表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/70

第37話 審判が靄がかかってるからセーフと判定するも、日常に生きる女子高生が「アウトだよ!」って言いそう

 夢うつつの中、俺の意識は濃密な霧の中を漂っていた。

 思考は働かない。ただ、下半身から脳天を貫く快感だけが俺の全てを支配していた。


 温かいぬめりが俺の分身を優しく丁寧に包み込んでいるみたいだ。

 ちゅぽ、ちゅぽ、と可愛らしい水音が響くたびに、俺の腰が意思とは無関係にビクンと跳ねた。

 歯が時々当たるが、先端から根本まで、隅々をねぶるように上下する動くそれは、俺の理性をいとも簡単に麻痺させていく。


 一度動きが止まり、吐息混じりでいて凛とした声が俺の耳を甘くくすぐった。


「……気持ちいいか、セイヤ? ……その、私の口は」


 リイナ……! リイナ王女の声だ!

 視界は真っ白な霞に覆われ、何も見えない。

 起き上がりたい。この目でリイナが俺に奉仕する神々しい姿を拝みたい。

 だが身体は鉛のように重く、指一本動かせない。

 ただ、股間から全身へと駆け巡る、オーガズムの波だけが現実だった。


 ああ、ダメだ。もう、我慢できない。

 異世界に来てからというもの、一度たりとも抜いていなかった俺の欲望のダムはリイナの献身的な奉仕の前に、あっけなく決壊寸前だった。

 

 再び始まった口の動きは先ほどよりも大胆で、柔らかくも熱を帯びている。

 巧みな舌が絡みつき、奥まで深く包み込んでくれる。

 そのたびに、俺の下半身は意思とは無関係にビクン、ビクンと激しく痙攣した。


「あああああっ……!」


 俺は叫び、腹の底から熱いものが迸るのを、ただ感じることしかできなかった。


「こ、こんなに出るのか……男って……」


 リイナがハアハアと荒い息をつきながら、どこか恥ずかしそうに呟くのが聞こえた。


 リイナの奉仕が終わったかと思うと、今度は別の気配が俺の股間に近づいてくる。

 緑色のツインテールが見えた気がした。


「ふふっ、次は私の番ですね。これも経験値稼ぎの一環ですから、手は抜きませんよ♪」


 アンナの声だ!

 彼女は俺の身体の上に軽々と跨ったようだ。生暖かい彼女の体温が感じられる。

 

 ぼいんっ。

 

 な⁉ 何かが……大きな2つの張りのあるのが揺れてる気がする! 見せろ! アンナの胸を触らせてくれええええ!


 俺が内心で雄叫びを上げていると、俺の猛り狂う分身がむにゅんっ、と肉が肉を挟み込む、官能的な感触に包まれる。

 アンナは俺の顔を覗き込みながら、にこやかな笑顔のまま、リズミカルに腰を上下させ始めた。


 ぐにゅっ、ぐにゅっ、ずぷずぷ……。


 リイナの口とはまた違う、温かく、むっちりとした締め付けが俺の分身を根本から先端まで貪り尽くす。

 胸の重みと体温がダイレクトに伝わり、俺の理性の堰をいとも簡単に破壊していく。


「ふふふ……すごい経験値が稼げそうです♪ 男の人の、こういうのって、初めてですけど、お顔見ながらすると楽しいですね♪」


 快感のあまり、俺の背中が弓なりにしなる。

 アンナの動きはさらに激しさを増し、俺の欲望を限界点へと導いていった。


「すっごい出ましたね♪ 全部ごっくんしちゃいました」


 アンナの喉を鳴らす音がやけに生々しく聞こえた。

 うう、最高だ。生きててよかった。


 アンナの嵐のような奉仕が止むと、今度は小さな影が俺の足元に近づいてきた。


「もう……お二人ともずるいです。次は私の番ですよ。もちろん、これは特別サービスですからね? 後でちゃんとお代はいただきますから。お代は私の中に入れることですからね」


 レイラの天使のように澄んだ声。

 彼女の小さな口は俺のものを懸命に咥えようと、ちゅぷ、ちゅぷ、と可愛らしい音を立てる。


「んっ……んむ……。大きいですね……。でも、これも聖女としての務め……いえ、勇者パーティとしてのお仕事ですから」


 くちゅ、くちゅ、と巧みに舌を使い、俺の理性の最後の糸を容赦なく断ち切った。


 ああ……手があったら伸ばしてもっと奥までさせるのに。

 声が出たら名前を連呼して恥ずかしい顔させるのに。

 足があったら立ち上がってバッコンバッコンやれるのに。

 

 くそっ! 見たい! この光景を!

