近鉄バファローズ伝説
初めに断っておくが、別にファンだったわけではない。好きな球団に関しては、『心は日ハム、体は巨人』と言う、身も蓋もないスタンス。だが、事実上消滅に近い近鉄と言う球団は、野球ファンの心に鮮烈な印象を残している。恐らくこんな球団は二度と現れないだろうと確信を抱けるほど、個性と言うよりアクの強い球団だった。ギトギトの豚骨ラーメンにさらにラードを注入する様な……。
全歴史を語ると長くなるので、岡本太郎画伯が球団ロゴマークをデザインした時代を起点に語ってみよう。
元巨人の千葉茂を監督に迎え、ロゴマークも一新し、心機一転の船出を迎えるのだが、この船出がタイタニック並みの悲劇に向かうと誰が予想しただろうか。ちなみに、この頃はまだバファローです。このチームはとんでもない事をやらかした。
「プロ野球 強すぎる球団、弱すぎる球団」の内容に準ずるが、何と、
『シーズン103敗』
逆でも無理である。今後、破られる事はないであろう血みどろの成績を残したチームである。ここまで突き抜けると、中傷などできない。同情するのは失礼で、こうなってはいけないと言う教材にしなければならない。
どうやら原因は単純なもので、ベンチ内の空中分解。監督に対する不信感が極限にまで高まった事らしい。ジャイアンツ出身の千葉監督に対するやっかみと、見下ろす様な監督の態度が最悪の形で化学反応を起こし、監督が不眠症や休養に追い込まれるほどの空気の悪さ。そして、千葉体制三年目にこの不滅の大記録を達成してしまう。首位に51ゲーム、5位に18ゲーム。長期間最下位やBクラスはいくらでもあるが、瞬間的にここまで言ったチームはもう現れないだろう。この想像を超える姿は、形を変えてこのチームの伝統となり、数々の伝説や逸話を作り上げていく。
近鉄と言えば、『いてまえ打線』。いてまえとは『やってしまえ』と言う意味。とにかく、相手を力でねじ伏せ、投手をコテンパンにしてしまう打線が伝統だった。5点取られたら6点取り返せばいい。セイバーメトリクスやデータ野球などクソくらえのパワーである。まるで、ステレオタイプのプロレスラーのイメージと言えよう。アンドレザザジャイアントや中西学の様な、理屈を超えた規格が魅力なのだ。
とにかく、長距離砲がすごい。バファローズ以降では土井正博。この人は入団から逸話があり、前述の千葉監督にクビにされかけている。あわてて、次の監督の別当薫が再び連れ戻したわけだが、あと少し遅れていたら大変なことになっていた。通算465本塁打の大打者が存在しなかったことになるのだ。
ただ、オチはまだついていない。この人は18歳の四番打者としてデビューし、後に清原を指導することになる。何とも因縁を感じる出会いである。が、何と賭博麻雀の現行犯で逮捕されると言う顛末を迎えてしまう。このせいで、清原に四球の避け方を伝授できず、その事を悔いていると言うが、波乱万丈の人生が清原の人生にも波を寄せてしまう事になる。
暗黒時代を抜け出すのが西本幸雄監督時代から。だが、野村監督の著書によると、選手に鉄拳も辞さない情熱的な西本監督は、打者の指導に熱心なのだが投手に対しては全く手をつけようとしなかった。『投手の事はよう知らんから』、と言う理由だったらしいが、ここでいてまえ打線の芽が出たとしか言いようがない。味方が点を取られようと、それ以上に打てばいいわけなのだから。
この時代を牽引したのが、鈴木啓示。この人は投手なのだが、スタイルがいてまえそのもの。自分自身を我がままと言い切ってしまうその人となりは、想像しやすい。自分がトレードされるかもしれないと感じると、自分で移籍先を斡旋してしまうほどだ。何とか、トレードは回避され、西本監督とも理解し合うようになり、涙ながらに慰留をするほどの情熱を見せる。熱い、熱すぎる。登録名も、鈴木姓が複数になった際、俺が鈴木でいいんだと言い張りごねた。サブローが巨人に移籍してあっさり大村で登録したのとは、雲泥の差がある対応だ。球団が押し切った形になるのだが、今の選手には見られない、いてまえな心意気だ。
