第01話 日常についてと回想
突然ではあるが「日常」というのは何でできているか?
という問いについてどう答えるだろうか
例えば朝すぐに起きてご飯を食べずに学校や会社に向かう準備をすること?
「いや、あくまでそれは一部じゃろう。日常の、しかも若者の」
ならば、学校で昨日みたドラマについて語りあったり、部活の先輩がかっこいいなんていう他愛ない友達の話を聞くこと?
「それも一部じゃろう、というかお主友だちいたんじゃな」
・・・またしても当然のように自問に被せられる特徴的な否定の言葉。(そして心無い言葉)このツッコミを入れてくる声の主は質問を投げかけた直後にこう言っていた。
多くの日常とちょっとの非日常的なモノで出来ている。と
だとしても、だとしてもくだらないコトかもしれないが私としてはこの口調にはのじゃ口調には、やはり慣れない、
これこそ非日常的なモノだ。
というか、友達いたんじゃなとはなんだ、それなりにはいたというのにというのに多分
「多分ってなんじゃ多分って」
…またナチュラルに心を読まれたし、それ以外の言動もあまりにも不躾だ。
そうした抗議の意思を込めながらその 「非日常」的の元凶とも言える相手に、嘲っているような視線を向けてくる幼女に目を向ける。
緑色の宝石のような目、黄金色の髪は絹糸のように綺麗で手触りが良さそうだ。
顔立ちとしては鼻筋も通っているし、目も吊り目がちではあるがくっきりしているからなのかとても凛々しい印象であ「やめい、やめい、、いつまで儂の容姿なんぞに頭を使ってあるんじゃ!!今のお主には他に集中せねばならぬことがあるじゃろう!」
・・確かにそうだ、少し。少しだけ不服ではあるが今は目の前の凛々しいワシワシデリカシーなし背丈小学生ロリ「ゴホン」・・・素晴らしい淑女に気を取られている場合ではないのかもしれない。
いやというよりこの娘何度も何食わぬ顔で私の心を読んでくる。
ちょっと、いやかなり怖い、怖いけど
彼女の言った他について考えるべきだ
「例えば」
曖昧な言動にいらだったのか目の前の金髪幼女が先を促すように言葉を発した。
しっかりと聞こえているから待ってほしい
そう言葉で伝えてもどうやら信用されていないことは彼女の怪訝な表情を見てわかった。ロリなんて言うから拗ねてしまったのだろうか、
いや今は意識を総動員しなければならないことがあるのだった
例えばそう、
今、目の前にいる魔女を名乗っていた金髪翠眼の少女に「小さい手」ではありえない力で絞められている自分の首の心配とか....
◼️
なぜこんな事になっているのかわからないだろう。
当然だ、だからこそ今からの話は回想という事になる。
私がどうしてかような金髪幼女に、
首を絞められる事になるのか
そもそも魔女というのはなんなのか
そしてありえないとまで言える力で首を絞められながら、どうして平然と意識をはっきり保ち、かつ言葉で伝えるなんてことが出来たのか
その理由と過程について…
⬜︎
回想とは言ったが、自己紹介がまだだったな。
それに一人語りばかりしてしまった、それについての謝意も込めて(こういう口調では謝罪も軽く見えるかもしれないが)皆さん初めまして
私の名前はシア
そういえばあだ名か名字をカタカナで表現しているだけだろうと思うかもしれないが正真正銘名前である
つまり 「山本 太郎」 の「太郎」の部分というわけだ
もう察しているかもしれないが両親は私を捨てていたらしい。
なぜそこで点がつくのか、らしいとはなんだ。と思うかもしれない、その理由としては至極単純。
物心つく前に捨てられたからだ。
捨てられていたのは寺院の前。
初めはそこで育てられる予定ではあったが霊感があると言う住職さんの反対とその他の複雑な理由とかなんやかんやでもっとも近くにあった教会・・と併設された孤児院に預けられる事になったと聞いている。
シアという私の名前はその孤児院から取らせて頂いたものだ。
(当然許可は頂いている。)
・・だからそれなりに思い入れがある名前ではあるのだが、それを話していたら4話ほど使わなければいかないのでまた今度にさせて欲しい。皆さんにはそれよりも気になっている事があるだろう、例えば性別とか。
時間もないし単刀直入に言わせてもらおう。
私は女だ
え、聞こえなかったって、ならばもう一度言わせて貰おう。
私は女だ。
しかも高校生
つまりJKというやつである
「何を言っているシア、口調からして男だろう。加えてからかっていた幼女に首を絞められているでは無いか」
・・・・と大方の人は思っているかもしれない
それはそうと繰り返させていただくが私は正真正銘の女だ。
あまり大声で言うべきでは無いが高校二年生だけあって胸だって人並みには育っている。
あと安心してほしいが顔はいい方だ。
多分クラスで一番か二番くらいだろう。最低でもそれくらいの自信はある。
・・・そんなある意味平凡な私がどうして「魔女」なんていう、明らかに浮世離れしたもの出くわす羽目になったのか、
