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Adonai's Failure  作者: 白河田沼
第一章 始まりの回想と鏡の国

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第11話 開廷

「これは何?」

そんな言葉をシアは吐いていた。

軍隊さながらの並列を見事に踏破した四人と一匹はとある円盤の前に立っていた。


円盤と言っても唯の円盤ではない

赤いカーペットの敷かれた階段を昇った先にあるカーペットに埋もれた鉄の円盤だ。

ガラス越しの太陽に照らされたそれは金属故の鈍い光故に見事にこの場にいる全員の目に焼き付いていることだろう。


当然、私も含めて

更に言うならどこかの兵隊のように旗を掲げる魔女達の前を横切るのは甚だ苦痛であったが存外悪い気分でもなかった。

これが・・満足感?



「っていうかさっきの黒い竜についてのこととか、どうして私の目の前でだけ血が塵になったのかとか、ついでに言うならどうして禍根鳥がこんなにご機嫌なのかとか分からない事だらけなんだけれど結構怖いんだけれどねぇプネウマ教えて教えて教えて教えて。」


「うるさい、うるさい!!私達(オレ)に答えられる訳ないだろう!!!」


「・・・・ふざけている場合ではありませんよ、掟破り様。」


「わっ!!!」

バフォメットを両手でガシッと掴みブンブンと上下に揺らしながら不燃焼の疑問を口にすれば背後からの声に思わずビクリと私の肩が跳ねた

ギギギと振り返れば黒い外套が目に入る。

この子は誰?



「貴方、名前は?」

思いがけず私は問うていた

黒い外套を羽織りフードを被った少女そのフードの中身を覗き見る


フードの中を覗いたのは顔の判別がつかなかったからではない。

他の者のように旗を手に持っていなかったからでも当然ない。

それらはこの()()に比べれば取るに足りないモノだった。

心の中で警鐘が鳴り響いているのだ


彼女は危険だ。

彼女の口から

態度や仕草から

少しでも情報を引き出すべきだと



だからこそ思わず聞いていた。

彼女の情報を手に入れる為に

少しでも有効な手を考える為に


「失礼、「外套」を取っていませんでしたね。」

慇懃にも思える言葉の後しかしフードの淵を彼女は持ち捲り上げる

そこには桃色の髪に十字に割れた金の瞳を持つ少女が立っていた

少女は周りの刺さるような視線も己の風貌も気にする風でもなく続ける



「そして質問に答えさせて頂きます。私のような下賤の者には名前はございません。ただ19号と、および頂ければ。」



「・・・・・」

絶句していたと気付いたのは果たしていつだったかそう私は感じた。

ともかくそれ程の衝撃だった


彼女の目が特徴的だったからとか

彼女の口調が凍えるほどのモノだったから、でもない


名前だ

孤児院で育った私でさえそこから名前を取らせてもらったというのに、彼女には、無い。


その現実が私の思考を麻痺させたのだ



「19号というのかよろしく。」


「よろしくお願いします。魔王陛下、最強の魔女とお会いできて光栄です。ここで写真でも一枚。」

しかしそれも一時的なもの、

すぐに理性を取り戻した私は状況の把握を開始する。



「はい、ピース。」


「ピース。」


誰にも気取られず誰にも悟られずに真後ろに立っていた桃髪の少女には皆の視線を集めていた桃髪の少女には名前が無かった。

19号という無機質な番号をその代わりとした彼女は今、吸いこまれるような髪をバッサリと切った黒髪黒目と紐がついた鈴そのもののピアスが特徴的な美人、女、鈴と共に円盤を背に写真を撮っていた。


19号はピースで鈴はダブルピース

そして同じ無表情を湛えながら

”ファンサービス”

その言葉が思考を埋め尽くした


「何してるの。」



「何って記念撮影だが?」

当たり前のような顔をして鈴が私に応える

フラッシュの度に変わるカメラの角度に対応しながら、

全てにダブルピースで応えながら





「ホントに何してるの。私死ぬかもなんだけど。」



「問題ない、お前よりもこの子が大事だ。口だけでは無くな。」

そう単純に言ってのけたのだ私の顔を見て、あの鈴が。

ひどい人である。

死の寸前で思い浮かんだあの黒髪の女とは酷い差だ

本当に同一人物なのだろうか、私を立ち直らせてくれた言葉まで色褪せそうである。

一呼吸置いたのち心を切り替える


「ところで19号どうしてフードを取ったの?他の魔女達は全員フード付けてるみたいだったけれど。」




「これは旗持ちの任が終わり次第、貴方がたを守護せよと隊長が私にのみ許可されたのです。」



「・・ふーんそうなんだ」

納得しながらも推測する私である。

旗持ちというのはおそらくは旗を持っていた魔女のことだろう

あの爆風の元、髪の毛一つ乱さず

そして埃一つ衣服に付けていなかった



精鋭中の精鋭。

それが彼女達であるわけだが彼女らの様子から「外套」とやらで素顔を隠して任務にあたる集団なのだろうか、気配も何もかもをも殺して


或いはそれは任務の一部に過ぎないのだろうか

例えば彼女らの任務は・・・・



ふと階下を眺める

()()()()()()()()()




