ライバル登場?
月明かりの中、紅波は湖の中にいた
弟の来夢が持たせたお土産の中に入っていた水着
セクシーなビキニはハッキリ言って人前では恥ずかしいが夜、月明かりにキラキラと輝く湖を一人で泳ぐにはこれ以上無いほど適しているように思えた
泳ぎは苦手ではない
湖の水はどこまでも透明で月明かりが湖の底まで写し出している
紅波は潜水をして一気に浮上した
月も地球の月より大きいみたい
紅波はそんなことを思いながら胸元に張り付いた髪の毛を肩の後ろにはねあげる
「綺麗だ」
誰かの呟きに振り返るとソコにはライライトと見知らぬ男が立っていた
紅波は泳いで彼らの方に近づいた
「ライライトさん、どうしたんですか?」
「その前に、目のやり場に困るから着替えてくれ」
ライライトは紅波から目を離している
そこでようやく自分がセクシービキニであったことに気付く
「あっ、こっちの人は水着とか着ないですか?」
紅波はそのまま湖から上がると、近くに置いていたバスタオルを羽織った
「そちらの方はラズナー、メンディアレ様ですか?」
紅波はライライトの後ろに立っていた男を見ながら言った
緑がかった金髪、肩までの柔らかそうなエンジェルパーマ
端正な顔立ちに細身のメガネは知的なイメージを思わせる
こちらの男はライライトと違い紅波を上からしたまでなめるように見ている
「僕の事を知っていてくれているなんて光栄だよ…それにしても、ハウ君よりもその刺青が似合っているね」
ラズナーはゆっくり喋りながら紅波に近づき手を伸ばす
「触らないでね、メンディアレさん貴方のような人には近づいてはいけないってじいちゃんに言われてるの」
紅波の言葉にラズナーとライライトは動きをとめた
「ハウ君が?なぜ?」
紅波は髪の毛の水分をタオルでふきながら言った
「旅好きと言う名の女好きで各地の港に彼女がいるって聞いてる!私そう言うの巻き込まれたくないから」
紅波はライライトの方に駆け寄るとライライトを見上げて言った
「着替えてくるので、呼ぶまであの人見張っておいてくださいね」
「ああ、速く行ってこい」
紅波は可愛く笑顔を作ると走って家に入っていった
「えっ?ライライト君と僕に対する対応の違いが凄まじすぎやしないかい?」
「賢明な判断だと思う、ハウロウの教育は素晴らしいとしか言い様がない」
ラズナーは怨めしそうにライライトを睨んだのだった
紅波は着替え終わると、祖母が持たせてくれたインスタント珈琲を3つ作ると外に持って出た
なんだかんだで仲の良さそうな二人に珈琲を手渡す
「これは悪いね!」
ラズナーが振り返り珈琲を手にすると、驚いた顔をした
「なぜ君は男性用の服を着ているんだい?あんなにスタイルが良いのにもったいない」
紅波はライライトに珈琲を手渡しながら言った
「楽だし、私が住んでいた世界では普通だし、それにメンディアレさんに見られるの嫌だし」
「こんなに女性に嫌われたことなんて今まで生きてきて初めてなんだが、けっこう傷つく」
へこんだように下を向くラズナー
気にせず珈琲に口を付けるライライトは同時に言った
「「良い匂いだ」」
紅波は嬉しそうに笑う
「珈琲って言うんだよ、大好きなんだ」
ラズナーとライライトは同時に思った
((可愛い))
そんなことを思われたなど気づきもしない紅波は珈琲について熱く語るのだった