一体何があったのか、について、話させていただく。
⬜︎
あれは、去年の夏頃だったと思う。
茹だるような暑さだった。
皮膚が干からびてしまうかましれないと思うような夏……
では無くそれなりに平年の程よい暖かさを感じさせるような外で遊んだり部活動に勤しめるような丁度いい夏だった。ついでにいうなら去年でもなく今年の昨日か。
そんないい季節に私は何をしていたのか、気になっているかもしれないから答えさせて頂こう。
そんなに身構えなくとも答えは単純、高校生にとって小遣い稼ぎやオシャレに使うお金の資金源でもあるバイトである。
その理由としては、お金がないというまたしても単純な理由だ。
◾️
バイトと言っても当然ではあるが種類がある。
だから、ここは敢えて王道ではない分け方をしよう。
大まかに言ってエッチかエッチじゃないかだ。
私が勤めていたのは後者だった。
もし前者であっても高校生でそういうバイトをしていれば勿論犯罪ではあるから、友達の前で言えないなんていうのもあるのかもしれない、正直勤めていても絶対に言わないのだが、
どうやら友達は違ったようだ。
⬜︎
相談された、それもそれなりに広かった交友関係の中でもとても明るくて、真面目で、貧乏な子に…
ではない
むしろ裕福で、真面目とは言えなくて、だけどとても心優しい子
その子について特別気が合うわけでもなかったからか、あまり話をしたいなかった私でも、彼女の表情を見れば、その焦った顔を見れば、もうこの子には頼れるのが私しかいないんだな、と悟らざるを得なかった。
彼女は、「私には人を見る目がある」と言っていた。
そのある意味不敵な態度も、彼女の普段の行動から推察してみればなるほど正しいのだなということが理解できた。
ある日は、困っている人を助けたり。
またある日、と言うよりこちらがメインの話しではあるのだけれど、
いわゆる陽キャとも言われる、
他人を気にすることなく騒いだりまぁ単純に仲間内ではしゃいだりする人達、私の同類。
その中でも一緒につるんだりしている連中の中でその男子グループの中で次のイジメの対象になりかけた、その首謀者と彼女が、同じ班になった時に、
特別仲が良いわけでもないなりかけ被害者君(名前を出すわけにはいかないので便宜上そう呼ぶ)に事前に頼み込んで班仕事に必要な情報や、道具を持ってくるように言い、
二人の関係を改善しようとした、というのを知っている。
結局はイジメに発展してしまったのだが、事前の班の手伝いと被害者君(これも便宜上)の元の面倒見の良さ、そして彼女のサポートのおかげで期間事態は短めにすんでいた。
つまり彼女は敢えて首謀者君(便宜上)に直接注意するのでは無く間接的に、被害者になってしまった君の良さをさりげなくアピールしたのだ。
その前はただ、なんとなく人のことをよく見ていそうだなという私自身の彼女に対する評価が誤りであり、
過小評価であったことをその出来事で確信した。
⬜︎
そうして勝手に自分の中で侮っておきながら、先の出来事のおかげで見事に心の中での株が上がったという一連の出来事の原因となった行動をとった彼女と、
その関係については
それからなんの進展もなく、ただ時間だけが過ぎていった。 結果、
あの行動から3ヶ月後の8月の某日、私は彼女から、<Rain>に、
バイトが休みの日に学校で会えないかという連絡を受けて、なんのことか分からないながらも馳せ参じた。
呼び出されたのはバイト終わりの夜7時、バイトで忙しかったためこの時間になってしまった。
仕事で忙しかった理由としては、14歳から孤児院を出て一人暮らしをしているせいとも言える。
担当先生やそれ以外の職員さん、そして教会の神父さんにお願いをして、一部、仕送りをしてもらいながら、それでも貯金を貯めたり、切り崩したり、同じ場所でバイトをしている同級生の子たちにシフトを譲って貰いながらも、頑張って生活をしていたのだ。
そんな私に対して送ってきた呼び出しの内容は「エッチなバイトについて相談したい」だった。
そうして今に至る、
私とは正反対の裕福な環境に居ながらもそれを自慢せず、人に優しくし続けるような人だったけれど、流石にこの相談には面食らってしまう。
いや、言えないだろう。
それなりの交友関係を持ちながらも、自分で言うのもなんだが、しっかりと友達や同級生の相談に乗っていた私以外には
人をよく知っている、見ている彼女からしてみれば。
いや、私以上に人の話を聞くのが上手いんじゃないのかなと言う人も確かにいたのだけれど、彼女にしてみれば少しでも信用できる人物を選びたかったと言うのが実情なのかもしれない。
なにせあの子は普段の服装や格好のイメージそのままの態度とは違って他人に話しかける時には躊躇いがない、いわゆるコミュ強と言える娘だった、つまり根性のある子だった。
そんな彼女でも言いづらいのか、続きの言葉が出てこない。
椅子に座って間に机があるからか距離はあるが、
彼女は目を伏せて背もたれにすらもたれずに背をピンと伸ばして下を向いたままだ。
