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第一章 3 「天に見放された男」

赤ん坊として1人ポツンと置かれた状況に康は何も出来ずにいた。


「う、あう、」


声を出してもそれは言葉として成立せず、喚いたところで人気のない場所だ。誰が来ることも無く、ただただ時間が過ぎていく。


 クソっ、なんでこんな…


これが今までの行いを改めろという意味での天罰なのであるならば、それはまだ分かる。


ただ、どうするにも体が小さく無力な赤ん坊には無理な話だった。


 このまま…このまま死ぬのか?


そんな思考が康の思考を過ぎる。


状況は何も変わらない。

草木は揺れ、ただ花の匂いが鼻の周りを漂うのみ。


状況は何も変わらない。

風が少し気持ちいいのと、それから日の光が差して心地いい。


状況は何も変わらない。

飛ぶ鳥が見えてはその鳥もまた康の視界を過ぎ去っていく。


状況は何も…


 これが、これが俺のやってきたことなのか…


永遠とも思える時間の流れ、動くことも出来ずただひたすらに自然に煽られているような気がしてならない。

朝宮 康の生前の行い、それが今になって罰として下っているかのようにまるで…それは永遠とも思えるほどにずっと状況は…


「ガサッ」


それは兆しだった。

赤ん坊にとっての兆し、変わらなかった状況の変化が訪れたのだ。

木々が揺れ擦れる中、雑木林の周りから、何かが動くのが感じ取れた。


それが人間なのか、旗また動物か…そんなことはどうだって、どうだって良いのだ。

康にとって見ればそれはとても喜ばしいことで、そして何よりも、


「うあっ!」


必死に声を上げる。

赤ん坊の声なのだからちゃんとした言葉が出ないのは当然、それでも必死に康はその者に届くようにと声を出し続けた。


そしてついにその時はやってくる。


 ようやく…ようやくこの地獄から…


そうしてその者は姿を露わにする。


「ぁ?」


「ガァァァァ!!!」


そいつは犬だった。

大きな、そしてどこか奇妙な犬…少しの違和感と危機察知能力により康は気づく。


 こいつ、普通の犬じゃ…


その時にはもう、手遅れだった。

その犬は赤ん坊に飛び掛りそしてそのままその首から上をひと噛み、その時点でもう、康の意識などはとっくに…


異世界転生、その直後に生前、朝宮 康という名で生きていた少年は命を落とした。

そのことを理解する間もないほどあっさりと、そして残虐的に…

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