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第17話 競合他社登場!差別化戦略(11歳)

王都の建築家との商談を進める中で、俺たちのガラス事業は順調に拡大しつつあった。しかし、それと同時に新たな問題が浮上してきた。


「ザイドル商会と取引していた貴族の一部が、他の商会のガラスを使い始めたらしい」


オットーが商会の報告書をめくりながら、丁寧な口調で言った。


「他の商会でしょうか? どこが参入してきたのですか?」


「シュタインベルク商会です。王都の有力な商会の一つで、貴族の間でも評判が良いとされています」


「つまり、競争相手が本格的に動き出したってことか」


俺は少し考え込んだ。市場が成長すれば競争が生まれるのは当然だが、まだ発展途上の事業にとっては大きな試練だった。


---


「シュタインベルク商会のガラスは、うちのものと比べてどうなんだ?」


「品質は確かに悪くない。透明度は少し劣るが、その分価格が安いのが強みだ」


エリザベートが報告を加えた。


「つまり、うちの強みは品質だけど、コスト面では劣るってことね」


「そういうことだな。しかも、シュタインベルク商会は既に王都の貴族たちと長年の取引があるから、信頼も厚い」


俺たちはすぐに対応策を考えた。


「なら、さらに品質を向上させるか、特別な付加価値をつけるべきだな」


「例えば、彫刻や模様を入れる装飾ガラスはどうかしら?」


エリザベートの提案に、オットーも頷く。


「確かに、それなら単なるガラスよりも貴族の皆様にとって魅力的に映るでしょう。」特に紋章や家柄を示すデザインを施せば、独自性が増す」


「では、それを工房で試作してみましょう。」


「装飾の依頼先ですが、王都には元軍人が率いる彫金細工職人の団体があると聞いています。戦場で培われた精密な技術を持ち、高級装飾品の製作も行っているそうです。」


俺たちは新たな戦略を立て、競争に打ち勝つための準備を始めた。


---


一方、マクシミリアンは2年生になった。

学問所でも競合との話は噂話レベルで知られていた。


「マクシミリアン、お前の商会も競争にさらされているみたいだな」


クラウス・フォン・エーデルシュタインが興味深げに話しかけてきた。


「市場が成長すれば当然のことだ」


「だが、貴族の間ではシュタインベルク商会の方が信頼されているぞ。お前の商会はどこまでやれる?」


挑発的な言葉だったが、俺は冷静に答えた。


「貴族の信頼は一朝一夕では得られない。それはシュタインベルク商会も同じこと。俺たちは品質と独自性で勝負するつもりだ」


クラウスは少し驚いた表情を見せた。


「ほう、面白いな。結果を楽しみにしているよ」


競争が激化する中で、俺たちの挑戦は新たな局面を迎えていた。

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