それをじっと見ている訳にもいかないので、私も下を向き目を瞑る。
誰かに聞かれる可能性を考えて念のために借りていた放送室、その鍵を、スカートのポッケの中でギュッと、握った。
取るのにそれなりに時間も用したし、向かう前に格好が変な人ともすれ違ったけどそれは今、そんなことは、いま、どうでもいい
言う必要も無いかもしれないけれど私は彼女に怒っている……わけでは無い。むしろ私は、、
「緊張している。そうでしょう?」
・・・そうして彼女は、いつも通り見透かしているような態度を取る。まるでさっきまでの態度が薄っぺらい嘘だったと思えてしまうような堂々とした振る舞い。
、、いやむしろ、彼女には見え透いているのだろうか、私の行動が、その動機が
「いいえ、ただの勘よ。女の勘」
彼女の方が相談をしていたはずなのに、弱っていた筈なのに、いつの間にか彼女は調子を取り戻し、私が彼女の言動に、勘の良さに、圧倒されている。
少し、いやかなり奇妙に思われてしまうかもしれないが、これが私たちの普通、私が好調であろうとなんだろうと、私は彼女に流される。頻繁に会話するわけでも無いのに行動とその動機を見透かされ、言い当てられる。
まるで一つになったように、もっと言うならまぐわったている最中にどうシて欲しいかどう責められたいのか一言も言ってないのに、その相手に伝わってしまうよう
「それは、少し言い過ぎじゃ無い?!まぐわうって何よ!まぐわうって!そういうスケベなのをたまに口に出してしまっているのもあなたの悪い癖よ、シアさん。」
そう言って彼女、Iさんはプンスカ怒っている。
マジか、口をついていたというのか、今度からは気をつけよう。
気をつけよう。気をつけよう…
・・そう何度も過去に自分に言い聞かせたであろう言葉を頭の中で8回ほど反芻した。
因みに彼女の前でやらかすのはこれで10回目だ。
その度こうやってスケベなんていう、正直友達同士でもあまり聞かない言葉で、私を罵倒、いや注意してくる。
まぁ当然悪いのは私だし、今は事態が事態だ。
余計なことを口走って雰囲気を崩しすぎるのも良く無い。
そう考えたあと、少し伸びをしてからまっすぐ彼女の綺麗な目を見て本題へと切り出した。
「エッチなバイト、について、詳しく教えて欲しい。」
◼️
聞いた話としては大まかにこうだった。
4月から一週間前まで付き合っていた彼氏、ここでは仮称A君、とさせていただこう。
その子が中学の先輩とは言え、犯罪を犯したり犯さなかったりしている黒よりのグレーと言えるほどの、悪い先輩から紹介されたお店にA君がついて行った時にまで遡る。
そのブラックワルワル先輩はA君に対して、性的なサービス、いわゆるエッチなサービスをお金を払って受けるよう半ば強要したようだ。
だが、人が良いながらも強かである事で有名だったA君は、ガンワル先輩に対して、うまいこと断ろうとした。
だがしかし、強かであることが有名だったからか、それとも元々断られる前提で動いていたのか。
その黒カス先輩は、受けなかった時の条件として当時彼と付き合っていた彼女、いわゆるこの話をしてくれたIさんに対して、ストカー的行為を行い、挙句彼女を強姦して、そしてその最中にとっていた動画を彼に見せながら、こう言ったという。
「この映像をネットにばら撒かれたくなけりゃ、黙ってIを連れて来い、もしくはここのサービスを受けろ、高え金を払ってな」
そうしてゴキブリ以下先輩に未成年ながら春を買うか、その案を提案したゴキブリ未満先輩と明らかに生中な仲では無い自分の彼女をここに連れて来させるのかの二者択一を迫られた彼氏は、特異な状況に焦っていたのか、彼女の連絡先だけならどうか、、と言ってしまった。
それを承諾したゴキブリと比べるのもゴキブリに失礼先輩は、連絡先を受け取ったあと、Iさんに連絡を取り店に呼び出したあと同様の脅迫行為を仕掛け自身が経営している(おそらく)店に働くように誘導し、彼に多額の金を払わせて性的なサービスを無理矢理受けさせた、という訳だ。
その時ちょうど働く事になった彼女に彼の「相手」をさせて。
⬜︎
「回想ありがとう、すごくわかりやすい話だった。」
それが、iが話を受け止めた直後に発した言葉だ。
そんな様子に対しては流石の私も驚かざるを得ない。
「やっぱり国語力が違うのかなー、あとあだ名になんだか怒りが詰まっていたようなー」
なんていう彼女の軽口を含んだ言葉も耳から頭を通ってすぐに通り抜けていった。だがそれも人として当然の反応だろう。
何故なら彼女が受けたのはイジメなんてとうに超えた陵辱、人として単純に許してはならない、犯してはならない線を当然のように踏み越えた非人道的行為だ。だからこそ私は怒りのまま彼女にこう言った
「それで、いつそのクズを細切れにしにいく」、と
そんないつもの冗談なようでいてまるっきり本気の意思をこめた言葉に対する返答は、普段の温厚な彼女にはとても不似合いな言葉だった。そして私には信じられない言葉だった。
