魔力は匂いでわかります?
店のなかで暴れすぎた四人は、ルピナスに強制連行され二階の宿泊用の部屋に押し込まれた
「貴方達、うちのクレハちゃんに何してくれてんの?出禁にするわよ!」
ルピナスは見たことないほど怒っていた
紅波はルピナスが持ってきてくれた濡れタオルで首を拭きながらルピナスの影に隠れる
最初に口を開いたのはライライトだった
「俺は…………助けるのが遅くなって、すまん」
それに続いたのはラズナーだった
「僕はアシャティス君がクレハちゃんに近づかない用に捕まえてたんだ」
アシャティスは紅波から目を離すことなく言った
「孫が、旨そうな匂いをさせてたから味見した」
その場の空気がはりつめる
「ライライト様、この変態殺して良いですよね?」
「さっき、クレハにも言ったが残念ながら駄目だ!」
ルピナスは視線だけで人が殺せそうなほどアシャティスを睨み付けた
「お前の魔力は濃密だ、味見がそんなに駄目な事なら責任とって僕の嫁にしてあげよう」
紅波はアシャティスに走って近づくと振りかぶって頬にグーをねじ込んだ
「お前、歯くいしばれ!」
「クレハちゃん、それ殴る前に言わなきゃいけない言葉だよ!」
ラズナーが弱々しく言ったが紅波には届いていなそうだった
そんな状態の惨劇を見てライライトはおでこに手をあてた
「アシャティスは魔力を匂いで感知する、その性でハウロウは気に入られて付きまとわれてたんだったな」
ライライトはため息を吐き出した
「まさか、じいちゃんにもこんな事してたんじゃないよね?」
紅波は手をわなつかせながらきいた
「師匠は味見したいと思ったことないな、ヤッパリ女だからか?しかも、旨かった」
紅波は素早くライライトの後に隠れた
「キモい!」
手にしていた濡れタオルでまた首を拭く
「余り拭きすぎると傷になってしまうぞ」
「だって…」
紅波はうつむくと、ライライトの腹まわりに手を回した
「気持ち悪いんだもん」
「そこ、イチャイチャしない」
紅波はルピナスに怒られふくれた
「ライライトさん落ち着く」
「人の居ないとこでやんなさい!」
さらに怒られ渋々ライライトから離れる
ルピナスはそんな紅波の手を掴むと言った
「クレハちゃんは誰の孫なの?しかも魔力まであるの?」
紅波はしかなくルピナスにこれまでの事を説明した
「勇者の孫」
「それ、やめて下さい!普通の老人の孫です」
紅波はルピナスから目を反らした
「で、クレハちゃんはどんな魔法を使えるの?」
クレハには意味がよくわからなかった
「女の魔法使いは特定の力を発揮するって聞いたけど、確かライライト様のお母様も魔法使えるとか」
「母は植物を成長させる魔法が使えたな、とは言え母のは植物自体が持っている生命力を活性化させるだけだから出来て種から花を咲かせるレベルだな!」
紅波は手を開いたり閉じたりしながら言った
「よくわかんないな~けっこう出来ると思うけど…」
ライライトは紅波の頭をポンポンと軽くたたいた
「ゆっくり試せばいい、それに使わなくてすむなら使わなくても生きていけるからな!」
ライライトの言葉に紅波は少しホッとしたのだった




