魔法はフラグ?
感想で指摘をしていただいたので書き方を変えて見ようと思います。
前に書いた物も手直ししたいと思ってます。
その日の夜
ライライトは紅波をハウロウの住んでいた森の中の家に連れていく事になった
月明かりに照らされて、木々の隙間から太陽とは違う柔らかな光が紅波とライライトの足元に落ちる
紅波は昔聞いたことのある英語のバラードを鼻歌で歌っていた
ただ単に歌詞が曖昧だったからなのだが、ライライトにはあまり関係なく、紅波をなんだか神秘的な者に見えた
(不味いな、最近は女性に対してこんなこと思わなかったのに可愛くて…綺麗だ)
ライライトは自分の前を楽しそうに歩く紅波から目がはなせなかった
30分ほど歩くと目的の家にたどり着いた
森の中に突然開けた場所が現れ、200メートル四方の湖沿いに小さな家が立っているのが見えた
湖に月明かりが反射してキラキラしていて紅波は足をとめて見いってしまった
そんな紅波をきのすむまで、ほっといてあげようとライライトは思った
が次の瞬間、紅波は荷物を放り出して湖に走っていき飛び込んだ
「なっ、何やって」
「ライライトさん、ちょっとだけ時間ください!」
紅波はライライトに背をむけて手を水面に付けた
そしてゆっくりと言葉を紡いだ
「我命じるは湖の欠片、"結晶"」
すると水面が光り、紅波は手をそのまま中に入れて片手づつ水を掬い上げた
ライライトは背中に見える妖精の羽の刺青のせいで彼女が人ではない気にすらなった
そして笑顔で振り返る紅波に見とれた
「ライライトさん、これ記念に持っててほしいです!」
紅波は、そう言ってライライトのもとへ来ると両方の手を開いて見せた
そこには月明かりの湖をそのまま閉じ込めたような丸いビー玉のような石が掌に1つずつのっていた
ライライトはその石と紅波を交互に見て右手で目を被った
そしてゆっくりと言った
「お前、魔法が使えるのか?」
紅波は不思議そうに頷いた
ライライトは深くタメ息を落とした
ライライトは湖の縁に座ると紅波に横に座るように促し、彼女が座るのを確認してから話し出した
「まず、魔法使いは大半が貴族だと言うことは知っているか?」
紅波は首を横にふる
「魔法使いは国の中でも珍しく、その力は富を生む!だからこそ普段家柄や格差とか区別しているくせに魔力が有るって分かったとたんに求婚して嫁やら婿に招き入れる、そんな仕組みで魔法使いの大半が貴族なんだ」
そこまで聞いて紅波は自分が今、"貴族と結婚フラグ"を立てたことに気づいた
「ハウロウの手紙にはお前に変な虫がつかないか心配してると書かれてたが、こう言う事か」
紅波はライライトを見上げる様に言った
「ライライトさん…二人だけの内緒…じゃダメ?」
紅波の身長は160センチ程なのでライライトの身長からすれば、紅波はいつも見上げている形にはなるのだが隣と言う距離では上目遣い以外の何物でも無かった
(これは、距離をしくじったな…無駄に可愛い)
ライライトは想わず紅波に見いってしまう
紅波は紅波でライライトの視線に自分がどんな反応をするのか試されている気がして目をそらせなかった
「ライライトさん、ごめんなさい、もう軽はずみに人前で魔法は使いません誓います、ライライトさんの前だけにします、ダメですか?」
意を決した様に紅波が言うとライライトはようやく我にかえった
「…では、俺以外の前では使わないって事で、良いな?」
ライライトがそう言うと紅波は本当に安心した様に笑顔を作った
とびきりの笑顔とはこの事か?とライライトが思っているなんて知らずに紅波は掌の中にある石の1つをライライトの掌に握らせた
「約束の証しに、お揃いです」
ライライトは紅波の笑顔から逃げるようにその石に視線を落とした
「飾り石か」
「飾り石?」
「知らないのか?装飾品などになる見た目のいい魔法石の事を飾り石、火をおこしたり水を出したりする魔法石を生活石と言うんだ」
ライライトの言葉に紅波は自分の掌の中にある石に向かって念じる
(水よ出ろ)
すると紅波の掌に水がたまる
「湖を切り取るイメージだったから、生活石みたいです」
その一連の動きにライライトはまた右手で目を被った