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第一章 13 「入浴」

今回の回はすこしだけ過激な表現を含む場合がございますのでもし、そのような表現が少しでも入っていたら見れないという方はお閉じ下さい。

今回の回を見なくともギリギリわかるように次回を作る予定です。


「アッスランくーん!!!」


そんな高らかな声と共にバシャッという音が立ち、水しぶきならぬお湯飛沫が起きた。


「ちょっ、セト…いきなり飛び込むなよ!」


「えへへへへ、ごめんなさい。けどこんだけ広いお風呂をさ、こうやって使うのも悪くないでしょ?」


少女は浴槽から顔を出すと頭を振り、自身の顔の周りを犬のようにして水気を飛ばす。

アスランはその浴場を毎日見ているが思うことは毎日変わらずである。


少女の言う通り、この家の浴場は広く、まるで銭湯に毎日のように行っているみたいだ。

それほどまでに広い浴場を今は少女とアスランの2人で独占中…やはり少女くらいの年頃の子というのはどうしても飛び込みたい盛りなのだろう。


「それにセト、お前ちゃんとシャワー浴びたのか?」


今も尚、その艶やかな黒の髪を大事に洗うアスランが呆れた目で少女を見つめる。

なんせその少女も艶やかな髪の持ち主であるため、幼少期の行いで一生を悔いて欲しくないというのがアスランの願いだ。


そんな気持ちを知る由もない少女はそのつぶらな薄い青の瞳をアスランに向ける。


「大丈夫大丈夫!!セトはしっかり洗ったし、それにこっちの方が好きだから…」


「理由になってねーよ」


「むぅ…そういうアスランくんは全く入ろうとしないね?」


「っ!!」


不意な少女の発言がアスランの表情を乱す。

確かに念入りに髪や体を洗うことは大切だ。その大切さをアスランは前世の時から知っている。


昔は艶のあった髪も年とともにパサパサになっていき、肌もケアをしなかったがために肌荒れが酷かった時期が一時期…そんな過去の経験を元にアスランは幼少からずっと髪と体、それから顔は念入りに洗っているのだが、今日はそれがやけに長い。

その理由は明瞭だった。


「セト、アスランくんと入りたいなー」


上機嫌に、だがいたずらに、その少女は笑いながらアスランを試している。


まるでアスランが自身と入るのを躊躇っているのがわかっているかのように

まるでアスランが初めて心を乱されまくり、混乱に陥ているのがわかっているかのように

まるでアスランが自身を意識しているのがわかっているかのように


「わかったよ!」


アスランは今回ばかり折れることとなった。

とは言っても、ただで折れるような程、アスランは自分自身で甘くないと言わんばかりに「その前に、」と条件をつけた。


「セト、ちょっとこっち来い」


「えー、でもー、」


「いいからっ!じゃなきゃ入ってやんねーぞ?」


「わかったよー、」


渋々と少女は湯船から上がり、そのままアスランの隣の椅子へと座った。

その裸体は華奢な体つきをしており、やはり幼児と言ったところか、だが顔つきはもう完成されており、これからどうなるのか楽しみなところではある。まぁよくそんな体でありながらアスランとかなりの差がつくほど身体能力が高いのかは不明な点ではあるが…


アスランの精神年齢はおおよそ21歳、そんなアスランがこんな純粋無垢な少女と一緒に風呂なんかに入っていいものなのだろうかという疑問が、アスランを湯船に浸からせないでいた。

だが、それでも少女が自身を求めるというのなら、それならばアスランもそれには答えなくてはならない。


故に―


「うわっ!?」


少女の方にシャワーを向け、そのまま少女の青みがかった水色の髪を洗い流す。


アスランはタダで相手の言うことを聞くほどお人好しでは無い。故に、アスランは選んだのだ。

少女の望みを叶える、その代わりとしてアスランは少女が将来、後悔しない為にも今、その髪をそっと大切に洗い流そうと…


「えへへへへ、アスランくん…くすぐったい」


「うるさいなぁ、将来のお前を思っての行動だぞ?感謝しろよ?」


「はいはい、ありがとう…アスランくん」


そして少女は、誰にも届かないほど小さな声でそっと少年に言うのであった。


「本当に…いつもありがとう…」


「なんか言った?」


「なにも?」


シラを切った少女は楽しそうに笑いながらも今度はそっと、2人で同時にその湯船に入るのであった…




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