帰ってきた トヤさん日記
トヤさんは女性である。
トヤさんは背が小さい。
トヤさんは関西弁である。
トヤさんは変わった人である。
トヤさんは頭をなでると不服そうな顔で喜ぶ人である。
ある日のトヤさんのことである。
トヤさんは公園で一人ラジオ体操をしていた。
全く音楽とあってはいない変な踊りになっているが、流れているのはあの例の音楽なので、恐らくトヤさんはラジオ体操をしているのだろう。
「トヤさん。ラジオ体操なんかして、どうしたの?」
「ん?実はな、スタンプ集めとんねん」
「スタンプ?」
「せや、スタンプ集めたらいい事あんねん」
「そうなんだ。それでそのスタンプ押してくれる人は?」
周りを見渡すが、やはりトヤさん以外誰もラジオ体操などしていない。
「そうやねん。うちもずっと不思議やってん。誰に頼んだらいいか分からんで、一週間分もたまっとうねん」
まず最初の一日目で気付こうよ、トヤさん。
仕方なしに代わりにスタンプを押してあげようかと思ったが、思いとどまった。
「トヤさん。スタンプ集まったら、どんないい事あるの?」
「そら、もち、ハワイ旅行やろ」
「トヤさん。ハワイ旅行無理」
「そうなんか?ハワイ旅行は無いんか?・・・不況の波がこんなところにまで影響しとるとは。いよいよ深刻やな」
・・・
いや、トヤさん。ラジオ体操で普通にスタンプ集めてハワイ旅行とかないから。