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異世界で歌士になります!

しばらくするとルピナスが料理を持ってきた

「私の自己満足のためにご飯の途中で連れてっちゃったから、温かい方を食べてね!」

「ありがとうございます」

ルピナスは紅波を気に入ったようだった


紅波が新しく来た料理を食べていると突然店が騒がしくなった

見ると、1人の男がルピナスの腕をつかんで叫んでいるようだった

「歌士のいない店なんてすぐに潰れちまうぞ、俺と付き合うなら俺が歌ってやるって言ってるだろ」

「貴方以外にも歌士はいます!」

「とか言ったって今だに代わりの歌士が居ないじゃないか」

紅波はライライトに止めなくて良いのか聞くと日常的な事らしく、暴れたりしなければ止めなくて良いらしい

だがルピナスは嫌そうだ

紅波は膝の上に置いておいたウエストポーチに手を入れ小説を手にした

歌士について調べる

『歌士とは、歌ってお金をもらう職業この国では一般的な娯楽』と書かれている

「歌士って資格とかいる?」

ライライトに聞くと執拗ないと言う

「なら、歌えれば良いんだね」

紅波は柔らかく笑うと立ち上がり、ルピナスのもとへと向かった

「お兄さん、うちの看板娘にちょっかい出さないでくれないかい?」

「クレハちゃん!嬉しいけど危ないから座ってて!」

ルピナスが厄介な客に絡まれないように紅波に言った言葉も紅波はあまり気にしていない風に見えた

ルピナスがモテるのは分かる!

言っていなかったがルピナスは明るい赤茶色の瞳に同じ色の髪、ユルいウェーブが肩を少しこえたあたりまであり、年は20代前半の少し色気を漂わす美人だ

「なんだ、あんた綺麗だな!俺はあんたでもいいんだぜ!」

男の言葉とともにライライトが席を立つ気配がしたが、気にせずルピナスに向かって紅波は言った

「歌士ならここにいるよ!」

「えっ、クレハちゃん歌士なの?」

ルピナスは男の手を振りはらうと紅波の手を強く握った

男はそんな二人を鼻で笑った

「この街で一番の歌士である俺よりも顔だけの歌士を選ぶなんてこの店も終わったな!」

男の言葉に回りにいた客達がヤジを飛ばす

「お前みたいなのがこの街で一番の歌士ならこの街が終わりだってんだ!」

「ルピナスちゃんに蹴りの一発でももらえばいいんだ!」

「ばーかばーか」

などなど、店がヤジで埋め尽くされる

すると男が突然うたいだした!

悪くないとは思う

だが、紅波には自信があった

祖父に頼まれ良く歌をうたわされた

祖父が気に入った曲なら女の人の歌だろうが男の人の歌だろうが何でも頼まれたし、うまく歌えると物凄く喜んでくれた祖父の気に入った曲がこの世界で受け入れられないなんて疑いもしなかったからだ

だから男が歌い終わると紅波はゆっくりとルピナスを見ると大きく息を吸いアニメの歌姫が歌っていた歌をうたいだした

ルピナスの目は大きく見開かれかなり驚いているのが分かった

紅波の歌が歌い終わると、店じゅうが拍手に包まれた

男は眉間にシワを寄せると言った

「女がでしゃばってんじゃねえよ!」

男の言葉に回りの客の方が掴みかかりそうなほど怒ったのを笑顔で止めた

「ライライトさん、そのマント借りれますか?」

「マントなんか何に使うんだ?」

ライライトは着ている騎士の甲冑についたマントを外し、紅波に手渡した

紅波はそのマントを頭からすっぽりと被ると軽く咳払いをして歌い始めた

しかも、低い男声で、向こうの世界で流行った男性アイドルの歌を

回りがざわつくのがわかる

歌が終わりマントから顔を出すと男はすでにそこには居なかった

「あの男は逃げたぞ」

ライライトは紅波からマントを取り上げると、甲冑につけ直した

「根性なしが、もう一曲対抗して歌えよ」

紅波は小さく毒づいた

すると今度は店じゅうが歓喜に包まれ

「クレハちゃんありがとう、このままこの店で歌士として働いてくれる?」

突然のルピナスの言葉に紅波は驚いたが、それを承諾した

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[一言] >ライライトに聞くと執拗ないと言う 「必要ない」が「執拗ない」に?
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