「どうした、少女。なにか考え事か。」


「いいや別に。これから死にに行くと考えるとちょっとね。」

黒い布を肩の上に侍らせた目隠しの少女の慈悲深く問う言葉に私は答えた

そうこれから待つのは死なのだ

あの時の彼女のように、あの時の肉片のように

あるいはあの幼女のように


死ぬ


「まだ死んだと決まったわけじゃないだろ」

そうただ吐き捨てたのは私だ。

そう幼女(クリミナ)はまだ死んではいないのだ。

ただ私が彼女達、乃瑠夏や鈴、禍根鳥達に聞けていないだけで。

第一、彼女達があそこに来た理由もクリミナが発した救援信号故じゃないか。

ならば一体何を心配する必要があるのだろうか


「そうだな、今「傲慢」の嫡子の容態は安定している。」



「「傲慢」?嫡子?一体誰の事、プネウマ。」



私達(オレ)に振るなっての。まぁ説明するけど。

・・傲慢っていうのはまぁ魔女の代理の称号だよ。

通常魔女の代理は賢人会っていういけ好かないのが厳正な審査の元決めるんだが、そいつの一家「傲慢」の一族だけは奴らに()()()()()()。」



「何を、どうやって。」



「推薦だよ、奴らは自分自身が選んだ奴を推薦する。権威がありすぎるんだよ傲慢の一族は、

魔女の掟でも制限し切れないような強大な権威をな。

だから賢人会、お偉方とは言えどもあいつらの態度を阿らなけりゃいけないんだ。」



「なまじ実力もある分タチ悪いたらありゃしねえぜ。」





「・・ふーん、賢人会に傲慢の一族ね。なんだかどこにも権威のある家や怪しい政治家ってのはいるもんだ。」

そう他人事のようにそう告げた私である。

私は幸い捨て子なのでそこら辺に煩わされずに済んだが、というかおそらく私にはそんなもの無縁だったろうがテレビでもSNSでもそんなモノを貶めようとしたり逆に取り戻そうとしたり、大変である。

そう言えば「彼女」も権威のある家の生まれだったな

と思い出しかけ思考を閉じる。


今は・・・まだいい





まだ成すべきことがある。




「そんで質問の答えだが、その傲慢の嫡子の名がクリミナル、クリミナル・エフェソス」



「・・・え?どういう」

疑問の言葉とともに思わず振り返る私である。

つぶらな黒が私を射抜いた

否、射抜いていた


クリミナ(ヤツ)の本名さ、お前を見つけ、連れ出しここまで連れてきた少女の名前だ。」

冷淡にも鈴はそう言った私の目を見ながら。

言葉がない。

その後の「今は死にかけだがな」という言葉も耳には届いたが頭には入らなかった。


エフェソス

彼女は終ぞ、その名前を口にしなかった

私の前では一度も

何か大切な名前なのだろうか。

何か人殺しに言えないような、名前なのだろうか

あるいは()()()()()()()()()()()()()があるのか


プネウマ達に再び背を向けつつ考えていれば声がかけられる。


「補足するがあれは法廷に入ることを許可された者達の旗だ。一種類足りないが問題は無い。」



「・・・そう。教えてくれてありがと。」

慈悲深く告げられた禍根鳥の言葉に私は頷く

おそらく禍根鳥は私が視線を"旗持ち"達に向けたまま考えに熱中していたことについて彼女らに疑問を持っていると判断したのだろう。証拠に目隠しの少女は身を翻した後、こちらを振り向かず、少女に言葉をかける


