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Summer Summer  作者: 梨音
1.Summer Songs
2/5

02

 私たちが小学校に着いた頃には、もうだいぶ人が集まってきていて、私たちは校庭のいちばん後ろのほうに二人並んで陣取ることにした。

 横をすり抜けながらちらちらと見ていると、みんな首からラジオ体操のカードをぶら下げている。帰りにハンコを押してもらえるやつ。一日も欠かさずハンコが押されていたら、最後の日にごほうびがもらえるやつ。もちろんじいちゃんも首からぶら下げている。持っていないのはたぶん、昨日こっちにやってきたばかりの私くらい。私がきょろきょろしているのに気付いたのか、じいちゃんは、「あとでもらえばよかたい」とだけ言う。

 ラジオ体操が始まるのは六時半のはずなんだけど、校舎のてっぺんの時計が六時三十二分を指してようやく、「ラジオ体操第一!」の声がスピーカーを通して校庭に響いた。朝礼台の上にはひとの良さそうなおじさんが上り、その左右にも数人のおじさんおばさんが並ぶ。じいちゃんがぐうっと身体を伸ばして、こっちをちらりと振り返った。私はにっと笑い返してぶんぶん腕をふる。

 じいちゃんはいつも、背筋を伸ばしてしゃっきりしっかり体操をする。私も一緒にしゃっきりしっかり。大人の言う「体操すると身体の筋が伸びて気持ちがいい」というのは正直よく分からないけど、ラジオ体操を真面目にやってたらじいちゃんみたいにずうっとしゃっきり元気でいれるんだって、私は信じている。だから私は、周りの同級生くらいの子たちが恥ずかしがって真面目にやってないラジオ体操第二の「元気もりもり」みたいなやつだって、ちゃあんと真面目にやっているのだ。

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