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1、むすんで、ほどけて

 大人になることが怖かった。

 大人に早くなりたいという子はきっと、私なんかよりつらい道を生きていて。

 早く自由になりたい。解き放たれたいと願っていたのだろう。


 私は子どもにしがみつきたかった。泣いたら、大人は『大丈夫?』と言ってくれる。

 どれだけ情緒が不安定でも教育は受けられたし、大人は手を離さないでいなきゃいけない義務があった。

 私はそれを利用した。


 周りは言った。

『大人は辛い』と。

 だから、子どものうちにたくさん遊んで楽しみなさいと。

 私は恐怖だった。

 大人がみんなしんどいという大人に近づいていることが。

 今を楽しんでいる余裕がないほど焦った。


 今のうちに子どものうちに受けられる享受を受けなきゃと。

 だから、子どものうちにしかできない不登校もした。


 私の心は満たされなかった。


 ただ、成績が真ん中くらいで友達は周りから見て少ないけど、変ではないくらいはいて、特に問題も起こさない。そんな私を私は空から見ているみたいだった。


 私は私のふりをしているだけ


 初めて仮病を使ったのは小学5年生のこと。

 ただ、目を惹きたいだけ。親の目は惹きたくない。

 先生、クラスメイトに心配されて、かわいそうな子だち思われたい。

 ブサイクな顔面とデブな体が邪魔だった


 何より私はよくお腹が鳴る。

 どれだけ、死ぬたくてもお腹が鳴れば、ただの元気な人。


 なりたい妄想ならたくさんあった。

 弁護士、脚本家、カジノディーラーとか、すごい人。

 ぼんやりと今こうして学校に通っているみたいに、いつかはその毎日通う場所が会社になるものだと疑うこともなかった。

 私のメンタルは弱い。その自覚はある。

 それでも学校に通っていたように。

 それでも会社に行くのだろうと。


 私は辛い。そう思うたびに、これを世で言えば、あなたたんて、私の方が、あなたはただの努力不足だと正解の意見をいただくのだろう。

 そう思う私の心が私がつらいと思うことを許さない。


 私の心が紐どけるなら、どんな実験対象になってもいいからほどいてほしい。


 救いを求めて、映像に物語に、SNSに手を伸ばしてみても一時の救いでしかない。


 私の心に綺麗にはまる型はない。


 私を1番傷つけているのは私の考える心。


 大人になってしまったのだから、うちにうちにばかりいくのではなく少しは外に目を向けてあげたいのに。


 私を喜ばせてあげたい。でもどんな手を使ってもわたしは、未来をつらいものとしてしか見てくれない。


 紐解くことができないのであれば、その塊は使い物にならないから捨てよう。


 別のゴムを持ってきて、また新しく結ぶ。その色は赤がいいかも。


 捨ててもいいですか?

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