「では19号、円盤に。」


「はい。」

言葉少ない指示の意図を理解したのか手に杖を出現させ石板の上に少女が乗るのを私は見た。

それに続くように各々が石板の上に乗った後、最後に私がそこに踏み入れた。

柔らかい絨毯とは違う、がっしりとした重みそれが持ち上げてもいないのに伝わってきた



少女が石突をカンカンとぶつけ、円盤が石床を離れる。

ふわりとした感覚に気を取られていれば十字の瞳が私、禍根鳥、乃瑠夏、鈴、そしてプネウマを目に収めた



「いきますよ。」

そんな桃髪の少女の言葉とともに視界が上っていくことが私にはわかる。

三度の鉄を打つ音と共に

景色が遠のいていく

赤が遠のいていく。


音は無かった、揺れは無かった、恐怖は、無かった。

浮遊感すら気付けば消え去っていた。

なんとなしに視線を魔女達に向ければ

何者かが旗持ち達に指示を出していた。


黒い外套を纏いフードを被った誰か、その彼の指示に耳を傾ける魔女達。

彼女ら旗持ちが持つ旗は旗竿に包められておりけれどしっかりと銃を持つ兵士さながら握られていた。




ふと目が指示を出している者の髪に留まった。

青年に、見えない筈の金色に

その外国人のような色に気を取られていれば一瞬視線があった。


乃瑠夏以外に魔女にも男がいるんだなという感慨はすぐに掻き消えた




暗闇が視野を覆い尽くす。

微かな既視感と共に

確かな猜疑心とともに



「あれは誰だ。」

そんな低い言葉とともに視界の暗闇が光に掻き消されるのを私は認識した。


一瞬何が起きたか分からなかった。

正直クリミナル・・・クリミナの親戚かと思った

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

けれど、すぐにその思考を拒絶する。


「私には関係ないことだ。」

ただらそう独言ちた中意識を私は戻す。

そうして私は景色を眺めることに意識を動員した。

嫌なモノに蓋をして、嫌な予感に目を背けて








景色について感動をした経験が私には余りない。

当然殺人鬼故に感受性がぶっ壊れている・・訳ではない。

単純に暇がなかったのだ。

景色を楽しむ暇が、足を止める暇が

純粋に働きまくりのバイト掛け持ちまくりで

故にこの経験は不思議かつ不可思議だった。




同じように目に映る・・はずだった。

同じに見えるはずだったのだ。


対象は変わっていない

価値観も変わっていない

天気も不思議ではある、穴空いてるし。

けれど角度と場所が変わるだけでこんなに印象も、景色も一変するだなんて



「・・・これは・」

思わず感嘆の声が口の端から漏れるのを私は自覚する。

そう、そこには白の摩天楼が立ち並んでいた

穴から刺す光の元で


まるで背の高い人を遠くから眺める様な光景に

神秘的に過ぎるこの光景に

思わず見入る

まるで生きているような雄大さを示す塔に思わず、息を呑んだ

これが人工物・・・なのか

というか天気が不思議と言ったがいい感じにしか働いていない、これはいい不思議さなのだろう。いい感じの。

さっきまでは井伊波の性別や禍根鳥、金髪の青年その他もろもろのことで景色を気にする余裕が無く気付かなかったけれど初めから見ておけばよかったのかも知れない、顔を上げるなんて簡単なのに

「壮観か?」




「ああ、壮観だ。」

野太い声にただ一言私はそう返す。

逆にいうならそう言うしかない正に圧巻の光景だった。

無機物なのに無機物に違いないのに光の当たり具合からしてもそれを加味しなくても生きているように感じるのだ



「壮観以外で表せちゃった。けれどこれは凄いな、壮観で圧巻だ。」




「我々としてもそうそう見る機会のないモノだ、じっくり目に映しておけ。」



「貴様は今日・・・・・・いいや、気にするな」


「・・・・・」

問い返しは私はしなかった

なにせその言葉の続きは飽きるほど意識しているし知っている。


私は今日死ぬ。

決定的な証拠を突きつけられて

よく知る彼女のように、よく知らない彼女のように

けれど私には・・・


「時に少女、我々が収める国家について聞いているか?」




「・・国家?それは聴いていないけれど。一体なんなんだ?」

その疑問の言葉にしかし禍根鳥は横に顔を向けながらも私に語りかける。

唐突に禍根鳥は語り出す。

始めに魔女の代理について

魔女の代理とはその持ち前の力で国家全体の治安維持、そして「鏡の世界(クルシア)」に存在するそれぞれの領土にして都市国家、「七罪都市」の執政を任された組織らしい。

国家をそれぞれ治める故に七人からなる組織でありながらも権力は絶大であり実力も比類するものは、数少ない。

かつていた大罪の魔女を代行する世界最高戦力

けれど当然だが上層部が存在する。



「時には我々を任命し、時には賢人会の提案をも拒絶し、時には国際議連の議員をも罷免する。

その権利を持つ最強の存在をこの世界では「魔女」という。」




「「魔女」?