だが、鈴木啓示の名前は最悪の形で記憶されてしまった。野茂秀雄との確執である。水と油以前に、画の強さを管理職になっても押し通し、野茂の主張も話も聞かず、これまでうまくいっていた調整方法にまで口を出す。険悪なムードが両者の間に漂い、野茂はメジャーリーグに行くのだが、彼は別にメジャーに行きたかったのではなく、『鈴木監督の下ではやってられない』と言う理由が一つにある。メジャー行き決定になっても野茂に対する酷評は変わらず(○○○○○○○○○と言う、ここでは書けない様な言葉が飛び出す)、自分の姿勢を崩さなかったが、結果は野茂の大成功。指導者としての資質を問われ、今持ってオファーなし。吉井も同じような理由でヤクルトへ移籍。監督までいてまえ精神で行ってはいけなかった。
80年代に入り黄金期を迎えるわけだが、いてまえ度は上昇する一方。球界を代表する長距離砲を出しながら、典型的打高投低のチームに突如として大投手が登場するカオスなチームへと突き進む。
五年間3割越えを達成したリチャード・デービス。この頃は、比較的安価に一定レベルのメジャーリーガーを獲ってこれたため、なかなかいい外国人が多い。彼もまた、優良外国人なのだが、始めも終わりも波乱万丈。最初に近鉄が獲得した選手がいきなり帰国すると言う(つい最近もあった)事態に急きょ獲得した選手なのだ。だが、ひょうたんから駒と言う形で、三冠王の落合と張り合うような活躍をする。だが、ここで終わらないのがいてまえ。
パ・リーグでは珍しいテレビ中継で、執拗な内角攻めをする東尾修に殴りかかったのだ。このシーンは、珍プレー好プレーとよく取り上げられていたが、パンチのインパクトではクロマティといい勝負だ。しかも、この暴力行為に対してはデービスの肩を持つ空気があり、彼自身も反省する気はない。熱い、熱すぎるぜ。
そして、デービスの代名詞であり、金村義明いわく『彼の趣味』と言われた大麻。所持していたのではない。自室で栽培していたのだ。さすがに違法行為で笑っちゃいけないのだが、思わず笑ってしまいたくなる波乱万丈ぶり。だが、法律はいてまえできなかった。この波は、さらなる大波を誘う事になる。パ・リーグの恐怖の長距離砲、ラルフ・ブライアントの登場だ。
彼は中日の二軍で、ドアスイングの三振を繰り返していた選手だったが、その素質に目を付けられてデービスの穴埋めで移籍。覚醒するのだが、常にフルスイングのホームラン狙い。ランナー二塁の場合は三塁に送るなと言う不思議な指示があり、二番の新井も次の打者に厳命していた。犠牲フライを打つと言う器用な事が出来ず、三振するのが関の山だからだ。それなら、一発狙いで何も考えずに打ってもらった方がいいと言う、今ではまず聞かない戦術だ。だが、これがハマり、当時黄金期を迎えていた森西武を脅かし、日本シリーズでは久々の日本一を目指す巨人投手陣を戦慄させる。やってしまえと言うより『殺ッてしまえ』と言う恐怖の打者だ。だが、日本シリーズでは、逆に相手を殺意を抱かせる事件が発生する。
時折、世間では言ってもいない言葉が意思を持ったかのように一人歩きをする事がある。良きにつけ悪いにつけだが、完全にえん罪だからたちが悪い。
例えば、近鉄消滅による1リーグ構想に対する選手会のストを辞さない姿勢に、ナベツネが『選手如きが』と言う発言は有名だが、実はそんなことは言っていない。当時、色々な報道を見ていたが、ヒール=ナベツネ、ベビーフェース=選手会&ライブドアの構図に世論を持っていこうとする見え見えの意図があったのだ。財界の帝王であり権力者であるナベツネの圧政に対し、敢然と反旗を翻す選手会と新風を吹き込むライブドア。わかりやす過ぎる構造だ。だが、選手会の動きは、労働環境の確保を求める球界より先に個人的な事情の意思が根底にあるし、ライブドアは自社の宣伝媒体と近鉄の球団買収と言う利権に根差した心があるのは否定できない。ナベツネが提唱する1リーグ構想も、ろくに資金もない会社が球団を所有して今回みたいな事に振り回されるぐらいなら、経営能力のある団体だけでプロ野球をやればいいと言うビジネスライクな姿勢が見える。どっちもどっちだ。(自分のナベツネ像は、熱烈な巨人ファンだけど野球は詳しくないグループ企業のトップに座る、昭和を代表する政治記者の憎まれっ子の爺さんである)後は、江本のベンチがアホ云々も捏造である。
