トヤさん日記 E
トヤさんは女性である。
トヤさんは背が小さい。
トヤさんは関西弁である。
トヤさんは変わった人である。
トヤさんはチョコレートとプリンをこよなく愛する人である。
苦いのは平気だと言いながら、散薬を苦しみながら飲む人である。
ある日のトヤさんのことである。
トヤさんはマスクをしていた。
「どうしたの?風邪でも引いた?」
「ちゃうねん。花粉症って奴やねん」
そう言ってトヤさんは、はちゅーんと一つくしゃみした。
「何だかつらそうだね」
「そうやねん。毎年大変なんやで、結構」
「そう言えば花粉症って抗体の過剰反応だから、無害化した寄生虫をおなかの中で飼うと治るって聞いたよ。トヤさん、どう、寄生虫?」
「あかん。そんなの。腹の虫がおさまらんようになるやろ。いっつもむかむかや」
そう言ってまた一つくしゃみをするトヤさん。
ティッシュを取り出し鼻をかむ。
「そうや。ええこと思いついた」
また何か思いついたようだ。
「何を思いついたの?」
「花粉と黄砂を一緒に吸うと花粉症になりやすいって聞いたことないか?」
「うん。あるよ」
「そうやろ。テレビでいっとったからな。一緒のテレビ見たんやな。まあ、よーするに空気が悪いねん。だから空気をよくしたら花粉症治るんちゃうんか」
確かに黄砂と共に運ばれる汚染物質は問題となっている。
「そうかもね」
「そう思うやろ。だからな、日本中で屋外で空気洗浄機を使えばええと思うねん。けど、これは日本だけの問題やない、世界中でやらなあかん問題や。でも、世界中の問題となるとうちの力だけでは足らへんか・・・よし、政府に意見書出さなな」
そう言ってトヤさんは立ち去っていった。
・・・
トヤさん、どこまで本気なんだろう。