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第15話「新たな市場の模索と学園での試練」(10歳)

学問所での生活が少しずつ馴染んできた。だが、授業を受けるだけではなく、商売の方も前に進めなければならない。


「貴族向けのガラス製品を広めるためには、もう少し販路を開拓する必要があるわね」


エリザベートが商会の帳簿を見ながら言った。


「そうだな。ヴァルター男爵への納品は成功したが、それだけでは持続的な成長は難しい」


俺たちは学問所の授業の合間を縫いながら、新たな市場を模索することにした。


---


授業では、実践的な経済活動の課題が出された。


「貴族と商人、それぞれの立場から交渉のシミュレーションを行い、最適な契約を結ぶ方法を考えなさい」


グスタフ先生が課題を提示すると、クラス内がざわめいた。


「ルールを説明するぞ。貴族側の役割は、50人規模の領地で必要な物品やサービスをできるだけ有利な条件で入手することだ。一方、商人側は利益を確保しながら、長期的な信頼関係を築く契約を結ぶことを目的とする。取引条件の決定には価格、品質、納期、継続的な供給の要素が含まれる」


先生が黒板にそれぞれのポイントを整理して書く。


「お互いに交渉を行い、最終的に双方が納得する契約を成立させることが求められる。審査基準は契約の合理性と双方の納得度だ」


「交渉か……これは面白そうね」


フレデリカが興味津々といった様子で腕を組む。


「貴族側と商人側、それぞれに分かれて交渉を行う。さて、どちらを選ぶ?」


テオドールが俺に尋ねた。


「もちろん、商人側だろう」


「なら、私は貴族側を担当してみるわ」


フレデリカは自信ありげに微笑んだ。


俺たちはグループに分かれ、交渉の準備を進めることになった。


「貴族側はできるだけ有利な条件で取引を進めたい。一方で、商人側は利益を確保しつつ、長期的な関係を築く必要がある」


エリザベートと俺は、商人側の戦略を練った。


「貴族側は品質を重視するはずだから、多少値を上げても特別仕様のガラスを提案するのが良さそうね」


「ただし、維持できない高値を提示すると信用を失う。適切なバランスが必要だな」


交渉が始まると、フレデリカは貴族の代表として堂々とした態度で言った。


「貴族の名にふさわしい品質を保証できるなら、価格については考慮するわ」


「なら、特別仕様の装飾ガラスを加えた提案をしましょう。その代わり、定期的な注文をいただきたい」


俺は細かく条件を説明しながら、交渉を進めた。


最終的に、お互いが納得する形で契約がまとまり、先生からも高評価をもらうことができた。


---


学問所での交渉経験を生かし、実際の商売でも新たな販路を探ることにした。


「貴族の屋敷だけでなく、教会や王都の大商人にもガラスの需要があるかもしれない」


エリザベートと共に情報を集めると、王都の一部の商人が装飾ガラスに興味を持っていることが分かった。


「よし、次のターゲットは王都の豪商たちだな」


俺たちは次の目標を定め、新たな市場の開拓に向けて動き出した。

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