お面白半分や意図的な曲解で一人歩きする言葉は、このように絶大な威力を持つのだが、これに巻き込まれたのが89年の日本シリーズで、近鉄の加藤哲郎である。そう、あの有名な『巨人はロッテより弱い』事件だ。
これも捏造である。前後のインタビューを編集し、こういう風に言っている様になっただけなのだが、これが独り歩きしてジャイアンツは大奮起。加藤を打ち砕いた駒田が『バーカ』と言い放つ名シーンを生んでしまう。
では、実際にはどう言ったのかを調べてみると、捏造後とニュアンスがあまり変わらんなという内容の発言なので、あまり同情の余地はない。言っている事が『いてまえ』なのだ。
彼の言い分としては、『巨人は投手のチームであり、打線はそれほどではない』、『手ごたえとしては、自身が苦手としていたロッテほどではない』、『登板過多でしんどいと思ったが、終わってみれば大した事がない』と言う感想を言っただけで、それを久しぶりの日本一を目指す藤田巨人を後押しする報道姿勢もあり、『巨人は大したことない』と言う言葉に変わっていった。ジャイアンツでは、川相と駒田ぐらいしか反応していなかったが、ファンのヒートは異常で、さすがのいてまえ軍団も呑まれてしまうほど。確かに、殺気立つほどの雰囲気と過熱する報道だったのは覚えている。
これも、敵地でありながらいてまえの姿勢でインタビューした結果である。だが、10年間で17勝と言う成績ながら、名前をファンの脳裏に捏造発言と共にずっと残している。存在しない発言が破壊力抜群の人物である。
打高投低のチームに関わらず、いい投手が単発的に入るチーム。阿波野秀幸もその一人。ただ、この人の場合、野球人生を破壊された被いてまえの存在なのが変わっている。
とにかく、この人は順調な投手生活を送っていた。90年までは。だが、無謀な起用方がたたり、完全に潰された。何と『中二日で完投、さらにリリーフ』と言う過酷なローテを強いられたのだ。変化球が多くならざるを得ない時代なので、肩やひじにかかる負担は昔よりはるかに多い。『神様、仏様、稲生様』の時代ではないのだ。当然の如く、ひじを壊すのだが、今度はキャンプで故障しているのに投げ込みを強要されたため、完全に投手生命を縮め、以後は並みの投手で終わってしまった。デビューから15、14、19、10と勝ち星を挙げた投手でありながら、14年の現役であげた勝利数は通算は75勝。決して早熟ではなかったはずなのだが、いてまえ的な使い方をされてしまった。打撃中心のチームの投手だと、点を取ってもらえる代わりに色々とつらい事もあるのかもしれない。ちなみに、彼は巨人、横浜、近鉄の3球団の競合の末、近鉄から指名を受けるのだが、彼の落胆する表情と周りの学生の怒号が中継される波乱万丈の船出でもあった。
そして、野茂秀雄。前述のとおり、最悪の形で近鉄をやめることになった。しかも、もめにもめた末に任意引退扱いのため、彼の進路も束縛されるなど、相性は最悪だったのだが、バッサバッサと打者を三振に仕留めて切り捨てていく様は、豪快ないてまえ精神そのものだった。そして、海を超えてトルネード旋風を巻き起こすのだから、この規格外の迫力は近鉄らしさを体現していると言っていいかもしれない。