発音が普通の魔女達と違ったけれどついでに言うなら賢人会とか国際なんちゃらも分からないけれど、ともかくこの鏡の世界(クルシア)では主権を持つって感じ?」



「そうだ。」

「想像以上の理解力だ。」という目隠しの少女の言葉を無視しながら先の言葉の引っ掛かりを覚えた点について少し私は考えを巡らせる。

魔女の代理、賢人会、そして国際議連、そしてあの時の光景

疑念を言葉にした


「魔女の代理は分かったけれど、賢人会に国際議連って何?」



「賢人会につていは後で話すことになるだろうが、国際議連については答えよう。」

・・・そして語り出したのは、当然国際議連の事だった。

国際議連、そこは三権分立でいう立法の組織であるというのだと私は知った。



つまりは裁判所の「司法」を統べる所の、

賢人会の「行政」であると言えるのだ。

魔女の代理の治安維持と自治権は「主権」に近いもののあくまで国民から選ばれた者に「魔女」から与えられる疑似的なものに過ぎないが、これは紛れもない本物の権力であった。




最も、裁判所という法の秩序の番人を超える事はどの組織であろうと基本的に出来はしない。

それはある種の「契約」であるが故なのだが、今は考えている場合ではないと、考えを切り替える。




「なら、あの魔女達が持ってた旗は?

ここに上がる前『法廷に入ることを許可された者達の旗』だって言っていたけれど七つの頂点を祈りの形で結んだ14個の上肢の骨からなる旗は七人しかいない魔女の代理の旗と分かるとしてあの八つの菱形を円で繋いだ紋様はどこの組織なの?旗を持っている彼女達は誰?」



「彼女らの名は・・・・”旗持ち”」

慈悲深い声で禍根鳥はただ顔を見ながらも私に対してこう続ける。


旗持ち

正式名称を国家直属近衛部隊

その仰々しい名前に相応しく精鋭中の精鋭のみの部隊であり主権を持つ魔女のみならず政治組織全般をも警護する部隊らしい


魔女には魔女で直属の護衛隊がいるようだが・・・・


「魔力も少ししか感じられなかったのに本当に彼女たちが?」



「ああ、あれは偽装だ。

しかし実体は十人で魔女の代理一人分に匹敵する精鋭であり栄誉ある旗を掲げる国家の盾にして国賊どもの敵でもある。しかしどういう訳かもう一つ掲げるべき旗を忘れていたようだ。」



「「魔女」のこと?」



「いいや、魔女は現在この世界には存在しない。その代わりに我々魔女の代理と賢人会ー八星の旗の主達ー、”議連”それぞれが「魔女」の権力を分立し相互に監視し合いこの世界を運営している」



「成程」

そう納得して少女を私は見据える。

魔女の不在、そして主要組織による三権分立

そして”旗持ち”

魔女の代理に匹敵する桁違いの実力集団。

あの出鱈目な力を持つこの少女と底の見えない鈴、そして井伊波と同じくらいの強さそれがこの桃髪の子に?


「いかがなさいましたか?」


「いいや、なんでも。」

いいや正確には十人で一人分だから十分の一かそう独言した私である。

旗持ち一人では彼女達と同じ力は出せないが三人であれば竜の体を縛ったり、掻き消したり、風穴を開けたりあるいはこの想定以上のことが出来るのかも知れない。

例えばなんの予備動作も無しに竜の血を塵に変えたり


あの場にいる十人、あるいは数十人が力を合わせれば再現出来るはずだ。

そんな様子は欠片も無かったが、皆とは言わずとも私一人を守るだけならばたとえ何の予備動作もなくとも、()()()()()()()()()()()()、可能な筈。



・・・彼女とは誰だ。

私の身近には血を塵に変える魔法を持つ者などいないはずだ。

そしてそもそも彼女達に私を助ける動機なんて・・・

ぐるぐると堂々巡りを始めた心を、纏らない考えを

呼んだのか「そうか、やはり気付いてはいないか。」と言えば目隠しの少女は私と鈴、乃瑠夏そして桃髪の少女に視線を映したあと皆を見据えるように言葉を発した。





「であれば皆はあの時の違和感に気付いているな?」



「違和感、いつの?」



「”旗持ち”達の目の前を通り過ぎた時の事だ。あの時()()()()()()()()()()()()()。」

違和感、足りなかったもの、

あの時足りていなかったもの魔力や旗の本数ではない何か私は理解した。

それは・・





「人数だ、おそらくだが旗持ちの全体の三分の一があの場にはいなかった。」



「確か、”旗持ち”が掲げる旗が一種類足りていなかったような?という言葉を言っていましたね、色欲の魔女の代理である貴方様自身が。鈴陛下、わかりますか?」




「”議連”の思惑など知らん。ただ考えられることがあるなら。」



「私の裁判に抗議する為にここに来ること自体をボイコットしているとか。」



「「「それは無い。」」」

禍根鳥、19号、鈴の話に割って入れば乃瑠夏以外の全員に真顔であっさりガッツリ私の意見は否定された

チリンという鈴の音とともに

・・・ひどい人たちである

もう少し遠慮とか人の心を慮るとか無いのだろうか

けれど肝心の乃瑠夏も冷たい瞳で外を眺めているだけである。

いつの間にか。




この様子・・・何をしているのだろうか、日向ぼっこかな?


