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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
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ギルドホール

 食料品店の店主に言われた通りに商業街ノーヴァの中心へと向かうとそれは建っていた。


「ここがギルドホールか…」


 そう、そこにあったのはギルドホールだ。冒険者達がクエストを受けたり、報酬を受け取ったりするところ!冒険者ってなんか憧れちゃうよね~って浮かれてちゃいかんいかん。冒険者といえばクエストを達成することで報酬を獲得する仕事だ。正直、ただの高校生だった俺が手っ取り早く稼ぐ方法としてはいいんじゃないでしょうか…適正?戦闘技術?そんなものないんだけどね~やりたいからやるっていうのも時にはいいでしょ♪


「すいませ~ん」


 大きな扉を開け中へと入る。周囲には丸テーブルとイスがあり、装備を着込んだ冒険者が何か話していた。大声を出して入ったのが注目を引いたのか周りの視線がすこしイタかった。入口正面奥に向かいカウンターにいる女性に話しかける。


「あの~俺、冒険者になりたいんですけど~どうすればいいですかね」


「冒険者志望ですね。では、こちらの書面にお名前をご記入ください。それと冒険者資格発行のため100Cクロスを頂戴致します」


 あ~冒険者資格って有料なんすね。資格ってついているしなんらかの証明とかにもなるんだろうな。


「これで大丈夫ですか」


 渡された書面に名前を書き、金十字硬貨…100Cクロスと一緒に提出する。


「頂戴いたします。えーっと、お名前が…これは何と書かれているのでしょうか?」


「え?」


 書面にはちゃんと霊仙拳斗れいせんけんとと俺の名前を書いたはず…もしかして字が汚すぎて読み取れないってことなのだろうか?


「すいません、失礼します」


 受付の女性から書面を返してもらい、もう一度見返す。別に汚くはないし、普通に読めるだろこれ…なんでこの人は読めないんだ?


「申し訳ございません。私の知識の足りないところかもしれませんがその書面に書かれている文字を存じ上げておりません。他の言語で書き直していただけませんでしょうか?」


 あ~なるほど…ここは異世界だったな。そりゃ~日本語で丁寧に名前を書いたって伝わるわけない…え?!伝わらないの~~マジかよ…言葉が通じていたから言語については融通を聞かせてくれたと勝手に思い込んでたみたいだな。


「あの~すいません。俺、最近ここにきてここらで使われている文字を書けないんですよね」


「そういうことでしたか。では、私が代わりにお書きいたしましょうか?」


「代筆って大丈夫なんですかね?」


「はい、問題ございません。色々な事情を抱えた方のために私共が代筆をしても大丈夫なようになっております」


「そうですか。では、お願いします」


「では、お名前をお願い致します」


霊仙拳斗れいせんけんとです」


「レイセンケントさまですね」


「あ~はい。レイセンケントです」


 なんだろう。ドレッドさんもそうだけど苗字と名前を繋げて呼ぶんだよな~、また家名と苗字がどうこうっていう話をするのは面倒だし、訂正はしないでおこう。


「レイセンケント様、こちらが冒険者資格でございます。クエストの受注、報酬の受け取り、ギルドへの加入の際に必要となりますので厳重に保管しておいてくださいね」


「はい」


 受付の女性から冒険者資格を受け取る。なんか父さんが持っていた免許証みたいだな。これで俺も冒険者になったってことだな。よっし!


「あの、レイセンケント様」


「はい?」


「ギルドホールについての説明はいかがいたしましょうか」


「あ、聞きます」


「では、説明致しますね」


 数十分後…


「以上で終わりとなります。何かわからないことお聞きくださいね」


「ありがとうございました」


 うん、大体わかった。主に聞いたのはクエスト掲示板の利用についてとギルドについてだな。

 まずは、クエスト掲示板について…クエスト掲示板ではそれぞれのクエストを色のついたピンで留めている。その色ピンにはそれぞれ意味があって赤ピンと黄色ピンのものは冒険者資格を有するものしか受けることができない。赤ピンは魔生物の討伐またはギルドや複数人で行うクエストのものらしい。黄色ピンは技術指南や要人護衛などのものらしい。多少の危険や技術などが必要となる代わりに報酬もそれなりだ。次に緑ピンと白ピン、これらは冒険者資格を有してなくても受けられるものだ。緑ピンは採取クエストやお使いなどの簡易クエストだ。白ピンは雑用やペットの捜索などの街のちょっとしたトラブル関連のものらしい。これらはちょっとした小遣い稼ぎとして一般の人でも受けられるようになっている。そして、青ピン…これは緊急時に張り出されるクエストのものらしい。説明時には掲示板に見当たらなかったから滅多にないものだろう。因みに緊急クエストとは凶悪な魔生物の討伐や解決に急を要する案件、賞金首クエストがあたるらしい。冒険者資格をもっている俺はすべてのクエストを受けることができるためいい条件のものを受けていくことにしよう。

 もう一つの話、ギルドについて…ギルドとは冒険者どうしで徒党を組んだ組織のことらしい。ギルドは所属するメンバーとともにギルドホールにて申請を行うことで結成することができるとのことだ。ギルドを結成することでできることはクエストを受ける際にギルドのリーダーが受けるだけでそのギルドのメンバー全員で受けた扱いになるらしい。あとはギルドホールが管理している施設…ギルドルームを使用することができるようになる。ギルドルームではギルドのメンバーで集まったり、報酬の保管ができるようになるらしい。ただし、使用にあたって条件があり、月に一定額を収める必要があることと、青ピンのクエスト…緊急クエストへの積極的参加への同意をすることの二つを了承する必要がある。


「ギルドねぇ~」


 ギルドとか仲間とか憧れちゃうけどずぶの素人である俺と組んでくれる優しい人っていないよね。だって魔生物と命を懸けた戦いに足手まといがいたら迷惑だよな。暫くはソロでできるクエストから始めるか。んじゃ、とりあえず掲示板で手ごろなクエスト見つけて受けるか。情報屋を探して俺がどうしてこの世界に来てしまったのかも調べないといけないしな。

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