ぶ事でしょう」
カウーチェに導かれる様に船に乗ろうとしたその時だった
少し離れた海上から花火が上がった
赤色の煙だけがその場に長くとどまってある
「救難信号のようです」
カウーチェは眉間にシワをよせた
船の上は突然慌ただしくなり船から乗組員が顔を出した
「カウーチェの旦那!あの方向は魔海獣があらわれる海域だ」
「マクライガー伯爵の客船が今日出るって聞きやしたぜ!」
「あの船、あの化け物に襲われたのか~」
カウーチェは紅波にここで待つように言った
「主を呼んでまいります」
カウーチェがその場をはなれようとしたその時、背後から声がした
「その必要はない、助けにいくぞ」
そこにいたのはラズナーだった
ラズナーは紅波に笑顔を作るのと申し訳なさそうに言った
「ごめんね紅波ちゃん、格好つけて2時間とかいって30分オーバーだわ、人助けでいつ戻ってこれるかわからない、これに懲りずにまた僕の事誘ってくれるかい?」
紅波はラズナーに笑顔を見せた
「私もいく」
ラズナーとカウーチェはフリーズした
「ラズナーさん!私もつれて」
「く、クレハちゃん?えっ~と観光ならいくらでもつれていってあげるけど…」
カウーチェは紅波に冷たく言った
「空気を読んではいかがですか?女子供を危ない場所へつれていくわけないでしょ?」
紅波は笑顔を消し、カウーチェを見ると言った
「女子供がなにも出来ないなんて誰が決めた?空気読んでこっちは言ってる」
紅波はラズナーに視線を戻すと続けた
「足手まといにはならない、役に立ってみせる、だからお願い」
「クレハちゃん、僕は君に精神的にも肉体的にも傷ついてほしくない」
ラズナーがそう言うと紅波はラズナーの腕を掴んで言った
「ラナ、私が誰の血縁者だと思ってるの?ここで指をくわえて見てろなんてよく言えたね!困ってる人がいたら助ける、そんな常識も出来ないなら代わりになんて来るんじゃなかった。ラナ、お願い手伝わせて」
そのまま紅波はラズナーの胸に頭を押し付ける
「僕の言うことは聞いてもらえないって事だね、なら約束してくれる?危なくなったら君だけでも逃げてくれるかい?」
「無理、私ラナの言うこと聞かないから!」
ラズナーがまたもフリーズするとカウーチェが声を出して笑った
「貴女はそこいらのバカ女とはだいぶ違うようだ!乗りなさい、私が許します、その代わり主のために死んではいけない!」
「そのぐらいなら約束しますよ!」
「面白い」
「わかった、二人とも急ぐぞ」
紅波とカウーチェとラズナーは小走りで船に乗り込んだのだった
ファンタジーにしたいです!
次で頑張ります!