この塔いいやこの「城」のガラスは全面張りではなく螺旋を描くように張り付けられている。

その中であるここはガラス面積の方が多い故か日差しがいい

故の日向ぼっこ、、故のリラックスということだろうか

見た目はそんなにリラックスしているようには見えないが・・・・

するわけないか。殺人犯だと思っている人間の前で油断などすまい。

曲がりなりにも魔女の代理だしな


「議連がまだここについていないのだ。それ以外にあるまい。」



「・・・・え・・・うん、確かにそうだね。」

一拍以上おいて言葉に頷きを私は返す

反応が遅れた


暗闇に視界が覆われたからではない

景色が見えなくなったからでもない

それらはこの問題に比べれば些事だった

ある気配に呑まれたからだ。

おどろおどろしい、邪悪な気配

禍々しい悪魔のような気配



「悪魔というのは言い得て妙でもある。しかしこの場合は正確でもない。」



「どういうこと?」

いつもの通り慈悲深い禍根鳥の言葉ながらも分からなかったのだ私は。

まるっきり要領を得ない言葉だがそれだけではないのだ


光が辺りを照らす。

人工の光に照らされた目隠しの少女の顔は既に道を歩いていた慈悲深いモノではなく私に説明をしたり旗持ちの違和感を指摘していた時と同じ冷たくも思える無表情そのものだった