この頃の打線を支えているのが石井浩郎。豪快なチームに似合わぬクソ真面目な人だった。だったら、いてまえじゃないだろうと言われそうなのだが、この人も近鉄をやめることになった原因で非常に揉めまくった。何しろ、野球協約で決められている減俸額を大幅に超える50%ダウンを提示されたのだ。いくら試合に出れなかったからと言って、このそろばん勘定はひどい。結局、一旦契約の上で巨人にトレード移籍するのだが、ジャイアンツは石毛と吉岡と言う、まだ使える選手を手放す羽目になった。
だが、移籍先でも異彩を放つほどのクソ真面目なキャラクターは、THEサンデーで『拝啓、石井浩郎です』と言う、尺八の音色をBGMにまるでサムライのような古風な雰囲気のナレーションで、一週間の石井を振り返ると言うふざけたコーナーが誕生するほどだった。ここまでキャラの濃い選手はクロマティ以来なのだが、それとはまったく真逆のキャラで人気を獲得したのだから、近鉄と言う球団のアクの強さは確実に受け継がれている。ちなみに、同番組では『前略、三沢興一です』と言うのほほん系、『ウッス!川上憲伸ッス!!』などと言うバンカラ系のコーナーもあり、ジャイアンツ報道のキャラ崩壊が起こっていた。
こうして、残り十年の最終章に突入するわけだが、奇跡的なほどにいい投手を手に入れ、長距離砲を安定して排出し、後味悪い形でフェイドアウトさせたりするお家芸は続く。
ストッパーでは大塚昌則がいる。二年目からストッパーの座に座り、リーグ優勝に貢献するのだが、それほどの人物に球団は、またもやあり得ない仕打ちをする。02年のシーズンオフに、ポスティングを使ったメジャー移籍を試みるが入札球団は現われなかった。だが、この仕組みを球団が理解しておらず、もめにもめた末に金銭トレード。このクラスの金銭トレードは普通はあり得ない。そして、次の年に中日からパドレスにあっさり移籍。前年のもめ事は一体何だったのか?
彼にもいてまえ伝説は存在する。メジャー移籍後に害虫駆除会社のCMに出演し、虫を見つけた彼が、『なんじゃこりゃ!』と叫び、バットで机を破壊する勢いで殴りつけると言う破天荒なもの。アメリカンジョーク、いてまえだぜ……。後は、彼の口癖である『よっしゃあ!!』がチーム内で流行ったり、電光掲示板に映し出されると言う、日本人としては珍しい勢いのあるキャラになっていた。ちなみに、『よっしゃあ!!』はOBの佐々木恭介のネタである。いや、ネタではないか。その佐々木恭介も、ドラフト会議の抽選で福留孝介の独占交渉権をくじ引きで獲得した際に、前述の台詞を叫んだのだが、交渉は決裂してしまうオチ付きだ。
そして、いてまえ、近鉄球団の顔、それらの集大成である中村紀洋である。何しろ、自主トレの様子をプロ野球ニュースで密着取材しているのだが、午前練習、午後ゴルフ、夕食は焼き肉とビールと言うイメージ通りの姿を見せてくれる。ネタでやっているのだと思うが、ガチだと思わせるほど彼のキャラが確立され、チームカラーとも一体化していた。
バッティングが豪快そのもの。手首の故障で負担をかける事が出来ない事情があるのだが、とにかくフルスイング。しかも、神主打法で行うため迫力十分。しかし、追い込まれるとコツコツとバットに当て、流し打ちするなど、何とも食えない所があるが、やはりフルスイングから放たれるホームランが大きな放物線を描きながらスタンドインする様は、実に爽快であった。いてまえ打線の完成系である。ちなみに、リーグ優勝を決めた試合は、代打北岡のサヨナラ満塁ホームラン。笑いが止まらない、いてまえぶりだった。
だが、フロントと揉める伝統も受け継いでおり、お家芸もかなり盛大にやった。とにかく、2002年のメッツ移籍未遂は、メジャー移籍騒動ではかなりもめた事件ではないかと思う(伊良部も結構もめたが)