「もう、細切れにしちゃったあとだよ」
と、私が滅多に目にすることはなかった朗らかな笑顔で。
まるで心地よい運動をした後にする、のびをしながら。
彼女はそう言った。
◾️
思えば、考えるべきだったのかもしれない
どうして男に乱暴を受けた少女がそのことを言葉に詰まりながらも
ただの高校生に話してくれたのか
どうして、あくまで間接的に対処をして、首謀者君との直接的な対立を避けるという手段を取るほど、慎重な少女が、ただの高校生に
そのことを教えてくれたのか。
「嫌だな〜、私は信用しているよシアちゃんのこと。」
そういう彼女の表情はどこまでも慈悲深い、まるで子供を諭している母親のよう。
「シアちゃんには、いないんじゃなかったの?施設で育ったって聞いたけど。」
・・・・・・確かに、私は親に捨てられた挙句寺院に断られて、偶々受け入れてくれた教会の施設で育った。
親を知らない子供だ。
「だけどだからこそ、知っているんだよね。
自分がもう見ることの出来ない、だから思い出すことも出来ない。
あなたの知らない自分の本当の母親がしていたかも知れない母性に満ちた貌を。」
・・・相変わらず人のデリケートな部分も見抜き、感情を言い当てる。だから苦手だったのに、、
<Rain>で相談を受けたからって、ホイホイ、言われた通りについてきてなんの対策もしなかった、しようとしなかった、自分の、私自身のあまりの迂闊さを呪う。
「私のデリカシーのなさを恨むんじゃなくて、自分の迂闊さを呪うなんて、本当に優しいんだね、シアちゃんって」
「それは貴方もだろう。井伊波さん」
・・いや正確には、だったというべきか。
「名前言っちゃうんだね、いつもは名前も呼んでくれないのに。なんかの練習でもしてるの?それとも、もしかしてちょっと怒ってる?」
ああ、当然だ。怒っているとも、貴方がもっと早く、私に相談してくれなかったことに。
「それは、あの人が死んじゃいけない人だったってこと?」
そう発した彼女の言葉は、笑顔のままだというのに、これまでとは比べ物にならないくらい、毒を含んでいた。
決して、死してなお、殺してなお、あの男を絶対に許さない、という。真っ黒な憎悪を。
彼女はきっとこう思っているのだろう、私自身の力で、この如何ともし難い状況をどうにかしようとしたのに、後から話しただけの貴方が、今悔やんだところで、意味などないし、もうヤってしまったことは手にかけてしまったことは変えられない、だから何も言わないでと。
だけど言わないと、言わなければ
彼女はもっと暗い場所に行ってしまうかもしれない、そう考えて私は口を開く。
「それもある、けど、けれど、、いくら名前を授かる価値もない男でも殺してはならない、それをしてしまえば・・・」
「同類になる、、とでも。最初に恨まれる理由を作ったのはあの人だよ。」
「・・それは論点ずらしだ!!理由を、恨まれる理由を作ったというのは、正しい、だけどもっと、やり方があった筈だ。例えば証拠を取って、、「警察」に通報するとか。」
「以外と考えが甘いね、シアちゃん。それに結構怒ってくれてるね。
まぁそんなことよりも、わからないかな。私がどうしてここまでの行動を取ったか、私に考えが足りなかった?それもあるかもね、でもね、もっと絶望的だったんだ私たちの状況は」
「・・・・まさか警察組織もグル?!」
「その通り!!ふふいくら警察に通報しても、襲われたと言ってもハハ!
、何もかも無駄だったってこと!!なにせ自分で撮ったそういう動画でさえははは、証拠として届けても、何もヒヒヒ、取り合ってくれなかったんだもん!!
・・・・・きっとこの男が事前に根回しをしていたんじゃないかな」
怒りを露わにしながらけれど狂ったように笑うという器用なマネをした後、一拍おいて落ち着いたと思えば、私に小さくて奇妙な色のブロックを投げ渡した。
それを危なげなく捕まえて手の中を見る。
それは1センチにも満たない小さな立方体、けどこの状況で意味のないモノを渡すほどボケてはいない筈だ。だからじっくりと検める。・・やはりただのブロックなのだろうか全て赤色でただ小さいだけの
、、、いや違う、これは奇妙なブロックなんがじゃない!
・・・・・・これは、、、、
「あの人だったものだよ?、
随分とちっちゃくなっちゃったから、もうどうな顔か、どんな姿だったか、わからないかもしれないけど。」
「初めまして私の名前はグズダメ男でーす」
なんてふざけた調子で言いなが椅子からも卓からも身を乗り出して私の手のひらの上にある人だったものを強い力で抑えながら、嘲った表情をそれに向ける。
「それで、、貴方は何がしたいの!!
まさかコレを自慢するためじゃないよね?!、そんな役にたたない事を「役に立たないことなんて言わないで」
そうして初めて私の言葉を明確に遮った井伊波は 必死な表情で頭の中にあるであろう言葉を感情のまま伝える。
「この男は、この子は、人を貶めて悦に浸ることしか生きる意味を見出せなかったのに!!