目隠しをしているというのにはっきりと、理解出来た

けれど、決定的な何かが違った

あえて言うなら空気が違った。

そんな曖昧な状態にけれど更に身が引き締まる


嫌な予感がしたのだ



「これから会うのは賢人会、実質的な主権者にして誉れある老害共だ。」

慈悲深くけれどただ禍根鳥は告げた、

これから会う者の害悪具合を端的に私に示して。

ガコンという音と共に暗闇が視界に躍り出る

足元からの光も今は心もとない

いくつかの作動音のあと光が目の前を照らした

カーペットの先、果ての無い道が光に照らされていく、明かりを取り戻すように道を示すように

多くの扉が光の元にその姿を現していく

皆が足を止めている中、その中で足を踏み出した




「行こう、死は目前だ。」

思惑と覚悟とともに









「よく来た、君を歓迎しようなり損ない(フェイラー)。」

あの後見事に道に迷い、結局皆のあとをついていった私は今、呆然としていた。



案内された部屋はただ何もない部屋だった。

生活の痕跡もなく

会議に使われた様子もない

ただの部屋

けれど確かに声が聞こえたのだ


「ここだ。”彼ら”が来るまで少し待っていて欲しい。」


「・・・わかった」

辺りを見回していた私に禍根鳥が声を掛ける

そこにいた少女の顔は変わらない、

目隠しをしているが故に分かりづらいものの何処からか声が聞こえても動揺しないらしい

あるいは聞こえていないのか



そんな感慨に浸っていれば突如バタンと光が落ちた

バタンバタンバタンと闇は近づいて来る。

最後の音と共に視界が闇に包まれた

微かな電子音と駆動音の後ブオンと黒が頭上に現れる。



自然と目を上に向ければ

魔素と同じ紫がかった黒色の逆さ五芒星が在った。

そこにはある文字と数字がそれぞれ描かれている


「voice only、声だけか。

こんにちは001番さん。自己紹介は必要でしょうか?」



「再び言うが歓迎しようなり損ない(フェイラー)、自己紹介は不要だ。そして魔女の代理と”旗持ち”副隊長よ。

ここまでの護衛感謝する。」



「こちらこそ貴方方に謁見出来たこと光栄に存じます。「お変わり」ない様子で、なにより。」



「私も同じだ、誉れある色欲の魔女の代理よ、賢人会全員を代表し君達に再び会えたこと「感謝」しよう。そして・・」

その機械的な声と皮肉の応酬に理解する私は知る。

こいつらだ

こいつらがあの気配の正体

そしてさっきの歓迎の言葉の、主。


「よく来た、君を歓迎しようなり損ない(フェイラー)。」


「誉れある老害達・・か」


「中々の言いようだななり損ない(フェイラー)。だが我々とて自身の機嫌で判断を誤る未熟者ではない」




「・・・そう、それで今日は何の用。」



「ふむ、、話が早いな」

機械的な老人の言葉に私は頷く。

当然である。

こっちには()()があるんだと思いっきり口に出しかけ、飲み込む。

危ない、危ない。


いくらなんでも無配慮極まるだろう。

老体なのだから寿()()()()()()()()()()()当然”配慮”するべきである。



血圧を上げるわけにはいかない、彼らに肉体が在ればの話だが。





「ははは、中々面白い。」



「・・心を覗いたの。」

問いの答えは沈黙であるそう私は理解していた。

単純に気まずいのだろうそう考えて

しかし気まずさなど感じさせないようにその静寂はしばしの後破られた




「当然だ、君は人殺しなのだから。」



「そう・・」

随分と自信があるんだねという言葉を呑みこみ目の前をキッと私は睨む




「・・・少女よ、そう睨むな。これから行うのは君がいなければ始まりすらしないことなのだから。」

長台詞に思わず目を私は開いた

微かな沈黙の後機械的に001は口にする

高らかに

厳かに





「これより公判前手続きを始める。」

ただ機械的に001はそう告げれば視界が私の認識から書き変わる。

・・・暗闇と共に光が足元を頭上を覆っていく

波のようなそれが全てを覆いつくしたころ大地が姿を現した

緑の大地けれどその色には陰りがある

疑問を覚え見上げれば夜空がそこにあった。

空に輝く満天の星々、星々を繋げる天の川それに見入っていれば音と共に菱が八つ姿を現した。

まるで空に輝く星のように

まるで地上を見下ろす神のように



時計の針がまた一つ時を刻む

真相まであと少しだ

















満天の星空の下、黒の星々は語り合う


「存外上手くいったな。」



「当然だ、我々には「あの方」がついているのだからな。」

・・・機械的なら005の言葉に007が答える。

単純な返答、けれどそこに張り巡らされた権謀術数には限りがない。


賢人会

鏡の国(クルシア)を牛耳る最高権力機構にしてこの世界最大の腐敗と堕落の元凶

しかし彼らの腐り方には十人十色、いいや八人八色の差があるのだ

自身の利益に執着する者、他者を蹴落とすことに躍起な者、あるいは双方を兼ねそして考え得る全ての悪徳を成さんと欲する者。

けれど彼らにはある共通点がある



・・・それは




「我々の目的は同じだろう。」

機械的な賢人会が同じ目的を持つこと






「・・・その通りだ003我々には悲願がある。その為の「予言」そしてあのなり損ない(フェイラー)だ。」



「ああ、その通りだ008。

全ては・・・」


「「魔女」復活の為に」



「「「「魔女」復活の為に」」」

そう機械的にけれど大仰に賢人会は叫んだ

見捨てられた八星は蠢く

鏡に映らない闇の中で








少年と女、二人は扉の付近で立ち止まり傍聴席を見回す

全ての席は外套を羽織った魔女で埋まりそれぞれがそれぞれの話をしている。

だというのにどうしてこの場所に来た経験のありそうな二人が座る席を探すような真似をするのか、


答えは単純二人にとってもこの場所はあまり来る経験が無かったのだ。

