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ラズナーの憂鬱

ラズナー目線でかいてます

最近は『バーミリオン』に行けていない

ライライト君だけでも気が気でないのにアシャティス君まで熱っぽい視線を彼女に向けているのは明確だ

それでも仕事が立て込んでいて彼女に会いに行けていない

我がメンディアレ家は商業でその地位を保っているのだがここ数日海賊に船が襲われたり、魔海獣に船を沈められたり始末書だらけで気力が続かない

机の上の大量の書類にため息しかでない

「彼女に会いたい」

思わず言葉が口から溢れだした

「すべての書類に目をとうされたなら、会いに行っていただいてけっこうですが?」

こんなに大量の書類にそう簡単に目をとうせる訳もないのに僕の右腕で執事のカウーチェ、ミディアーニャが冷たくいいはなつ

「…ドS」

「誉め言葉どうも、ありがとうございます」

「の上、地獄耳」

「書類が増える前に片付けないとたまるいっぽうですよ早くやっちゃいなさい」

僕はカウーチェを見つめた

僕の視線に耐えられなくなったカウーチェは少し休憩にしましょう、お茶の用意をしてきますと言い残し執務室を出ていった

カウーチェが出ていくと同時に僕は机に突っ伏した

彼女がいればあの柔らかい手で撫でてくれるのに

「会いたい」

ついつい言葉が口からこぼれ出す


しばらくそうしているとドアが開き人が近づいて来るのがわかった

カウーチェは仕事も早いがお茶を入れるのも早いようだ

怒られるまでこうしていようと心に決めたその瞬間

頭に柔らかい手の感触

思わず頭を上げるとそこにはクレハちゃんが心配そうに僕の頭を撫でている

「クレハちゃん?」

「お疲れさま、大変そうだね」

幻覚?妄想?願望?

頭がついてこない

「ラズナーさん大丈夫?」

クレハちゃんが僕の顔を除きこむ

頭に置かれた手を掴んで引き寄せて抱きしめたい

そのままキスしたい

僕の頭の中にそんな願望が駆け巡る

今までの僕なら考えるまでもなく引き寄せていたに違いない

だが今の僕には出来ない…簡単な理由だ…

嫌われたくない

「クレハちゃんどうしたの?僕に会いに来たのかな?」

冗談めかして言えば彼女は柔らかい笑顔を作る

可愛すぎる

「ラズナーさんにお願いがあったんだけど忙しそうだからまた今度で良いよ」

「イヤイヤ気にしないで僕にできることなら何でも言って」

彼女が望むなら何でもしてあげたい

「私、この辺まだ詳しくないから一緒に買い物いきたかったんだけどこの書類無理でしょ」

思わずフリーズ仕掛けたが我慢する

「に、2時間待って」

クレハちゃんはかなり驚いた顔をした

そんな顔さえ可愛い!

「2時間で終わるの?」

「大丈夫!終わらせる!もし暇なら港を歩いてくると良いよ!」

強がってしまった自覚はあるが今なら出来る、自信がある

クレハちゃんと二人でいられるチャンスなんてこの先いつ訪れるか分かったもんじゃない

「無理しないでね!」

この書類の量だからクレハちゃんが心配するのも分かるが今頑張らずにいつ頑張るんだと言ってやりたい

「少しぐらい格好つけさせて」

僕が笑顔を作るのと同時に部屋のドアが開き、カウーチェがお茶とお菓子をクレハちゃんの前におく

僕のところに持ってこないのは、今の二人きりの時間が休憩だと言いたいのだろう

だがそれでいい

彼女がお茶を口に運ぶのを見届けると、僕は書類に目をうつした

魔法でもかかったんじゃないかと思うほど、内容が頭に入る

「…すごいな…」

誰にも聞こえないくらいの小声が漏れたがカウーチェの口元が少し動いた気がしたから、きっとあの男には聞こえてしまったのだろう

本当にあいつの地獄耳が恐ろしいと思わずにはいられない。

ラズナーの必死な感じがけっこう好きです!


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