FA移籍でメッツとの交渉が進み、契約寸前まで話は進んでいたのだ。だが、ここでメッツのサイトから、交渉成立と言う文面が流出する。まだ、合意していないのにこれはどういう事だと、近鉄残留。しかし、このサイトがMLBに登録されない個人サイトだったため、これは一種のデマ。これが判明すると、メッツからの猛反撃を食らい、非常に後味の悪い印象を残してしまう。日本でも、中村に対するダーティーなイメージがつきまとい、彼の現在に至る野球人生でマイナスの面で常につきまとう。この際のトラブルがもとで色眼鏡で見られやすく、落合くらいが野球人としての中村を見ていただけだと思う。
もっとも、体に貫録があり、しまっていると言うよりボリュームがある。その上、金髪。柄の悪いあんちゃんそのものの外見だったから、なおさらである。だが、奈良での殺人事件の犠牲になった女の子が自身のファンだと知ると、霊前に自分のサインを書いた道具を供えるなど、本当の顔は実に情に脆く、熱い男なのだ。型にはまらない熱き性格のいてまえ男が、ずさんないてまえ経営の球団に振り回されただけだったのかもしれない。
そして、今最も輝いているもといてまえ戦士と言えば岩隈久志。近鉄の最晩年の輝きである。のだが、彼はあのプロ野球再編問題で中心人物となって騒ぎを、いや、話題を提供する。
近鉄が消滅するにあたり、オリックスと楽天間で分配トレードが行われた。プロテクト選手や外人、FA、プロ二年目を覗く選手は対象になり、他の選手を指名し合う形である。だが、一部の選手に『移籍先に関しては本人の意思を尊重する』と言う、申し合わせがあった。申し合わせのため、どれだけ実行力があるのかかなり微妙なのだが、岩隈はこの事を主張し、オリックスとの契約を固辞。これを我がままととらえる者もいるし、選手会や世間一般の近鉄選手に対する同情や肩入れもあり、結果的に彼は楽天に。岩隈を獲得して、大型トレードを仕掛ける噂が耳に入った事もあるかもしれないが、何故にあそこまでこだわったのだろう?だが、あの年の騒動の締めくくりが彼の様な所もあり、プロ野球界の問題提起のきっかけであったことは否定できない。彼もまた、かなり威力のある爆弾を近鉄史の最後に投下したことになる。
このように代表的ないてまえ戦士を挙げてきたのだが、最強のいてまえは球団の体質そのものだろう。例を挙げていくと、
・西鉄の選手は一等列車に乗っているのに、近鉄は二等列車。親会社が鉄道会社とは思えない仕打ち。
・熾烈な首位争いの末、二位で終わるのが最も良い。年俸を押さえられるから(阪神もそうだったが)
・駐車場に車をとめた野茂に対し、そこに本社の人間の車が止まるからどけろと言った
・「お前達野球クラブの選手は」と言う訓示をのたまう
・優勝旅行の飛行機の座席はエコノミー!しかも、家族は自腹。ビジネスクラスは売切れと言う下手な嘘もついたらしい
・ユニフォームの評判が選手からも酷評で、『東芝のユニフォーム』、『台湾プロ野球』みたいなど、少し見下し気味ではあるがひどい言われよう
・若手選手の契約は、寮の食堂でハンコを押すだけ
ここまでやられると、憤りと言うよりキャラクターとしてみるのが自然になってくる。当事者はそれが嫌でチームを飛び出すのだろうけど、常識や良識を飛び越えたトリックスター的な魅力が、ファンの心を捉えて離さなかったのだろう。何しろ、故・藤田まことは、大の近鉄ファンであったが、近鉄消滅後は日本プロ野球に対する興味を失い、野球はもっぱらメジャーリーグに移行してしまった。それほどの魅力があったのだ。
近鉄が消滅後、各地の地方球団が元気である。地域性と言うカラーを獲得したことでファンがつき、またそれがチームの戦力の特徴にまでつながっていくのは不思議であるが、近鉄はそれを体現していた球団だった。阪神は兵庫が本拠地で、近鉄が大阪の球団なのだ(昔は南海もいたけど)。大阪と言う日本で特異な特徴を持つ地域に存在した近鉄バファローズが、今でも不思議な輝きを持ち続けるのは、当然のことなのかもしれない。
ただ一チーム書くだけでこの分量。全球団書くのは至難の技だろう。次のプロ野球ネタは何にするべきか……。