この姿になってようやく!他人の、、他人の幸せを手助けすることができたんだから!!?」
・・・・もうめちゃくちゃだった。肉片になったのに、消しゴムのかけらにも満たない大きさにしてしまったというのに、それが人を幸せにするとか。
嘲った表情をそれに向けていたのに私が否定すればミンチ以下にした肉片の価値を必死に、私に対して説くところとか。
・・・明らかに狂っている、狂人と呼ぶになんの躊躇いもない行動と言動。
どうしてこうなってしまったのか、、。
「そう思ってる?」
いつのまにか彼女の顔が、私の目と鼻の先にあった。
私とは違う綺麗な瞳が、艶やかな唇が
ん?!
今私は何を考えた?
彼女の瞳は、まぁ綺麗だけど、艶やかな唇?
なんだそれは。私がどうして同性に対して、どうして。そんな感情を抱くはずが、
おかしい、何かが、決定的に。
「ようやく効いてくれた。」
小さくなりすぎた肉片を見るために、左に向いた重心が、さらに傾いてゆく。
その怖さに、恐ろしさに、目を瞑ってしまったあと、目を開けば私の視界には放送室の床が見えている。
体が動かない。口すら動かない、動かせない。
「混乱してるよね、だから教えてあげる。」
そのすぐあとに乗り出していた机から離れ、床に臥した私に、膝を床につけ、這うように近づいて私の顔を覗き込みながら、こう言った。
「私は魔法が使えるの」
⬜︎
「は、今こいつ何言った?って思ったよね。」
思いました。本当に何を言ってらっしゃるんですか。
魔法なんてあるわけないじゃな「いや、あるんだって本当に」
は?全然わかりませんもしかしてその戯言と私が口も動かせないのには関係があるのですか。
「いや、あるって言ってんじゃん。そういう魔法なんだから」
・・・つまり、今私がこうして頑張って貴方の顔を見るために目を必死に動かしているのも、貴方のいう。魔法のせいだと?
私がそれにかかったと?
「私がかけたんだけどね、だから動けない。あと、びっくりしすぎると敬語に戻っちゃうんだねー」
初対面を思い出すわーなんていう軽口については頑張ってスルーして、他のもっと根本的でだけど重要なことを聞く、目で、頑張って訴えかける。
魔法を使えるってどういうこと?!
どうしてそんなことができるように!??
そうしたら彼女は心を読んでいたかのように答えた。あっさりと、なんでもないかのように。
「貴方が手に持ってるその子のおかげだよ」
「は?」
◾️
「貴方が手に持ってるその子のおかげだよ」
なんの気なく言った彼女の言葉は、さらなる困惑をもたらすのに十分だった。ん、いやそれよりも、、、
「さっき喋れたよね、は?って少しだけ聞いた話と違うような」
違和感の正体に気づく。元凶の言葉で、いいや今はそれよりも、
口、口だ、口を再び動かしてみる。
「我々は宇宙人だ!!」
いける、しゃべれる。
「・・・まだ、ボケ足りないのかな?もうツッコミ疲れちゃったけど。」
自由にすればいい、ツッコむのは自由なのだし。
まぁそれでも覚えていてほしいこともある。
そう切り出した。
彼女は様子を伺っている、じっとこちらを見ながら。
早く話せということなのだろうか。
ならば望み通りにしよう。そしてその隙を見せたことを、後悔させてやる!!
「ツッコまない自由もあるんだよ!セックスみたいに!!」
・・・・勝った、これは勝った。
なにせ井伊波は一言も言い返してこない、言い返せるほどの反論が思いつかないのだろう。
私の言葉があまりにも優れていたが故に、カウンターの機会さえ奪ってしまうとは、自分の才覚が少し、恐ろしい。
学校で待ち合わせたあと、相談を受けて翻弄されてばかりだった私が、普段からも彼女の言動に翻弄されまくった私が、ようやく勝てた。
これは神に感謝を述べなければ、ずっと続けてきた祈りの成果が出たのだ。
彼女の鼻を明かしてやりたいという純粋な願いに対して、主が、私の願いが叶うように、その御力で導いてくださったのだ、、、
まぁ 一回も祈ったことないけど。
「私ではどうやってもツッコミが追いつかないや」
やった、ようやく聞けたよその言葉が、そう考えたあと喜びのまま次の言葉をきく。
ならば聞かせてもらおう、初めて味わう敗北の味は、と少し、いやかなり大仰な物言いだが
「わかってるなら聞かないでほしーな、
あと忘れてるかもしれないけど、今貴方は寝転がってて、しかも
声も出せなかったのにやっと、出せるような状況なんだよ。
何か他に言うことは?」
それが敗北者の言葉か。
「シアちゃん。」
・・・なんでしょうか
「しつこい。」
ひ、、怖い。
ま、真顔で、そんな感情を感じさせない瞳で私を見ないで、、、、
「なら、どうすればいいかわかるよね?」
は?全然わからんが?
「は?」
前略
お父さん、お母さん。
私は今日、死ぬかもしれません。
私が自転車に乗って転んだ時も、勉強で壁にぶつかった時も、
優しく導いてくれましたね。
その事を心より感謝します。
まぁ、親なんていないんですけど。
「・・・・もう本当にすごいねシアちゃんは、、私には真似できないや。」
諦められている、呆れるのを通り越して、諦められている。
どうして、こんなことになってしまったんだ?!
