04
「あら、高橋さんとこのお孫さん?」
「そうです」
「まーかわいらしい」
「加奈子ちゃんちいいよったっけ? 今いくつ?」
「小三です」
「小三いうたらうちの子と一緒たい」
「まあこげんしっかりして」
「ここまで一人で来たと? どこから来たとね」
「大阪です。一人で」
「一人で飛行機やらなんやら乗って大阪から?」
「えっと、空港まではお母さんとかに送ったりしてもらったけど」
「ほいでも偉かよねえ。大阪の子は一人で長旅出来るとよ」
「ほんなこつ」
「こげなとこ来たっちゃ暇やろ? 加奈子ちゃん」
「全然暇じゃないです。楽しいです」
「そげんゆうたっちゃなんもなかろ。福岡は」
「そんなことないです。いろいろあります」
「まーカナちゃんやないの! 久しぶり! 覚えよる? カナちゃんのお母さんのお友だちよ」
「こんにちは。あの、カード、」
「ああカードね! 福岡まで来てラジオ体操ちゃ偉かねえカナちゃんは。はい。オマケで昨日と一昨日のぶんも押しといたよ。お母さん一緒に帰ってきよる?」
「お母さんは仕事あって来れませんでした」
「そうかー。でもまたお正月に来るもんね。いつまでおると?」
「まだ決まってないけど八月の二十日くらいまで……」
「そげん長いこと」
「一ヶ月近くおるとたい」
「頑張って皆勤してねえ」
「一回くらい休んだっちゃおばちゃんがハンコ押したげるけどね」
「あの、えっと、じいちゃんが呼んでるので……」
「ああごめんね。そしたらまた明日」
「カード忘れんようにねえ!」