 視界から霞を消せ! 身体よ、起き上がれ! 起き上がるんだああああああ!

 消えないでくれ夢!


「……はっ!」


 ガバッと、俺は勢いよく上半身を起こした。

 そこは領主邸の床ではなく、どこかの部屋の雲のようにふかふかなベッドの上だった。

 慌てて下半身に目を向ける。ズボンは濡れていない。

 だが俺の分身は夢の中の記憶を宿したかのように、硬く、大きく、天を衝かんばかりに猛っていた。


(ゆ、夢か……。でも、なんてリアルな夢だったんだ……。そんなのってねぇよ……ふざけんなよクソ神……。俺の純情を弄びやがって……。ハッ! もしかして、正夢だったりしてな。今すぐ正夢にしてくれ!)


 俺が甘美な妄想の余韻に浸っていると、ベッドの横から、腹の底に響くような低い声がした。


「よう。目覚めたか」


 その声に、俺の心臓は凍りついた。

 おそるおそる、声のした方へ顔を向ける。

 そこにいたのは椅子に深く腰掛け、腕を組んでこちらを静かに見つめる、歴戦の傭兵然としたおっさん。

 魔王軍のグリーンウェルがいやがったのだ。


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!」


 俺の絶叫が部屋中に響き渡る。

 反射的に『リア充チェッカー』が発動する。


【グリーンウェル(人間・魔王軍)】

【最終性交時間: 22年と3ヶ月21日前(相手:故・妻・マリア)】


(お、おっさんの純愛は健在か……よかった……。おっさんにヤられていたら立ち直れなかったぜ。ていうか、俺は……)


 俺は自分にチェッカーを発動させる。


【大石 星翼】【最終性交時間: 無】


 現実ってヒドイよね……俺の幸せ……全部奪っていったんだ。

 今すぐ夢が現実で現実が夢になるスキルください。

 ……俺の初体験を返してください。


「最高の幸せ、満たされていた股間、その時間は幻となってしまった。もう俺には、何も残されていない……」


 ぽつりと呟いた俺の言葉に、グリーンウェルは訝しげな顔を向ける。


 安堵と失望が入り混じった複雑な感情に揺れていると、グリーンウェルが呆れたように言った。


「おいこら、いつまで絶叫と自己分析をしている。無視するな」


「お、おっさん! なんでこんなところにまで現れるんだよ! ていうか、なんで俺はベッドの上にいるんだ? 領主邸で柱にぶつかって……」


「いいか、一度しか言わんからよく聞け」


 グリーンウェルは俺の言葉を遮り、鋭い眼光で俺を射抜く。


「まだ事件は何も解決していない。お前が倒したのはただの領主だ。この街を裏で操る本当の黒幕も、攫われた女たちも、まだどこかにいる。そして……」


 おっさんはそこで一呼吸置くと、決定的な一言を告げた。


「リイナ王女も、もう限界だ。じきにアンナやレイラと同じように捕まる」


「なっ⁉」


 俺の脳裏に、リイナの気高く、凛々しい姿が浮かぶ。

 そうだ、俺が気絶している間、彼女はずっと1人で……。

 俺の側にいないということは今、彼女は1人で行動しているということか?


「まさか、1人でトイレに⁉ だよな! この街に到着してから何時間も経ってるもんな! 膀胱が限界なのも当然だ! くそっ、こうしちゃいられん!」


 俺がベッドから飛び降りようとしたのを、グリーンウェルは目で制した。


「まあ、精々頑張れや。この街の黒幕も魔王様への忠誠心が高いのは結構なことだが、魔王様は奴隷など望んでおられない。それに、このままではザッハークという工房都市の価値そのものが失われてしまう。……頼んだぞ、勇者セイヤ」


 グリーンウェルはそれだけを言うと、音もなく立ち上がり、部屋の扉へと向かう。


「待て! それなら、あんたも協力してくれ! 利害が一致してるんだろ! せめて黒幕の名を教えてくれ!」


 俺は叫びながら彼を追いかけるが、扉を開けた先には静かな廊下が続いているだけだった。

 グリーンウェルの姿はどこにもない。

 俺は歯ぎしりしながら、リイナを救うべく部屋を飛び出した。

 あの夢が正夢になるその日まで、リイナを、アンナとレイラを失うわけにはいかないのだ。


 処女もそうだが、口も俺とやる前に経験することは許さん!


「うおおおおおおお! 待ってろよおおおおお、リイナ! アンナ! レイラ! 女子トイレはどこだあああああああ! 俺以外にトイレにされるんじゃねえぞ! あと、お前らのトイレもこの俺だからな!」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