こんなふうになるのは、これで3度目だと言うのに!!
ん、、、、、3度目?
3度目ならいっか。
「そんなのは神様が許しても私が許さないよ。」
そうじとっとした目で笑みを引き攣らせながら言われた
本当に器用な真似をする。
けどそろそろボケるのも終わりにしないと
「・・ほんとボケ倒しで、傍若無人なんだから。
いやというより、あえてやってるのかな、私だけに。
他の人より私のこと下に見てるんじゃないの?」
下に見ているというのはあり得ない、どちらかといえば
貴方のことは、、
「怖い?」
あぁ、怖いよ、その察しの良さも。
私の方が成績がいいはずなのに言ってもいない本心を理解されることも。
「も、ってことは他にもあるんだ。
そのことは今のわたしに、いえそう?」
無理だね、
「絶対?」
絶対。
「それは残念」
・・そうやって、すぐに察して引き際をいつも誤らないところも、、本当に怖い。
だけどまぁ、今はいいや。
怖いことばっかり考えるのも、あまり健康に良くないしね。
、、、それで本題なんだけど、
「ん、あぁ本題、本題ね。覚えてる覚えてますとも!」
そういう彼女の目は、泳ぎに泳ぎまくっている。
その速さだと、もう洗濯物を前に置けばすぐ乾かせそうな程に。
「そんなに泳いでません。」
泳いでる自覚はあったんだ
「当然です、人並みには自分のこと客観視できるんだから。」
、また、いつもの謙遜?
目を泳がせるほど動揺してる時に普通の人はわざわざ、自分の行動を分析していないと思うのだが。
それとも、そもそも見た目ほど動揺していなくて、さっきのはあくまでも、演技だとか?
「考えすぎだよ〜、シアちゃんてばぁ〜。もう、ホントにわたしのこと信用してないんだから〜。わたしのこと信じれない、悪い頭はここかな〜」
いたい、結構いたい。
こめかみに爪を立ててぐりぐりしないでほしい、
人差し指一本だけど痛い。
なんで頭って言ったのにこめかみなのって、ことがちょっとしか気にならない程痛い。
「お仕置きってやつだよ〜、まぁ結構余裕そうだけど、そうじゃないと態々わたしの言葉の違いについてツッコまないよね。
それに本題を話すって意味では私も賛成かな。そろそろ話しておかないと時間が足りなそうだし」
・・・・時間がない?
そこはかとなく嫌な予感がするが、一体なんの話だ。
「あなたには、あなた達には、魔女の血を飲ませたの。」
魔女の・・血? なに、、、それ?
◼️
「魔女の血っていうのはね、
飲めば魔法使いになれる不思議な血なんだよ。
「信じられないかな?、無理もないや。けどね、わたしは嘘はつかないよ。 嫌いだからね。あと正確には魔女かな、女の子の魔法使いだからね。
「え、そんな事は、割とどうでもいい?、、話を続けろ??
結構酷いこと言うね、自覚ある?
・・・まあ、いいや。
お求め通り、話をもどすね。
「魔女の血っていうのはね、こことは違うけど、この宇宙と同じくらいの異界を作って死んじゃった、「魔女」の血なんだよ。
それをさっきの肉片に混ぜておいたんだ。触れた時に「飲む」ように、当然概念的に。
同じくらいていうのは、宇宙全体のエネルギー量と、大きさの話ね。
「だから、普通の人も魔法使いにできるほどの強力な力がある。
けどね、そんな便利な魔女の血だけど当然、デメリットがあるの。
「そのデメリットは精神力が、根性が無ければ、死んでしまうこと。普通の人も魔法使いににはなれるけど、誰でもなれるわけじゃない。
「とんでもないデメリットだって?
まぁデメリットの方は裏技を使えば、解決できるよ。
「もっとも、その様子だと、シアちゃんは適正者ではないかも知れない。確実に言い切れる訳ではないけどね
「・・・・驚かないんだ、もっとすぐに治せって泣き喚いたり、
最悪舌でも噛んで、自殺すると思っていたのだけど。だって口は動かせるんだしね。
「まぁ、舌だってかなり根本の部分を噛み切らないと死なないらしいから、人間って案外しぶといよね。
「だからわたしから提案。これまで使ってた裏技以外の荒技を試す、実験台になってよ。
⬜︎
「断る。」
それが彼女の提案に対して、出した私の結論だった。
「どうして?