場所は伝え聞いていてもどこに座るのか数秒迷うしかし二人同時に目の前の椅子の背を見てこの席だと直感し目前の階段を降りることなく座る。


七つの席、シンプルながら流麗なデザインの施された椅子の法廷側左三番目に井伊波が左五番目に鈴が座る


禍根鳥はいない。

手続きがあるといって19号に連れられて法廷の奥の廊下に消えて行ったのだ

シア共々。



それに頭を悩ましかけ瞬時に考えるのをやめた。

外部出張の多い鈴にとっては同じ魔女の代理でさえ普段何をしているのかはおろか趣味さえ知らない。

今二個隣にいる井伊波と友好関係に近いモノは気付けているものの他の魔女の代理とは気付けていないも道理なのだ。友好関係どころか交友すらしていない、

隣の席に座る筈の”あの男”を除いて

「国際議連のみ姿が無いようですが、鈴さん・・・これは。」



「何らかの理由で到着が遅れているのだろう。奴らにこの裁判を参加する権利は無いが、その代わりに我々同様傍聴の義務がある。いづれ辿りつくさ。」

頭痛を抑えつつ答えれば井伊波は答えた・・・いつもの様に


「道理で”旗持ち”が掲げる旗の種類が少なかったのですね」


「・・ああ、そうだな。ところで井伊波、どうしてお前はシアと話さなかった。」

あの少女、シアと少年、井伊波乃瑠夏の事を鈴は考える。

二人の様子がおかしいのだ。

より具体的に言えばある時から一言も話さないようになってしまっていた

乃瑠夏から一方的に


鈴とて気付いている。

時期的に考えても空気を読んで二人にさせたタイミングで()()()()()()()()()()()()()()()()()()が在ったということは。

けれどそれをずけずけと聞くわけにはいかないのだ

かつての失敗は繰り返してはならない。

かつての・・・・失敗は



「・ず・・ん。・・・鈴さん!!」



「・・・はッ」

肩の揺さぶりによって鈴の意識は現実に引き戻された

目に映るのは”あいつ”と同じ(あか)い瞳。

けれど瞬きのあとにソレは見知った朱の瞳となった

チリンと耳元で鈴が鳴る


「・・・すまん、少し考え事を。」



「・・なら良いですけど、この先寝ないでくださいね。魔女(われわれ)にとっても重要な裁判なんですから。」



「・・・その通りだぞ、鈴殿。普段から「外」で激務をこなしているとは言えこの様な場面で眠ってはならない。特に我々のような者であれば尚更な、そう思うだろう、井伊波乃瑠夏よ。」

冗長でけれどいつも通りの乃瑠夏の様子に安堵しかけた鈴に声が投げかけられる。

その言葉は”いつも通り”気に障り、その態度は鈴はおろか乃瑠夏の神経さえ”いつも通り”逆撫でした

鈴は鈴の音の後、持ち前の光の失われた真っ暗な瞳をその者に向ける。




金髪を短く剃り込みサイドから垂れる横髪を片方三つ編みにした十字に割れた瞳孔を持つ黄金の眼の青年、ざわめきの中でも一際よく通る声を持つ青年、()()()()()彼が”あの男”がそこに立っていた。

黒い外套を腕に掛け白い雲の柄の入った黒い浴衣を着こんだ彼の手首で金がキラリと光る。

その悪趣味に思える腕輪でさえ青年の美貌がその印象を掻き消していた。


いつも通りの美青年だ。

多くの魔女達が彼に熱い視線を寄せている

黄色い声さえ聞こえて来た

しまいには彼の名前を叫ぶ者さえ出る始末。

それに手を振っている彼はどう見ても爽やかで健康的な美男子そのものだった


却ってむかつく


だからこそ鈴はこう返してやった


「いつもの通り息災で何よりです、我らがリーダー「傲慢」の魔女の代理、明星葵殿。して本日はいかなる御用向きで。まさか我々のような卑しき身分の者共になにか御用が。」



「・・・・なかなか非道い切り返しだな。我々は同じ立場でありしかもこの場所でも隣通しの席であろうに。だがそれよりもだ、貴様には聞きたいことがあるのだよ。鈴、いやベルゼブブよ」

その名に眉をピクリとさせてから目蓋を閉じ再び鈴は目蓋を開く。

そこには先程よりも暗さを増した瞳があった

まるで次言えば命が無いと言うような暗い瞳に、身を刺すような空気にけれど青年は動じない

どころか挑発を始めた



「同じ魔女の代理としてそして同じ魔女(アドナイ)を主と仰ぐ者として忠告だが・・・貴様の態度それは()()()()()()()()()()()となるぞ。」




「教義の上では暴食の魔女の代理(わたし)傲慢の魔女の代理(おまえ)は対等な筈だが」



「・・・・・」

けれど鈴の言葉に口ごもるのは葵の方であった。

青年はしばしのあと舌打てば絶えず細かく足を揺する

いわゆる貧乏揺すりをしだした葵に関心が無くなったのか鈴は視線を法廷に戻した。

検事の席にはまだ誰もいない、弁護士の席も空席だ。

始まれば魔導人形(オートマタ)が魔素で肉体を作り座りこむらしいが、鈴としてはなんのそのだった。今の関心は他にあるのだ。

上段と下段、8つの席と15の席が木製の長机の後ろに聳え立つ

それ程の背もたれの長さだった。

けれど最も目を引くであろうものは一つ


それらの一段上にある赤い榻背に白い縁の椅子であった。



柔らかげな背もたれにシンプルでありながら荘厳な装飾を施されたそれは誰であれそこに座る者の高貴さを知ることだろう。そうそこに座る他ならない「魔女」という存在の

・・この男を除いて


魔女(われわれ)魔女(アドナイ)も同一の筈」

そうして皮肉と共に視線を戻せば、そこに青年はいなかったそう鈴の目の前から居なくなったのだ彼は。


・・・いったいどこに、と黄色い声を上げていた魔女達も彼を探す。

鈴も葵をほんの少し気にかけかけたタイミングで乃瑠夏から「始まりますよ」と声が掛けられる。

外套をいつの間にか外していた乃瑠夏に倣い鈴も外套のボタンを外した。


『”あいつ”のことはどうでもいい。』そう心の中で独り言ちながら、耳元で鳴る鈴の音を無視しながら畳んだ外套を両腕で抱きしめて法廷に目を向ければ柵の向こうの扉が開いた。


