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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
69/145

伝授

「で、その技ってのはどんなやつなんだ?」


 猛虎もうこがいう新たな技について聞いてみた。現状俺が扱えるのは虎撃連舞フーランペイジのみだ。両手に装備した手甲鉤ハンドクローから斬撃を放ち爆裂させるってやつだな。威力も申し分なく同格の相手ならなんとかやりあえる技だ。だが、相手がドルフィネともなるとそうも言っていられない、戦闘でいえばまだまだ赤ん坊と変わらない俺と多くの人を蹂躙し殺めてきたやつとではその経験の差がありすぎるのだ。その差を縮めるには敵の意表をついた攻撃や一瞬の隙を逃さないってことが重要になってくる。どんな猛者も常に警戒網を敷いているわけではない。生きている者である以上疲労なり油断なりが生じてくる、そこをうまくつくことが勝利に繋がるのだ。


「まぁ待て、そんなに焦るなって前にも話したと思うがお前がおれの力を使うだけの器を有しているか…話はそこからだろ?いくら技を教えても扱えなければ意味がない。虎撃連舞フーランペイジは辛うじてできたみたいだがまだまだってとこだ。そんなやつに新たな技を教えて大丈夫かって普通は思うだろ?」


「じゃあ、教えてくれねぇのかよ?俺にはまだその技を扱いこなせる実力がないってのか?」


「あ~一旦落ち着けって、別に実力が足りてないわけじゃねぇんだ。ただ虎撃連舞フーランペイジと比べて今度のは特殊なんだよ」


「特殊?」


「そうだ、特殊だ。虎撃連舞フーランペイジは武器を介して放つものだ。新たな技との違いのために例えるならば虎撃連舞フーランペイジは武技ってやつになる」


「じゃあ、その新たな技ってのはどんなやつなんだよ?」


「そうだな~あの女、霧生梨衣きりゅうりいってやつが水蒸気のようなものを使って技を繰り出してたろ。今から教えようとしているのはそれに近いやつだ。そうだな~武技のように名付けるなら…属性技ってやつだな」


「属性技?俺も梨衣りいのように水蒸気みたいなやつを操れるってことか?」


「似たような感じだが~お前にあの女と同じことはできねぇよ。人それぞれ適性ってものがあってだな~お前の適性だと水蒸気は操れねぇ」


「じゃあ、何ができるって言うんだよ!」


「電気だ」


「電気?」


「あぁ、そうだ電気だ。お前の特性は電気に属する」


猛虎もうこ、人間って電気を生み出すことってできるのか?下手すりゃ感電してしまうんじゃなねぇか?」


「ばーか言え、そんなもんおれの力でどうにでもなる。属性技ってのはその守霊のもつ性質に起因するんだぜ。お前はただおれを介してその力を引き出せば良いってことだよ。感電?そんなもん死なねぇように耐性もつけてやる。あとはお前がやるかどうかだ…耐性があるからって言っても多少は痺れるぞ?」


「俺にそれを扱えるだけの力があるのか?」


「さぁな…でも、やってみる価値はあると思うぞ。お前はおれの知らぬ間におれの力の一端を自らの力で引き出したみたいだしな。やってりゃなんとかなるやもしれん」


「お前の力の一端ってこれのことか?」


「あぁ、そうだぜ。守霊の力を持った武具…守霊具ってやつだな。まさか~お前がそれをひとりでに解放しているとは予想もしなかったぜ。人の成長ってのは結構はやいんだな」


「これってどうやって扱うかわからないんだがどう使うのがいいんだ?」


「別に扱い方に決まりなんてねぇよ。好きなように使えばいいさ。で、そろそろ話を戻してもいいか?あまり長いことお前をここに居させるのはよくねぇからよ。お前はどうしたい…ケント?」


「やる!今のままでは勝てないんだなら、やるしかないだろ」


「そういうと思ってたぜ!んじゃ、まずはお前に対電耐性をつけねぇとな、ほらよ!」


「え?」


 ビッシャアァァァァァ


 唐突に天から雷が降り注いだ。それは無防備な俺に命中し全身が焼けるように熱くなる。


「も…う…こ?」


「元々すこしは耐性があるみたいだな。ほらもういっちょ!」


 ビッシャアァァァァァン


 また雷が俺に命中…どうなってやがるんだよ。俺は避雷針か何かなのか?


「も…う…やめ…」


「まだまだ足りねぇな~」


 ビッシャアァァァァァ


 三度雷が直撃…耐性を得るためとは流石に常人が耐えられる限界を当に越えていた。全身からは焼けたような臭いと煙が立ち昇っている。全身には焼けるような痛みと自分の肉体であるという感覚が感じられなかった。だが、生きてはいるのか意識ははっきりとしていた。


「まぁまぁこれくらい浴びれば大丈夫だろ?よし、じゃあ技を教えるとするか~」


 猛虎もうこはすこしの心配もせず次の工程へ移ろうとしている。こちとらもう生きているのがやっとだっていうのになんなんだよあいつは!俺が消えればお前も消えるんだろ?だから、俺を守っている。そうじゃなかったのかよ。唐突な仕打ちに猛虎もうこへの信頼などは消え去り疑心へと変わりつつあった。


「おい…こんな事…意味…あるのかよ。一つ間違えれば…死んでるぞ」


「こんなんで死ぬようなタマじゃねぇだろおれの主様は?文句ならどんどん言いやがれいくらでも聞いてやる。さっきのも必要なことだったんだよ。なぁに後でわかるさ」


 猛虎もうこはそういうと自身にも雷を落としていた。属性技ってのがどんなものになるのか気になるが毎度雷に撃たれることにならないよう願っていよう。

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