わかっているとは思うけど、あなたに提案する時点で、ある程度実用的な段階に進んでいるんだよ。
シアちゃんに根性がないとは、普段の様子や、さっきまでの肝の太さから、とても信じられなかったから、多分魔女の血の方がおかしいんだよ。
だからそれを調整させてくれって言ってるの。
わからないわけないよね、あなたは私よりも頭が良いんだから。」
あぁ、私は貴方よりも、頭が良い、だからわかる。
これは、無理だ。助からない
「本気で、言っているの?」
あぁ本気だ、声は確かに出せるし、意識も考え事が出来るくらいはっきりしているが、それ以外の感覚がない、これでは何をしても無意味だろう。
「なら、まだ、調整でどうにかなる範囲だよ。
ちょっと後遺症は残っちゃうかも知れないけど、それだって他の手段を使えば「それに!」
私は彼女の言葉に被せるように、
きっと彼女にとって残酷な言葉を放つ。
「もう、目も見えていない」
◼️
「冗談でも笑えないよ、シアちゃん。」
そう言った彼女の顔はどうみても、悔しさに苛まれている人間のソレだった。
「ほらやっぱり見えてるじゃない。どうみてもなんて言葉、そうじゃないと説明が付かないよね。わたしを騙そうなんて100年早いんだから。」
その声色にはしかし喜色は含まれていなかった。
彼女とて気づいているのだろう、私が目に映らない情報以外の全てを利用して彼女の、井伊波の行動を組み立て、推測して、描写していたことに、
正直いくつか間違っているものと思っていたが、
ここまで当たっていると博士号がもらえるかも知れない。
「はは、ホントに、、笑えない冗談なんだから。
それに博士号は、最低でも5年間大学に在学して独創的な論文も最低3本は出さないと取れないって、聞いてるよ。もうそこまで生きられないかも知れないけど」
?聞いてるよの後が小声でよく聞こえなかったが
それよりも気になることがある。
「取れないって聞いてるよ」なんだか露骨に人に聞いたような口ぶりだ。
聞いてるよって言っているし。
死にかけで気になることではないかも知れないが、それでも、気になるものはなってしまう。
「一体誰に聞いたの?」
一々目も見えないのに細かいことが気になるのに驚いたか、それとも単純に聞かれるとは思っていなかったのか、
彼女は少しだけ驚いた素振りをしたあと、素直に答えてくれた。
「お兄ちゃんに聞いたんだ。もう随分と昔の話だけどね。」
⬜︎
お兄ちゃん、か、
そんなこと初めてあった時も聞いたことなかったな。
思えば私たちが初めて顔を合わせたのは中学2年生の頃。
今のボケボケ優等生である私と、ツッコミ担当劣等生の井伊波の、偶に話すけど正直挨拶しかしていないし、私としては苦手という。
関係とは、少しだけ違っていた。
具体的には私が成績不良、彼女が成績良好の、
アベコベコンビだったのだ。
・・・いや、それは嘘だな。
嘘というより、言葉が、説明が足りていない。
いいや、足りていないとは言っても当時の私達の関係を表す言葉が足りていない。決定的に、根本的に、
順を追って言おう、私たちは当時とても仲が良かった。
◼️
「そんな重要な回想より、まずは私のお兄ちゃんの話をしようよ〜、前回スッゴイ意味深な感で終わったじゃん。きっとみんなもそっちの方が気になってるって〜」
・・・・世の中の大半の人はね、友達の優秀な兄の話より、かつて親友だった子供たちがどう仲を拗らせたかの方が興味があるんだよ。
あと、メタイ話禁止。
「・・・・・」
どうしたんだろう何故黙るのだ?
「・・・・・・・シアちゃん。
わたし普通に心配になってきたんだけど、視界が潰れて、体もうごかせないのに、その話、が誰に需要があるとか、そんな小さいこと気にしてる場合?
バカじゃない、っていうのは、まぁわたしをあれだけの間、騙したから違うって言えるけど、それにしても危機感ってものが足りないんじゃないかな。
いや、人が倒れているのになんの気なしに私達の過去回想から、自分の兄の話の方が価値があるとしてすり替えようとした、私が言えることでは無いけど。」
・・まぁそれもそうか、メタイ話というツッコミを何の気なしにスルーしたのは置いといて、
わたしに危機感が足りないという彼女の認識は、正しい。
けど、その危機感の無さもある意味私らしいと言える。
「詳しく話して、魔女の血の適正条件が何か知っているよね。」
根性があるかないかでしょ。
覚えてるよ
「なら、早く話してほしいな。、あなたにはもう、、」
確かに私には時間がない、目も見えなくなるどころか今は、、口すら
さぁ言えるうちに早く行ってしまおう、シア。
「つまり私は、考え方がずるいだけなのだ。」
◼️
「その言葉を聞いて安心した。」
え、、今ので、私の回想終わり?
「終わりだよ」
え、うそ私のむっちゃ重要そうな回想、さっきのなんとでも解釈できる一言だけで、終わりなの?
「終わり、だって言う必要がないもの。」
、、、、それはつまり、私にはそれ以降の話を聞く必要が無いほど、根性なしのヘタレ女、ってこと?
「うんう、違う。貴方はね、とんだ根性の持ち主だよ。」
「理由は言わないけど」なんていう言葉もあとに聞こえたがそれよりも重要な言葉があった。
「とんだ根性の持ち主」か
そっか、、、
なんか良かった。
「・・・そんなに他人の評価が気になるの?
いつもは、他人の様子なんてなんのそので、いきなり変なことしたり。さっきみたいにボケ倒したりするのに?