皆が静まり、ただその一点白くシンプルな装飾の扉に視線が注がれる



・・この遺灰城は内装も何もかもを白を基調としたモノになっている

裁判官の椅子や鈴達魔女の代理の椅子でさえどれも白がメインカラーなのだ。だからこそ映えた

少女の黒髪が蒼い瞳が


半月のように美しい瞳は真下に向けられているがその瞳の中に宿る強さは変わっていない。

黒いセーラーを難なく着こなす少女に多くの者が様々な視線を向ける

息を呑み見入る者、怪訝な瞳を向ける者、そして軽蔑した視線を向ける者それぞれだ。

しかし変わっているところもあった、手枷である。


鉄の手枷が少女の腕にガッチリと嵌められていた。

首輪もだ



・・・よく見れば足枷もある

既に魔術的な「拘束」はしていることを関係者全員に伝えていた鈴だが自身の手が甘かったことをこの時初めて悟った。最強の彼女にしては珍しい失敗である。

『今度は全魔女に伝えよう』と考える「暴食」なのだった。




そして次に目に映ったのは白い布で顔を隠した白装束の者だった。

身に纏う衣とは裏腹に影の薄い彼らは裁判所直属の保安官「白」だ

魔女の代理には匹敵しないものの中々の実力の持ち主ではあると鈴は聞いていた



「白」は枷から伸びる鎖を両手で抱え左右、そして後ろから彼女の動きを制限しともに歩んでいた。


囲むように

ふと周りを見渡せば隣には誰もいない。

シアと禍根鳥を連れて行った19号は立場的に分からないでもないが禍根鳥がこの場に居ないのは疑問が残った。



左隣の「怠惰」はともかく彼女がいないのはどことなく気持ち悪かった。



正確には気味が悪いと言うべきか

このような場に鈴自身よりも姿を現すあの禍根鳥がだ。

他の来ないやつも来ないやつである。

一応のリーダーである「傲慢」の指示でこの場には全ての魔女の代理が集められている筈なのに・・・

まるで「シアを助けてほしい」というクリミナの救援信号の通りに少女を助けに行くために念のためこの椅子の上に謝罪文まで置いた自身達がバカみたいではないか・・・・と



落ちていた紙を拾い上げ塵に変えていく横を見れば井伊波も身を屈め紙を拾い上げてぐしゃりと紙を握り潰していた。



おそらくは謝罪文だろう。遅れた時の為の皆に対する

イライラと鈴の頭に怒りが募り胸の辺りで何かびりっと布が裂けたような音がした直後にシアが被告人席に座った




白く荘厳な奥の扉が開く

黒い外套を羽織った二人の魔女が顔を出し扉の前でびしりと立ち止まる。

ざっと足をお互いに向け霊子から杖を編めばサッと空高く杖を掲げる。


すると黒い衣裳を着こんだ者達が暗闇の中、扉の奥から姿を現した


本を抱えた荘厳な雰囲気を持つ者、モノクルを欠けた知的な者、立場に似合わず若く軽薄な者

14の個性豊かな裁判官が15の席に向かい足を進める、最後の女が真ん中の裁判長席に座れば

それぞれが席に腰掛け、


全ての魔女が立ち上がった



当然魔女の代理は立たない「彼ら」とは対等な立場だからだ

そう・・・それこそが



「・・・・賢人会」

乃瑠夏の言葉に更に注意深く視線を向ければブウンという音と共に黒の星が鈴の前に姿を現した

紫がかった黒の線で縁取られた逆さ五芒星

そこに浮かぶvoice onlyの文字と冷たい三桁の数字

老獪な賢人達、世界最大の腐敗と堕落の元凶



裁判官の席にある白い旗の止め紐が緩まり八星の円紋様が刻まれる

そこには魔女の代理の旗はない、ただその七分の三の紋様をシンボルとして示すのみだ。

ただ白い旗が三つ旗竿に縛られるのみだ

しかし001は動じず指示を出す。


「書記官指示を。」



「被告人立ちなさい。」

機械的な言葉に黒い少女が立つのを鈴は見た。

どう見てもただの少女には見えないな・・そう鈴が感じていればすると少女は息を大きく吸いよく通る声でこう言った


「宣誓良心に従って真実を述べ何事も隠さず偽りを述べない事を誓います。」

その厳かな言葉と共に二つの異なる装飾の大きな扉がギギギと閉まったのを背で鈴は感じていたのは。

魔素が集まり形作られ検察官、弁護士の席に人形が座る

地獄への裁判が今、始まる

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