それに今だって喋れるギリギリの状態なのに?」
他人の評価、か。
まぁそれも気になるけど、貴方は他人じゃ無いでしょ
「他人じゃ無いならなに、赤の他人?」
友達。
「は?」
・・・・今のやり取りで確信したよ、私たちは友達だ。
「、、今のやり取りの何処に友達だって確信するところがあったの。少なくとも貴方の中の私に対する評価は精々が人殺し、悪く言って、サイコキラーってとこじゃ無いの?死ぬほど恨んでるからって、人を細切れにした、ただのやばい女じゃ無いの?」
「確かに、貴方は人を殺した。
それもどうやったかは知らないけど1センチ以下の肉片にして、加えて肉片の価値を否定したら発狂するし。
けど、さっき会話して、
そのデリカシーは無いけど、私を心配してくれる言葉の数々で、私は貴方にあった時からしてた都合のいい楽観がただの私の勘じゃなくって、本当のことだって信じられるようになった。」
「それは、その楽観って言うのは何。」
気になってしまうのだろう。
無理もない、私だってこんなふうに言われたらつい気になって、聞いてしまうのだろう。
だから、私はこう答える私らしく、
ずるい言い方で。
「これ以上は無粋。
貴方が私に教えてくれた言葉だよ。」
⬜︎
「はは、本当に、ずるいや。
狡くて、賢くて、けど、本当にあなたらしい。」
そう言う彼女の顔はきっと満足げだ。
「きっとって、もう自信無くなっちゃったの?
あれだけ人を騙くらかしてくれちゃったくせに、それとも、もう。」
あぁ、時間のようだ。
少し眠くなってきた、口も動かせない、ぶっちゃけ耳も聞こえるギリギリくらいだ、これで詰みか、、
「待って、うっかり死のうとしないで」
・・なんだ?
こっちは、考えるのだってギリギリなのに、もう少し寝かせてほしい、あとで宿題はやっておくから。
「馬鹿、死んだら宿題も何もできたものじゃないでしょ!
今からなんとかするから、気合いで意識保って!!
あと、変な寝言言いながら死のうとすんな!!!」
荒技なら受けないぞ、
貴方の力を死体になる女に使わせるわけにはいかない。
どんな力かすら知らないけど。
そう言ったのに私はそのすぐあと不穏な言葉を聞いた。
「なら、新技なら言い訳だ。」
⬜︎
え、もう死んでいいですか?
「ダメです、死んでも生かします。
あと、死んでもいいですか?なんて、こんな状況で聞かないで!殴り倒すよ!!」
うぇ、怖い。
そんな私のリアクションを一切気にすることなく、彼女、井伊波は一方的に言葉を告げる。
「私の魔女の血の大半を貴方にあげる。だからそれを使って祈るの!!」
なにを、どうやって。
「私に力を貸しなさい!!
って、一方的に、そうすれば血は叶えてくれる。
何故ならそれは、貴方が抱きうる最も強い欲望に反応する筈だから」
わかったけど、一体どうやって血を・・っ
いきなり立ち上がって近づいてきて、どうしたのって・・・まさか?!
「そう、この私の血を分ければいいのよ、
切った手首からこぼれ出した新鮮な魔女の血をね!!」
⬜︎
「なにしてんの?!
手首切ったりしたら本当に貴方死んじゃうじゃない!!」
そう言ったのは私だった、まさか本気を出しても小声を出すので精一杯だった、今の私にここまでの力が残っているとは。
こいうのを火事場の馬鹿力というのだろうか?
いや、今そんなことどうでもいい、マジでどうでもいい。
とっとと消えろ!!余計な考え!!!
目は見えない、体も動かせない、耳もギリギリ、鼻はそれなり、彼女の鉄錆の匂い、血の匂いを嗅げる!!まだ!!!
それと、首だけならギリギリ動かせる。口もまだいける、、
はやく止めないと!
そうして、彼女を止めるために動かした口は、悲しいかな。
彼女のこぼした血を受け取るのにちょうど良い場所にしか動かすことが出来ず、
そのまま手首から出る大量の血によって喋る機会を奪われてしまった。
・・・いや、悲しいかなじゃない、最悪だ、、
彼女がどんな魔法を持っているかは知らないが、魔女の血の大半と言っていた。
たとえ治せる力を持っていてもそれを失えば、私に渡せば、
それは明らかに手遅れだ。
もう、彼女の傷を治せない。
そもそも私がちゃんと力を手に入れられるかすらわからないと言うのに、そんなことをすれば井伊波は確実に、、
「死んじゃうかもね、、けど、いいんだ。私に悔いはないよ。」
そうして首しか動かせない私の顔にそっと手が添えられれば消えた
温もりを感じる
彼女の体温を感じた
彼女の鼓動を感じた
彼女の心を感じた
直感で彼女が抱きしめていることが分かった
自身の膝を枕にし軽く抱きとめる事にも、それに困惑しているのをまるで気にせず彼女は話しを続ける。
「私達は友達、なんでしょ。」
・・・そんな当たり前だけど、今の私が最も欲しかった言葉を発した後、
まるで、人の半身を噛み砕いて飲み込んだような
音が聞こえた
私が人を信用できないのは
私という
最も信用できない人を知っているからだ
〜人助けの魔女〜




